-アメカルにまつわるエトセトラ- #13「警官とコーヒーとドーナツ 」

コラム

アメマガ2021年3月号

アメカルにまるわるエトセトラ

#13「警官とコーヒーとドーナツ 」

et cetera about AMERICAN CULTURE -アメカルにまつわるエトセトラ-


et cetera about AMERICAN CULTURE -アメカルにまつわるエトセトラ-
#13「警官とコーヒーとドーナツ 」

アメリカ映画によく登場する警察官。その役割は様々ですが、邦画よりも印象が強い気がするのは、より市民生活に身近な存在なのだからかもしれません。そんな警官と親和性が高いのが「コーヒーとドーナツ」。いくらでもその例は思い当たるのですが、個人的に即座に思い浮かぶのが、「ダイハード('88)」に登場するパウエル巡査部長です。


普段は庶務を担当しているパウエルですが、強盗グループに占拠されたナカトミ・プラザ付近に偶然いたため、事件に巻き込まれてしまいます。パウエルとブルース・ウィリス扮するジョン・マクレーンの無線でのやり取りがジョンの心情描写になっているなど重要な役割。そんなパウエルですが、なぜ、デスクワークにもかかわらず深夜の市中にいたかというと…コンビニにドーナツを買いに来ていたのです(笑) 店内商品棚から大量のドーナツをわしづかみにしたパウエルは、聞かれてもいないのに「女房が妊娠してね」とほくほく顔で店員に告げますが…自分用なのは明白。パウエルは「ダイハード2('90)」にも登場しているのですが、デスクの上に散らばっているドーナツを見ると他人事ながら少々心配せずにはおれない食環境です。


そしてもう一つ印象的なのが、'90年代初頭にカルトブームを巻き起こしたアメリカ製TVドラマシリーズ「ツイン・ピークス」。カイル・マクラクラン扮するクーパー特別捜査官が捜査のため訪れた田舎町ツイン・ピークスで起こる群像劇です。脚本・監督が奇才デヴィッド・リンチですから、今なら「考察サイト」が立ち上がるだろう不思議なドラマでした。その中でクーパーが愛してやまなかったのがチェリーパイとコーヒー、そしてドーナツだったのです。


さて、なぜこれほど警官とコーヒー&ドーナツの相性が良いかというと…割と有名な都市伝説があります。「某ドーナツ店では警官が制服で来店するとコーヒーとドーナツが無料で提供される」というもの。真贋諸説あるのですが、「公式には無いが全く無かった訳でもない」ということらしいです。24時間営業といえばコービーショップくらいだった在りし日々、深夜勤務の際に空腹を解消し、さらに眠気を覚ますにはコーヒーとドーナツくらいしかなかった。そして深夜の営業は不用心。そこで制服警官に立ち寄ってもらえれば防犯にも役立つ…というお互いの利害が一致して、そのようなサービスが一部で行われていた…ということのようです。その辺の事情、やはり日本とは少々異るようです。


ところで…今回少し調べたところ、ダイハードのパウエルがコンビニで買っていたのは、実はドーナツではなかったことが判明!( 吹き替えと字幕ではわからなかった) さらにそれを調べる過程で面白い映画を一本見つけちゃいました。そちらについてはまた次の機会に。

cap_2001

TEXT & ILLUSTRATION : JIN HATTA
アメ車マガジン 2021年 3月号掲載

最新記事


2025/11/11

兄弟揃ってマッスルカーさらにボディもマッスルに

セダン

クーペ

ダッジ

フォード

ファミリーカーがアメ車だったということで、物心つく前からアメ車と触れ合っていた兄弟。そんな生活を送っていればアメ車は非日常ではなく、日常のありふれた光景。そのため2人がアメ車を選んだことは自然の理と言えるだろう。

2025/11/06

統一感が生む独自の世界は近未来な印象を抱かせる【ハマーデザイン】

クーペ

ビンテージ

シボレー

ショップ

ハマーデザインの濱岡氏がアメリカ滞在時に出会ったダニーD氏。彼に亡き今、その遺志を継承し後世に広める者として、様々な作品を濱岡氏は生み出し続ける。

2025/11/04

【FIELD STYLE JAPAN 2025】450社以上が出展するアジア最大級のアソビの祭典

イベントレポート

FIELDSTYLE JAPAN 2025
AICHI SKY EXPO(愛知国際展示場)

2025/10/30

【マッスルカーナショナルズ14】イベントの主役は、1960~70年代のアメリカンマッスルカーたち

イベントレポート

MUSCLE CAR NATIONALS 14
18th May 2025
名古屋港ガーデンふ頭ひがし広場

ランキング


2025/11/11

兄弟揃ってマッスルカーさらにボディもマッスルに

セダン

クーペ

ダッジ

フォード

ファミリーカーがアメ車だったということで、物心つく前からアメ車と触れ合っていた兄弟。そんな生活を送っていればアメ車は非日常ではなく、日常のありふれた光景。そのため2人がアメ車を選んだことは自然の理と言えるだろう。

2018/03/27

スラムドは不向きとされるラムバンを極限まで落とし込む

バン

ダッジ

足回り

アストロやシェビーバンなどのGM系バンでは着地スタイルも珍しくはないが、ベースがラムバンとなると車高調でローダウンが限界…。だが、その一歩先を目指し、アキュエアーを駆使してボディメイクを敢行!

2024/12/31

【FORD F-150 LIGHTNING】公道は走行できないですがビジネスのために投入!

ピックアップトラック

フォード

チャレンジャー専門店のラグジ・島澤社長から「F-150のライトニングを、ディスプレイ用として購入したお客様がいますよ」と連絡が。展示するためのクルマってどういうこと? とモヤモヤしながら取材に向かった。

2020/08/31

魅惑のマッスルカー黄金時代:1960年代と70年代の誇り高き車両たち

ビンテージ

人気のあるマッスルカーであるマスタング、カマロ、チャレンジャーに焦点を当て、1969年のシボレー・カマロ、コルベット、フォード・マスタング・ボス429を紹介。性能やコストパフォーマンスだけでなく、美しさや運転の喜びにも注目。