“火の鳥”というネーミングが与えられた「ファイヤーバード」

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ファイアーバード

アメマガ2020年7月号

過激に挑め!! MUSCLE WARS

1968 PONTIAC FIREBIRD

過激に挑め!! MUSCLE WARS


ポピュラーなカマロに対してファイヤーバードはポンティアックらしさが随所に盛り込まれたマニアックで「硬派」な存在

1968 PONTIAC FIREBIRD

フランス語で“友達”を意味するカマロに対して、“火の鳥”というネーミングが与えられた「ファイヤーバード」は、カマロと兄弟車ではあるものの、そのキャラクターは大きく異なる。プラットフォームは共通のFボディであることは当然ながら、フロントフェンダー、ドア、後部クオーターパネルなどのボディパネルも共有する。

 

それに対し、くちばしのように尖ったグリルを一周するバンパーや、分割タイプのシャープなテールランプなどは、ポンティアックのマッスルカーを代表するGTOに似たデザインを採用するなど、ポンティアックおよび、ファイヤーバードならではのアイデンティティーがしっかりと盛り込まれている。

 

中でも最も注目すべきは、フードの下に収まるエンジンだ。設定されたエンジンは、スタンダードの直6から、ハイパフォーマンスな400まで、その全てがポンティアック独自設計となっており、カマロとは一切被らない。それだけに、ポピュラーなカマロに対して、ファイヤーバードはマニアックで硬派なキャラクターを持っており、GM内でも最も前衛的で遊び心のあるポンティアックらしさを感じるのだ。

 

1967年にデビューした時点では、三角窓を持つデザインだったが、この68年型ではカマロ同様に“アストロベンチレーション”の採用によって三角窓が廃止され、フロント両サイドにあるウィンカーが大型化された。さらに、保安基準に伴って装備されたサイドマーカーは、ポンティアックのロゴをかたどったスタイリッシュなデザインとなっており、68年型特有のチャームポイントでもある。歴代ファイヤーバードの中でもファーストジェネレーションは、同年のカマロと比べて圧倒的に現存数が少ないため、アメリカでも希少な存在となっている。

アクセルワークにシンクロした軽快さが魅力

1968 PONTIAC FIREBIRD

1967年にデビューした時点での設定エンジンは、スタンダードの直6、230ci(3.8ℓ)、V8では326ci(3.8ℓ)215hpをはじめ、326ci"H.O.(ハイアウトプット)"285hp、400ci(6.6ℓ)にはスタンダード仕様とGTO同様の325hpの“ ラムエアー” とで、計5種類がラインナップされていた。68年型では直6の230ci が250ci(4.1ℓ)に拡大。326ciも350ci(5.7ℓ)に拡大され、”H.O.” 仕様は320hpを発生。400ciはスタンダードの他”H.O.”仕様として330hpが追加された。ラムエアーは新たにラムエアーIIとして335hpにパワーアップ。そのいずれもポンティアック独自に設計したもので、同等のシボレー製エンジンと比べると、スペックが近いものであっても、ポンティアック製エンジンでは「リッチなトルク」が体感できる。

 

当初マッスルカーとしてマッシブなポテンシャルを求めていたオーナーは、最強のラムエアーIIこそが理想と考えていたが、350ciながらもコンディションの良いこの個体のポテンシャルに満足している。暴力的なパフォーマンスは得られないが、歴代モデルの中でも特に車重が軽く、エアコンレス、スチール製の重いインテークをアルミ製に変更しているこの個体は、とりわけ軽く、発進時から高速走行までアクセルワークにシンクロした軽快な走りが得られる。また、コンバーチブルというキャラクターに見合ったカジュアルにイージードライブが楽しめる点でも気に入っているとのこと。

1968 PONTIAC FIREBIRD

ポピュラーな兄弟車のカマロに対して、一癖あるポンティアックならではのデザインがなんとも魅力的なファイヤーバード。グリルを縁取り、中央部が尖ったクロームバンパーや、丸形4 灯式のヘッドライトとのコンビネーションは、他のポンティアック車にも共通するアイデンティティーが引き継がれている。ダークブルーメタリックの車体色は純正色の“ フェイサムブルー” に則って数年前にリペイント。ホワイトのラグトップやクロームのモールディングとのコントラストが美しい。フロント側が若干高い車高スタンスは工場出荷時のオリジナルならではのものなのだ。

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68年型で新たに投入された350ciエンジンは、ポンティアック独自設計によるもので、圧縮比9.2:1、ロチェスター製2 バレルキャブレターによる265hp仕様。ストックをキープする状態から、インテークマニホールドを軽量でフローの良いエーデルブロック社のアルミ製に、キャブレターをホーリー製の4バレルにアレンジ。そのため若干だがオリジナル以上のポテンシャルを発揮しているのがポイント。

 

同等のシェビー製350に比べるとトルクの立ち上がりはマイルドな印象だが、車重やファイナルレシオとのバランスが取れているだけに、どの回転域でも付きの良いレスポンスが得られる。ステアリングもブレーキもタッチが良く、反応がダイレクトに感じらるだけに、ドライブを楽しむうえではむしろポジティブな要素となっている印象。ヘダースを装着していることで、排気音はストック以上に張りのある音色ながら程よい音量で心地良かった。

 

インテリアは、基本的に同年のカマロと似たデザインではあるが、オプションのセンターコンソールの形状がよりシンプルでウッド調の化粧板のパタンーンがより高級なデザインとなっている。シフターは専用のT 型ハンドルで、ウッド調で統一される。ステアリングは69年~72年のポンティアック純正品でデザインや質感がマッチしている。

 

大型の2 つのメーター内は、油圧、電圧、水温、燃料が組み込まれた社外品ながら、ストックのデザインに溶け込んでいる。シート&内張りは、トップ同様の白でコーディネート。

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Fボディを共有するカマロとは兄弟車関係にありながら、設定エンジンは全てポンティアック製。バルブカバー&エアークリーナーが社外品でドレスアップされているが、搭載エンジンは前年の326ciに換わって68年型で初めてラインナップされたポンティアック製350ciのスタンダードのストック。インテークをアルミのエーデルブロック製にアレンジし、本来のロチェスター製2バレルキャブレターはホーリー製4バレルにアップグレード。コアサポートからノーズ先端までの距離がカマロに比べて長いのも特徴。トランスミッションはストックの2スピードATパワーグライド。


アメ車マガジン 2020年 7月号掲載

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