-アメカルにまつわるエトセトラ- #43 壮大なセルフパロディ

#43 壮大なセルフパロディ
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まるでダンジョンのように深化し続けるマーベル・シネマティック・ユニバース(以下МCU)にくらべ、入口をずらしたり別の小部屋を作ってみたり…と進行方向の定まらぬDCエクステンデッド・ユニバース(以下DCEU)の明暗がいよいよくっきりとしてきました。
МCUはМCUで、配信ドラマシリーズをベースに枝葉が広がり続けている様はもはや「一見さんお断り」。漏らさず追い続けているМCUファンからすると「こんなに深化してしまうと一部のファンしか映画を見に行けなくなるんじゃ…」といらぬ心配までしてしまいますが、それでも破綻なく物語がつながっているのはケヴィン・ファイギという稀代のプロデューサーが一貫してリーダーシップをとり続けてきたから…と言われています。対してDCEUではそれぞれの監督が作品ごとに主導権を握ってきたため、シェアード・ユニバース(映画世界観の共有)が有効に活用されづらかったようです。
そこで、マネージメントのプロフェッショナルであるピーター・サフランと、「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」の監督として知られているジェームズ・ガンをCEOに迎えたスタジオが新設され、新たにDCユニバース(以下DCU)としてリスタートを切るようです。そんなDCUの作品としてカウントされたのが、今春に公開された「The Flash」です。「 『The Flash』って『ジャスティスリーグ』の流れだよね?」と思われた方…正解です。
少し先に公開された「シャザム!~神々の怒り~」と共に、DCEU体制下で制作された作品でしたが、「素晴らしい作品だから」ということでDCUの計画に組み込まれたそう。この辺の安直な判断がDCEUの混沌を招いた一因のような気もしますが…実は「The Flash」、確かにある意味でDCUのオープニングを飾るにふさわしい作品でした。
超高速で移動することができるフラッシュ/バリーは、次元の壁を超えることで時間移動できることに気が付きます。そこで、幼いころに殺害された母を救うために時間を遡るのですが…つまりタイムリープが今作のテーマ。そして、昨今タイムリープをテーマにするとお約束のように現れるのが多元宇宙…マルチバースです。
例えば(少しネタバレします)、多くの俳優が演じたことでも知られているバットマンですが、今作ではバースごとに三人の異なる俳優が演じたバットマンが登場。また、契約的破局を報じられているガル・ガドットのワンダーウーマンや、タイムリープの過程で生じた次元断層では実際には映画化されなかったニコラス・ケイジのスーパーマンまで登場。これは「(DCEUで製作された物語)全てをリセットする」と明言したジェームズ・ガンによる壮大なセルフパロディを見せられた気分。それはそれで興味深かったのですが、なにはともあれ今後の新たな展開に期待します。
TEXT & ILLUSTRATION : JIN HATTA
アメ車マガジン 2023年1月号掲載
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