【2022 FORD F-150 ライトニング】本格EV化が進むピックアップトラック

ピックアップトラック

フォード

アメマガ2021年9月号

AMERICAN TRUCKS

F-150

F-150 ライトニング

2022 FORD F-150 Lightning

AMERICAN TRUCKS -ピックアップトラックの無限なる可能性-


2022 FORD F-150 Lightning ALL NEW MODEL

激化するEVモデル戦線はフォードがリード!?

全世界で進むEVモデルの開発は、ピックアップトラックが主流のアメリカでも同様だ。そしていち早く、ピックアップトラックのEVモデルを発表したのがフォード。主力のF-150にEVモデルの証となる「ライトニング」の名を与え、22年春からデリバリーが始まる予定だ。

マスタング・マッハEからフォードのEV化が加速

なんと、ライトニングがフルEVになって復活するとは驚きだ。いったいどういうことなのか?そもそも、ライトニングといえば、2001年に第10代目のF-150で導入された、ハイパフォーマンスモデルというイメージをお持ちのアメ車ファンが多いだろう。当時、アメリカでは空前のメーカー系チューニングブームが到来。独ダイムラーと資本関係にあったクライスラーが、HEMI搭載によるSRT(ストリート&レーシング テクノロジー)のラインアップを拡充させる戦法に出ていた。


これを受けて立つかたちで、フォードはマスタングなどでも活躍したフォード社内のSVT(スペシャル ヴィークル ティーム)がV8+スーパーチャージャー搭載でF-150・ライトニングを仕立てたのだ。


同車が市場に出回る直前、筆者は米カリフォルニア州内のウイロープリングスレースウエイでテスト車を全開走行させたが、そのジャジャ馬ぶりに、かなり手こずった記憶がある。

2022 FORD F-150 Lightning

あれから20年の月日が流れた、2020年代。アメリカを含めて世界自動車産業界にはEV旋風が吹き荒れている。その背景には様々な理由がある。ひとつは、CO2排出量、または燃費に関する法規制だ。なかでも厳しいのが欧州のCO2規制だ。その目標達成値は2020年代にどんどん厳しくなることが決まっており、日米欧の自動車メーカーのパワートレイン開発部の責任者たちは「まずは、欧州対応が必須」という。その結果として、欧州市場向けにEVやプラグインハイブリッド車の導入が進んでいるのだ。


一方、EVやFCV(燃料電池車)など、いわゆるZEV(ゼロエミッション ヴィークル)の販売比率について規制する法律は、アメリカ・カリフォルニア州環境局の大気保全委員会(CARB)が定めるZEV法と、そのZEV法を参考にして米中政府が協議して作成した中国のNEV(新エネルギー車)規制がある。こうしたなか、フォードは主要モデルに「お求めやすい価格」でのEVグレードを導入するという戦略に出ている。


最初に導入されたのは、マスタング「マッハE」だ。マスタングでマッハといえば当然、在りし日の「マッハ1(ワン)」があり、そうした過去の栄光の再認識し新時代に向かう企業姿勢を示したかたちだ。ただし、「マッハE」はマスタングを名乗っていても、その風貌はクロスオーバーSUVだ。後輪駆動と四駆があり、トップグレードでは0-時速60マイル加速が3/5秒というスーパーカー級の加速、そして満充電で305マイル(約488km)。エントリーモデルは価格は4万ドル(400万円)代とリーズナブルだ。マッハEで培ったEV技術を応用して、F-150ライトニングが登場した。特長は、2000年代のようにライトニングというスペシャルモデルではなく、ガソリン車のF-150と同じようにライトニングシリーズとして、プロ、XLT、ラリアート、プラチナムとグレードをフルラインアップしている点だ。これは「これからはピックアップトラックでもEVが当たり前の世の中になる」とフォードの強い意志の現れだ。周知の通り、F-150はフォードの大黒柱なのだから。


F-150ライトニング・プロは、ベースモデルで満充電での航続距離は230マイル(368km)、オプション設定で300マイル(480km)。また2.4kWのオンボードチャージャーや最新型の運転支援システムフォードCoPilot360が標準装備となる。フォードとしては、GMシルバラード、ステランティスのラムトラックに先んじてF-150のEVフルラインアップ化に着手することで、来たるべき本格的なEV時代をリードしていく構えだ。

2022 FORD F-150 Lightning

外装デザインはガソリンモデルと基本同様で、ボンネットもラゲッジスペースとなる。EVとなるF150ライトニングにはモーター2つが搭載される。バッテリーはスタンダードと大容量のオプションがあり、オプションでは563hpにもなるパワーを発生する。満充電でスタンダード約370km、オプションで約480kmの走行が可能となる。


TEXT/桃田健史
アメ車マガジン 2021年 9月号掲載

関連記事

RELATED


敢えてTOYOTAロゴのタンドラ1794エディションと「ラプタースタイル」のF150

2019 TOYOTA TUNDRA 1794 EDITION
2017 FORD F-150 RAPTOR CUSTOM

フォードのFシリーズトラック、アメリカで最も出荷台数の多いモデル

1971 Ford F250 Ranger XLT
アメリカのワークシーンで愛されてきた1971年型フォードF250レンジャーXLT。日本ではシボレーのトラックがホビーシーンやカスタムシーンを席巻しているが、アメリカのワークシーンではフォードのFシリーズが定番。本物のアメリカン・エッセンスを感じるヘビーデューティなオーナーの付き合い方をご紹介。内外装同様にヤレている雰囲気がビンテージ好きのはたまらないはず!

スモールピックアップ『マーベリック』フォードが大きな期待を寄せる

2022 FORD MAVERICK

デュースことフォード・モデルBは、ストリートロッドにおいてポピュラーなモデル

1932 Ford Pickup

2019年型 F-150ラプターが降臨!究極のベストセラーのモンスタートラック

アメリカン・スピリットを体現するプレミアムでパワフルな4x4トラック、2019年型フォードF-150ラプター。このトラックは人気が高く、アメリカ国内でもプレミアム価格で販売されることが多い。しかし、愛知県にあるアメリカ車専門ディーラーのライオンハートは、この新型車をリーズナブルな価格で輸入販売!詳しくは記事をチェック☆

AMERICAN 4X4 & TRUCK
2019 FORD F150 RAPTOR

 

最新記事


2024/10/10

直線基調のロングホイールベースで魅せる【カプリスワゴン】

ステーションワゴン

ビンテージ

シボレー

故きを温ね新しきを知る。いわゆる“温故知新”ということわざがあるが、若者たちのアメ車事情は新しきを知ってから古きを知るという逆転現象も珍しくない。2000年以降に生まれた若者たちを魅了してやまない80's Classicに迫る!

2024/10/09

VW TYPEⅡの対抗馬に相応しいCalでVintageなルックスを継承【フォードエコノライン】

バン

フォード

61年にファルコンをベースに誕生した初代エコノラインは、エンジンを床下にレイアウトしたキャブオーバーワンボックスバン。当時のVWタイプⅡに対抗すべくリリースされたとの噂。その二代目となるのが68年よりモデルチェンジを果たしたこちらの個体だ。

2024/10/08

小さくて個性的なクルマは無い? そうだ、パトリオットがあるじゃないか!【PATRIOTを購入した話】

SUV

ジープ

コラム

軽自動車を愛車にする編集部カズの奥さんが、「軽じゃ友達と遠出できないから違うクルマに乗りたい。小さくて個性的なアメ車って無いの?」との発言からスタートしたクルマ探し。そんなクルマってあったっけ? ガレージジョーカーと話し合いの結果、いいクルマを発見!それがジープ初のコンパクトモデル、パトリオットだ!

2024/10/07

アメ車の偏見を払拭し、本当に好きなクルマに乗る【クライスラー300】

セダン

クライスラー

ユーチューブチャンネルをきっかけにジェットシティを訪れたブラジル人のオーナーさんは、アメ車は欲しいが維持費などに不安があり、国産車のカスタムを依頼する予定だった。しかしジェットシティとの対話から、本当に好きなクルマに乗ることを決断する。

ランキング


2024/10/09

VW TYPEⅡの対抗馬に相応しいCalでVintageなルックスを継承【フォードエコノライン】

バン

フォード

61年にファルコンをベースに誕生した初代エコノラインは、エンジンを床下にレイアウトしたキャブオーバーワンボックスバン。当時のVWタイプⅡに対抗すべくリリースされたとの噂。その二代目となるのが68年よりモデルチェンジを果たしたこちらの個体だ。

2018/02/07

走っているとやけにハンドルがブレる…原因はタイヤ?ホイールバランス?それともブレーキか?【REFRESH PROJECT】

メンテナンス

コラム

走行中に感じた違和感。それはハンドルのブレ。【REFRESH PROJECT】

2024/10/08

小さくて個性的なクルマは無い? そうだ、パトリオットがあるじゃないか!【PATRIOTを購入した話】

SUV

ジープ

コラム

軽自動車を愛車にする編集部カズの奥さんが、「軽じゃ友達と遠出できないから違うクルマに乗りたい。小さくて個性的なアメ車って無いの?」との発言からスタートしたクルマ探し。そんなクルマってあったっけ? ガレージジョーカーと話し合いの結果、いいクルマを発見!それがジープ初のコンパクトモデル、パトリオットだ!

2022/04/08

US日産の巨大ユーティリティバンのNV3500

バン

逆輸入車

2019 Nissan NV Passenger