-アメカルにまつわるエトセトラ- #35 AMERICA's アニキ
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トム・クルーズなどのように巨額バジェットの映画で活躍する〝ザ・ハリウッド〟な俳優も素敵ですが、規模の大小にあまり頓着せず、作品の面白さで出演を決めている(ように感じる)俳優には男気を感じざるを得ません。そんな俳優の代表格と言えばカート・ラッセルです。
子役として早くからキャリアをスタートさせた彼は、何本か出演した後にいったんはマイナーリーグでプロ野球選手の道を歩みかけましたが、肩のけがで俳優業に復帰。そして出会ったのがジョン・カーペンターでした。
今でこそジョージ・ルーカスやスティーブン・スピルバークなどの登場によって市民権を獲得したSFやホラー映画ですが、1980年代くらいまでは今でいうサブカルカテゴリー…つまりあまり予算のかけられないB級扱いでした。ただし、予算がかけられないからこそのアイデアにあふれた楽しい時代だったともいえます(前述の名監督たちも無名時代にアイデアあふれたB級映画を製作しています)。
そんな時代に我々を楽しませてくれた監督の一人がジョン・カーペンターでした。その彼によって1981年に公開された近未来SF「ニューヨーク1997」のスネーク・ブリスキン(有名なステルスゲーム「メタルギア」の主人公、ソリッド・スネークのモデル)や、SFホラーの金字塔ともいえる「遊星からの物体X」のマクレディなどでマニアの間では知られる俳優となりました。
私は、「遊星からの物体X」で初めて認識したので彼には「芯の強いアクション俳優」というイメージを持っていたのですが、その後の「チャイニーズ・ゴーストストーリー」でのヤンキートラック野郎の姿を見てびっくりしたことを覚えています。しかし、一般的に知られるようになったのは何と言っても「バックドラフト」です。トレードマークでもあった長髪を短く刈込み、腰の定まらぬ弟を憂う堅物の兄…というキャスティングはそれまでの彼のキャリアとは一線を画しますが、まったく違和感なく演じられたのは確かな演技力のなせる業。
その後もSFから社会派映画まで幅広く活躍しますが、再び観客を驚かせてくれたのが、以前このコラムでも取り上げたタランティーノ監督の「デス・プルーフ」。ここで、彼はまるで自分のキャリアを揶揄するようなスタントマン上がりの猟奇殺人鬼を演じ、ラストでは獲物にするはずだった女の子たちからなぶりものにされるというオチ。とは言え、そんな役を演じていても彼のイメージを損なわないのは、前述したように「面白さ」のためには役を選ばない姿勢を観客みんなが認識しているからだと思います。
2017年公開の「ガーディアンズオブギャラクシー2」では主人公スターロードの父親であるエゴに扮し、МCUでも大活躍。2022年で71歳を迎えた彼ですが、まだまだ元気で我々を楽しませて欲しいと願ってやみません。

TEXT & ILLUSTRATION : JIN HATTA
アメ車マガジン 2023年2月号掲載
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