-フリースタイルで行こう- #15 色んな意味で必見な映画 TWO-LANE BLACKTOPの世界

コラム

アメマガ2021年7月号

フリースタイルで行こう

#15 色んな意味で必見な映画 TWO-LANE BLACKTOPの世界

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-フリースタイルで行こう- #15 色んな意味で必見な映画 TWO-LANE BLACKTOPの世界

アメリカのモーターカルチャーがリアルに描かれた映画として絶対に無視できない重要な存在なのが「TWO-LANE BLACKTOP:断絶」だ。伝説のストリートレーサー達の登場をはじめ、劇中車のカッコ良さとリアリティの高さもポイント大! マニアックなカルトムービーかどうかはともかく、ホットロッドやマッスルカーを愛するには色んな意味で必見な映画。

TWO-LANE BLACKTOP: 断絶

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1971年に製作されたモンテ・ヘルマン監督作品。登場人物達によるドラマチックな展開もなければ、何かを深く訴えるメッセージされている感じでもなく、映画は淡々と静かに進む、正にロードムービー。意味不明な感じがするだけに、スノッブな方々は知ったかぶって絶賛するケースもあるが、映画自体は決して面白いとは言えないが、70年代初頭の闇を抱えた当時のアメリカの若者達の姿や、彼らを通した日常に溶け込んでいる、リアルなホットロッディングが描かれた映画として、アメ車ファンならスルーできない映画。劇中車の55年型シェビーも、70年型GTOも、キャストしてクレジットされているだけに、モデルの性格にみあった存在感のあるキャラクターで設定されおり、とにかく魅力的なのだ。

淡々と静かに進むロードムービーで決して面白いわけではないけれど70年代初頭のリアルなホットロッディングが描かれた魅力的な作品

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アメリカンモーターカルチャーやマッスルカーの魅力を知る上で、映画の存在はアメ車を好きになる上で相当大きく貢献しています。特に、現在のようにスマートフォンやインターネットが普及していなかった時代ともなると、なおさらのこと。そんなわけで、昭和生まれのオジさん達といえば、映画を通してアメリカンカルチャーや、日本には存在しなかったマッスルカーの魅力を知るのが一般的でいした。そんな中で必ず取り上げられる映画として、スティーブ・マックイーンの『ブリット』や、『バニシング・ポイント』あたりが定番としてフィーチャーされますね。


映画の内容を無視して、純粋に魅力的なマッスルカーが激走するシーンを観れるだけでも、アメ車ファンにとっては満足の行く映画となるわけで、そうした劇中車ありきで映画を楽しむマニアも少なくない。それどころか。近年では、トリビア級にマニアックな存在の劇中車などまでも、ダイキャストカーとしてラインナップするケースも増えていたり、映画とクルマの関係性の深さは、様々なところでも反映されています。


インターネットが身近な現在では、かなりマニアックな情報であっても、情報や映像までもが瞬時に入手できてありがたいもの。しかし、こんな時代においてもマニアックな存在となっている『Two-Lane Blacktop』の存在は、読者の皆様はご存知でしょうか?


ドライバー(ジェームズ・テイラー)とメカニック(デニス・ウィルソン)の二人が、愛機の55シェビーでローカルなドラッグレースで日銭を稼ぎながら、町から町を転々とするロードムビー。ヒッチハイクのガール(ローリー・バード)や、レースをけしかけてくるGTO(ウォーレン・オーツ)などの登場人物によるドラマチックな展開もなければ、何かを深く訴えるメッセージされている感じでもなく、映画は淡々と静かに進む、正にロードムービー。意味不明な感じがするだけに、スノッブな方々は知ったかぶって絶賛するケースもありますが、個人的にも映画自体は決して面白いとは思えません。


しかしながら、70年代初頭の闇を抱えた当時のアメリカの若者達の姿や、彼らを通した日常に溶け込んでいる、リアルなホットロッディングが描かれた映画として、アメ車ファンならスルーできない存在なのです。日本に置き換えると、職につかずにパチンコで生計を立てるギャンブラーと同じで、町中での違法なドラッグレースの賞金で生計を立てている若者の日常を切り取ったシンプルな映画。劇中車の55年型シェビーも、70年型GTOも、キャストとしてクレジットされているだけに、モデルの性格にみあった存在感のあるキャラクターで設定。55シェビーは、映画『アメリカングラフィティ』で登場した個体をアレンジしているのですが、その内容がリアルで、ドライバー&メカニックにキャラクターとも見事にシンクロして、とにかく魅力的!


この劇中車を見るたびに、さして興味の無い55年型シェビーが欲しくなってしまうほど。ビッグブロックエンジンへの換装や、「ディジー」ホイールに組み込んだファットなタイヤっぷりや、全体の雰囲気など、完璧なほどリアルで◎。クルマの制作は、ホットロッド専門誌でも活躍するビルダーでもある、リチャード・リース氏。その彼自身は、当時運営していた自身のショップのTシャツを着て、ガソリンスタンドの店員として登場していたりします。


冒頭のストリートレースでは、伝説のストリートレサー達&有名な個体が実際に登場していたり、旅先で参戦するドラッグレース場でのシーンなど、仕込みではない実際の人物やレースを撮影しているというリアリティーが高い魅力なのです。マッスルカーやホットロッドにおけるリアリティが垣間見れるのと同時に、ロードムービーとしてアメリカの景色の美しさを味わううえでも魅力大な映画なのです。


でも、そこに興味が無い人にとっては、とりわけ退屈な映画ともなりえるのでご注意を!

1970 PONTIAC GTO

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“ キーストーン” ホイールで格好をつけている雰囲気が、何者なのか不明で、どこかチャラいオーナーのキャラとシンクロして相乗効果によって魅力大な70年型GTO。実際のポテンシャルも高いのだが、劇中で本領を発揮するシーンが無く、その辺もまたオーナーのキャラとマッチして愛せるのだ。1/18スケールのダイキャストでは、ACMEがオフィシャルではないものの「DOUBLE LANE GTO」として世界限定996個リリース。比較的最近発売されたもので入手はまだできそう。GMPの金型を使用しているだけに超絶ハイディテールな上、車高スタンスなどもバツグンのカッコイイものだ。

1955 CHEVY HOT ROD

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◆オールドスクールなギャッサースタイルによるストリートレーサーという設定。ドライバー&メカニックのキャラクターともシンクロして、無愛想ながらもポテンシャルルックスともにイケている感じもリアルで魅力的。装着パーツのセレクトから、当時のホットロッドのトレンドも伺い知れる。1/18スケールのダイキャストでは、ERTLがオフィシャルなものとして2002年に製品化。マットグレーなカラーリングや武骨な仕上がりなどいい感じのモデル。しかしながら20年前にリリースされたものだけに、入手は困難になりつつある。

★石橋秀樹 アメリカンホビーショップ「ホットワイヤー」の店主であり、フリーペーパー「イグナイト」の編集人、そしてアメ車マガジンでもライターを行なうなど、アメリカンカルチャーに関する偉人(変人)である。人生は肩ひじはらずに「フリースタイル」なのが信条。


アメ車マガジン 2021年 7月号掲載

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