ネオマッスル復活の先鞭をつけた アメリカン・スペシャルティカー フォードマスタング
今のネオマッスルカー隆盛のキッカケとなったのは、先代マスタングの大ヒットだった。それを見た各社がそれぞれにかつてのポニーカーたちをリバイバルさせて今の状況を作り出した。
FORD MUSTANG(フォードマスタング) 1964y-

American Cars BEST20
今のネオマッスルカー隆盛のキッカケとなったのは、先代マスタングの大ヒットだった。それを見た各社がそれぞれにかつてのポニーカーたちをリバイバルさせて今の状況を作り出した。しかしデビューから途切れることなく継続してきたのはマスタングだけだ。

1964年4月にマスタングが一般公開された時、時代が動いた。決して大げさではなく、1台のクルマを見るために公開会場となったニューヨーク万国博覧会には人々が押し寄せ、長蛇の列を作った。公開初日に2万2000台の注文が入り、その後1年間で40万台が売れたという空前絶後のスペシャルティカー、それがマスタングだった。
その後、マッスルカー時代の担い手の1台となったことはご存じのとおり。2004年秋、第五世代となるマスタングが発売された。2003年のデトロイトショーですでにほぼ市販バージョンのデザインを形にしたコンセプトカーが発表されており、一部の人たちからは注目されていた。2005年に入った頃には5thマスタングがかなり売れていると話題になっていた。5thマスタングがなぜ売れたのか。
さまざまな要因があって、とても理由をひとつに絞ることはできないが、ひとつは装備の充実度を競うことなく手頃な価格を実現したこと。それから、誰が見てもマスタングだと分かるスタイリングを採用したこと。実は4thマスタングもスタイリングのコンセプトは初代モデルへの回帰だったのだが、5thを見た後に改めて見直すと中途半端な感じがする。
しかしそれでもフォードは4thによって、その方向性にある程度の手ごたえを感じていたはずだ。さて、大ヒットモデルとなってチャレンジャー、カマロ復活のキッカケともなった第五世代の後を受けて、マスタングの現行モデルが一般公開されたのは2013年12月。2014年夏に2015年モデルとして発売された。先代モデルの後に現行型を見ると、なるほどマスタングだなと思えるのだが、実はこのフロントマスクは現在のフォード車に共通の顔でもある。
3rdマスタングの頃もフォードは同じように、フォード共通の顔をすべての乗用車に付けた時期があったが、今回はマスタングを世界中で販売しようという戦略の中でグローバルに好まれるデザインを採用したのだ。アメ車としての(すなわちマスタングとしての)アクの強さは抑えられ、ヨーロピアン風のカッコ良さが前面に出ている印象だ。現行モデルの最大のニュースはエコブーストエンジンの新採用だ。
マスタングはV8エンジンを積んだスポーツカーだというイメージがあるが、実際にはアメリカ本国でも日本でも、V8よりV6の販売台数の方が多いのが事実である。そのV6エンジンを直4ターボエンジンで置き換えようというのが6thマスタングの2.3?直4ターボエンジンだ。スペックを見ると、燃費はもちろん最高出力でも最大トルクでもV6エンジンを上回っているし、実際に走ってみても、低速からトルク感のあるリニアな加速は「直4」という言葉から受けるイメージが完全に裏切られるものになっている。
そうしたエコブーストエンジンの評価がマスタングでも固まってきたことを受けて、2018年モデルでは初めてV6エンジンがラインナップから外れて、V8と直4エコブーストのみとなった。同時にエコブーストエンジンは最大トルクを48.4kg?mへと向上させた。また、2018年モデルでは内外装のデザイン変更、V8エンジンのパワーアップ、10ATの採用なども行なわれ、ますます魅力あるマスタングになっている。
GT Premiun Convertible

GT Premiun Fastback

GT Fastback

Eco Boost Premiun Convertible

Eco Boost Premiun Fastback

Eco Boost Fastback

| 2018 Ford Mustang GT Premium Specifications | |
| 全長 | 4783㎜ |
| 全幅 | 1915㎜ |
| 全高 | 1382㎜ |
| ホイールベース | 2720㎜ |
| トレッド | 前 1582㎜/後 1648㎜ |
| 重量 | 1680kg |
| エンジンタイプ | V8 DOHC |
| 総排気量 | 5.0? |
| 内径×行程 | 91.4㎜× 91.4㎜ |
| 圧縮比 | 11.0 : 1 |
| 最高出力 | 460hp/ 7000rpm |
| 最大トルク | 44.2kg-m / 4600rpm |
| 燃料供給装置 | 電子式燃料噴射( 筒内直接噴射) |
| 変速機 | 10AT |
| EPA燃費 | 市街地6.4㎞ /?/高速10.2㎞ /? |
| サスペンション前 | ストラット・コイルスプリング |
| サスペンション後 | マルチリンク・コイルスプリング |
| ブレーキ前 | ベンチレーテッドディスク |
| ブレーキ後 | ベンチレーテッドディスク |
| タイヤサイズ前後 | P235/50WR18 |
1st Generation 1964-70

記念すべき初代マスタング。写真は1965年モデルでファストバックだが、当初発売されたのはノッチバックのクーペとコンバーチブルのみ。オプションは膨大なリストから自由に選ぶことができ、まったく同じ仕様のマスタングは1台もないとまで言われた。
1st Generation 1971-73

初代モデルを2つに分けたがそれほど深い意味はない。こちらは1971年以降の「ビッグマスタング」と呼ばれたモデル。マッスル時代に向けたボディも大きく最強のマスタングだったが、排ガス規制の強化にともない、パワーダウンを余儀なくされていく。
2nd Generation 1974-78

時代の向い風の中、ボディもエンジンもダウンサイジングした第二世代。コブラ、コブラⅡ、キングコブラなどのハイパフォーマンスを狙ったモデルもリリースされたが、当時の技術ではやはり中途半端なものであり、それを求める時代ではなかった。
3rd Generation 1979-93

1980年代を通してもっともモデルレンジの長かったマスタング。フロントマスクにはマスタングとしての特徴は無く、他のフォード車と共通デザインだった。ただし先代とは異なり、5.0? V8エンジンなども用意され、走行性能は回復に向かっていた。
4th Generation 1994-2004

初代への回帰をスタイリングコンセプトとした第四世代。写真は後期型の1999年モデル。後期型はエッジの立ったラインにより精悍さが増した印象に仕上がっていた。マスタングとしてのディテールをより際立たせることでヒットした第五世代への萌芽が見られる。
5th Generation 2005-14

文字通りマスタングのRe-birthを果たした第五世代。ハイパフォーマンスバージョンのシェルビーGT500も復活し、新たなマッスル世代の主役となった。その影響は他メーカーにもおよび、ダッジ・チャレンジャー、シボレー・カマロが相次いで復活した。
CUSTOMIZED MODELS
600hpへ超パワーアップ
フォードレーシングとROUSHが共同開発したマスタングGT用スーパーチャージャーキットを装着して、シャシダイ計測で603hpを記録した。この大パワーを受け止めるための足回りは、ダイバンとTEINが共同開発した車高調キット。車速やGに応じて減衰力を自動制御する優れものだ。
http://www.daiban.com

LBワークスのマスタング
日本国内はもちろんヨーロッパからもLBワークスのマスタングへの期待が寄せられ、そのアンサーとして製作されたのがこれだ。オーバーフェンダーはフロント6㎝、リア8㎝、フロントディフューザー+カナード、サイド&リアディフューザー、リアダックテールをキット化。ダクトボンネットはオプション。
http://libertywalk.co.jp
1960年11月に、リー・アイアコッカがフォードブランド事業部の統括責任者になって間もなくから、フォード内のマスタングプロジェクトは動き出した。誰もが欲しくなるようなファッショナブルでスポーティな、それでいて手頃な価格のクルマが必要だとアイアコッカは考えていた。
プロジェクトメンバーを集めてコンセプトカーを製作、公開しつつ、他にもあらゆる手を尽くして、来たるべきフォードの新型車「マスタング」への世間の期待をあおった。アイアコッカはセールス&マーケティングの手腕については当代随一のものを持っていた。市販のマスタングが公開されてからはご存じのとおり、熱狂的なブームが巻き起こった。しかし数年もするとその熱も冷めてくる。そうなる前にアイアコッカが打った次の手は、モータースポーツへの進出だった。
シェルビーGT350であり、GT500である。これらのハイパフォーマンスバージョンをレースで活躍させることで、マスタングのユーザー層を広げ、代替えの需要も掘り起こそうとした。そうした動きは各メーカーにもあり、マッスルカーの時代(当時はマッスルカーという言葉は無かった)が到来した。
しかしそれがピークに達しようとしたまさにその時に、事故の増加による保険料値上げ、マスキー法による排ガス規制の強化、そしてオイルショックなどの逆風が一気に吹いた。そこからの本格的な復活は第五世代を待つしかなかったのである。
https://www.ford.com
■Text|アメ車MAGAZINE
アメ車マガジン 2018年 3月号掲載
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