洗練度を高めてシャープになった 「友だち」という名のスポーツクーペ シボレーカマロ
「camaro」は主要な欧州の言葉で仲間という意味を持つ言葉から作られた造語。毎日の日常の足として、友人と付き合うように乗ってほしいと名付けられたのだ。
シボレーカマロ 1967-2002, 2010y-
American Cars Best 20
「camaro」は主要な欧州の言葉で仲間という意味を持つ言葉から作られた造語。毎日の日常の足として、友人と付き合うように乗ってほしいと名付けられたのだ。ネオマッスルとしては最後発のカマロだが、モデルチェンジでスタイリングイメージも一新した。
フォード・マスタングが1964年4月に公開されて大きな話題となった後、シボレーの動きは迅速だった。翌1965年にはもう新型車の存在をチラつかせるようになり、1966年9月には最初のカマロを発売して見せたのである。マスタングにしてやられたままでは済まさないという強い意志が感じられる。
カマロも、マスタングのシェルビーGT350と同様に、モータースポーツ向けのベース車両としてZ28を初年度から用意するなど、もうガチンコのライバル意識丸出しという感じだが、そうした競争の中から魅力的なアメ車たちは生まれてきたのだ。その後、カマロもまたマッスルカーの時代を担う一翼となっていくが、やはり時代は突然彼らに背を向けた。
それでもカマロはパーソナル・スポーティカーという立ち位置を守り続けて21世紀を迎えたのだが、GMは突然カマロ(とファイアーバード)の廃止を決めたのだった。確かに当時、スポーティクーペの需要は世界的に縮小の一途であり、利益率の高いフルサイズSUVやピックアップトラックに注力した方が自動車メーカーの経営としては正解に違いない。
しかしそれまでの35年で育ってきたカマロファンにとっては大いに残念なできごとだった。しかしカマロは帰ってきた。またしてもマスタングの大ヒットがキッカケではあったが、2010年モデルで装いも新たなカマロの登場となったのである。マスタング、チャージャー、チャレンジャーに次いで、ネオマッスルカーとしては最後発となったカマロは、先発の4台と比べると、もっとも派手な顔付きで、アメ車っぽさ全開という印象だった。
それだけに、映画「トランスフォーマー」のバンブルビー役は画面的にもハマっており、映画を使ったアメ車のプロモーションとしてはもっともうまくいった例とさえ言われた。そのカマロが2016年モデルで次世代モデルへと切り替えられ、日本への正規輸入モデルも2018年モデルから導入される。すでに発売は開始されており、275psの2.0?直4ターボエンジンを搭載したクーペの「LT RS」、同エンジンの「コンバーチブル」、それから453psの6.2?V8エンジン搭載の「SS」の3グレード構成となる。
先代モデルには設定のあったV6エンジンは新型カマロの正規輸入ラインナップには無く、アメリカ本国のラインナップでもオプション扱いとされている。すでにV6エンジンよりも直4ターボの方が走行性能も高く燃費も良いという評価が固まっているということだ。本国モデルとしては日本のラインナップにはないトップモデルとして、2017年モデルからZL1が設定されている。先代モデルにもあったハイパフォーマンスモデルで、650hpの6.2?V8スーパーチャージャーを搭載、トランスミッションは6MTと10ATから選べる。
カマロを選ぶならハイパフォーマンスモデルだという人は並行輸入でZL1を手に入れることを考えよう。ちなみにZL1には写真のクーペのほかにコンバーチブルもある。カマロは新型になってスタイリングのイメージも大きく変わった。ヘッドランプは横長の細目になって、その間のグリル部分も思い切り細長くなって、全体としてキリッとシャープな顔付きになった。
しかしそのためにラジエーターグリルの開口部自体が小さくなったわけではなく、必要な開口面積はその下のバンパー部分に別に確保されている。そうしたフロントマスクのイメージに合わせて、テールランプのデザインも切れ長のものに変更されており、サイドシル部分のデザイン処理とともに洗練されたシャープなイメージを高めており、言ってみればユニバーサルなカッコ良さが実現されている。
これから正規輸入の開始とともに日本でもこの新型カマロが走り回るようになるだろう。先代モデルはアメ車ファンでないと乗りにくいという声もあったが、新型はアメ車ファン以外の層の目にもとまるのではないだろうか。
CAMARO LT RS
CAMARO Convertible
CAMARO SS
2018 Chevrolet Camaro ZL1 Coupe Specifications | |
全長 | 4831㎜ |
全幅 | 1905㎜ |
全高 | 1343㎜ |
ホイールベース | 2812㎜ |
トレッド | 前 1610㎜/後 1575㎜ |
重量 | 1761kg |
エンジンタイプ | V8 OHV |
総排気量 | 6.2? |
内径×行程 | 104.1㎜× 91.4㎜ |
圧縮比 | 10.0 : 1 |
最高出力 | 650hp/ 6400rpm |
最大トルク | 89.8kg-m / 3600rpm |
燃料供給装置 | 電子式燃料噴射( 筒内直接噴射) |
変速機 | 10AT |
EPA燃費 | 市街地5.9㎞ /?/高速8.5㎞ /? |
サスペンション前 | ストラット・コイルスプリング |
サスペンション後 | マルチリンク・コイルスプリング |
ブレーキ前 | ベンチレーテッドディスク |
ブレーキ後 | ベンチレーテッドディスク |
タイヤサイズ前 | P285/30YR20 |
タイヤサイズ後 | P305/30YR20 |
1st Generation 1967-69
先行したマスタングもファッショナブルなスタイリングだったが、この最初のカマロもスタイリッシュな仕上がりだ。コークボトルラインが明示されており、この後の第三世代コルベットへもつながるデザインが、このカマロで先に実現されていたのだ。
2nd Generation 1970-81
マスタングがビッグマスタングへとフェイスリフトを行なう前に、カマロは第二世代へと進化していた。先代とは全く異なるスタイリングであり、似ているところがまったくないとも言える。そのスタイリングから日本では「サメカマ」と呼ばれた。
4th Generation 1993-2002
グリルレスのフロントマスクを採用して、またしても先代モデルとはまったく異なるテイストのデザインとされた第三世代。日本ではこの頃にバブル景気があったため、販売台数の多かった型だ。同時期のコルベットと明確に異なるのも成功の要因だった。
4th Generation 1993-2002
グリルレスデザインは先代から受け継いでいたとはいえ、先代モデルと比べて一気に曲面スタイルへと変わったことに、ある種の戸惑いさえ感じた第四世代。この時代は日本でも「クーペ不況」が言われており、世間一般の目はカマロには集まらなかった。
5th Generation 2010-13
マスタングの大ヒットの要因に初代モデルへの回帰があったのは間違いなかったので、カマロの第五世代もそこに焦点を当ててデザインされていた。最後発だったことに加えて、あまりに派手な顔付きが、幅広い層からの支持を得るのは難しかったのだろう。
5th Generation 2014-15
第五世代のフェイスリフトモデルだが、明らかに現行の第六世代に似たフロントマスクになっている。ある意味、これは第六世代へのモデルチェンジ前の試金石であり、ここで手ごたえを感じることができたからこそ、第六世代は今の形になったのだろう。
CUSTOMIZED MODELS魅惑のボディワーク
キャンディアップルレッドの妖艶なボディカラーに、ミューラルとゴールドリーフが入ったカマロ。ZL1の前後バンパー・サイドスカートを移植してペイント、上下のグリルもペイントした。
ボディを縦横に流れるゴールドリーフは、一部のラインをキャンディペイントの下に入れてさまざまな表情を演出。インテリアもペイントと張り替えでフルカスタムだ。
http://gracecab.jp
赤と黒でZL1を造る
赤を選んだのはオーナーさん自身が広島カープファンだから。ZL1をベースにK&Nインテークカーボンパイプ、ボーラアタックマフラー、CPUチューン、ロングチューブヘダース、APRスプリッター、リアウインドルーバーを追加、ホイールはZL1用のHRE・P40SC・20インチ・ブラッシュドレッドを選んだ。赤と黒の塗り分けが絶妙だ。
http://www.bs-carbox.jp
カマロがマスタングへの対抗馬として発売されたのは間違いないが、シボレーとフォードとで事情が異なったのは、シボレーにはすでにコルベットがあったこと。コルベットはアメリカ製スポーツカーのトップランナーとなるべく開発されていたので、スポーティカーたるカマロには流用できる技術も多かった。
だから、カマロに課せられたのは「マスタングに勝つ」ことだけだった。ところがカマロが第二世代へと移行した頃には世の中の流れが変わりつつあった。事故率の高騰による保険料の引き上げ、進行する大気汚染を受けての対応不可能とも思えるほど厳しい排ガス規制、そしてオイルショックによる燃料代の暴騰と、どれをとっても自動車にとってマイナスの材料ばかりだった。
マスタングに勝つよりもまず、どうしたらカマロ自身を継続できるのかが課題とならざるを得なかった。そうした時期に、スポーツカーとしての性能はコルベットに任せて、カマロはパーソナルクーペとして特化すればいいという状況はラッキーと言えるものだった。だから逆に、第二世代から第三世代にかけての時期にも、Z28やIROC-Zなど高性能モデルにも手を出すことができた。
ただし、いよいよという場面になると、コルベットだけ残してカマロはやめるという選択肢をシボレーに与えたのも事実だろう。スポーツモデルをマスタングしか持たなかったフォードは、続けるしかなかったわけである。
http://www.chevroletjapan.com
■Text|アメ車MAGAZINE
アメ車マガジン 2018年 3月号掲載
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