-アメカルにまつわるエトセトラ- #35 AMERICA's アニキ

コラム

アメマガ2023年2月号

アメカルにまるわるエトセトラ

#35 AMERICA's アニキ

et cetera about AMERICAN CULTURE -アメカルにまつわるエトセトラ-


et cetera about AMERICAN CULTURE
-アメカルにまつわるエトセトラ- #35 AMERICA's アニキ

トム・クルーズなどのように巨額バジェットの映画で活躍する〝ザ・ハリウッド〟な俳優も素敵ですが、規模の大小にあまり頓着せず、作品の面白さで出演を決めている(ように感じる)俳優には男気を感じざるを得ません。そんな俳優の代表格と言えばカート・ラッセルです。

 

子役として早くからキャリアをスタートさせた彼は、何本か出演した後にいったんはマイナーリーグでプロ野球選手の道を歩みかけましたが、肩のけがで俳優業に復帰。そして出会ったのがジョン・カーペンターでした。

 

今でこそジョージ・ルーカスやスティーブン・スピルバークなどの登場によって市民権を獲得したSFやホラー映画ですが、1980年代くらいまでは今でいうサブカルカテゴリー…つまりあまり予算のかけられないB級扱いでした。ただし、予算がかけられないからこそのアイデアにあふれた楽しい時代だったともいえます(前述の名監督たちも無名時代にアイデアあふれたB級映画を製作しています)。

 

そんな時代に我々を楽しませてくれた監督の一人がジョン・カーペンターでした。その彼によって1981年に公開された近未来SF「ニューヨーク1997」のスネーク・ブリスキン(有名なステルスゲーム「メタルギア」の主人公、ソリッド・スネークのモデル)や、SFホラーの金字塔ともいえる「遊星からの物体X」のマクレディなどでマニアの間では知られる俳優となりました。

 

私は、「遊星からの物体X」で初めて認識したので彼には「芯の強いアクション俳優」というイメージを持っていたのですが、その後の「チャイニーズ・ゴーストストーリー」でのヤンキートラック野郎の姿を見てびっくりしたことを覚えています。しかし、一般的に知られるようになったのは何と言っても「バックドラフト」です。トレードマークでもあった長髪を短く刈込み、腰の定まらぬ弟を憂う堅物の兄…というキャスティングはそれまでの彼のキャリアとは一線を画しますが、まったく違和感なく演じられたのは確かな演技力のなせる業。

 

その後もSFから社会派映画まで幅広く活躍しますが、再び観客を驚かせてくれたのが、以前このコラムでも取り上げたタランティーノ監督の「デス・プルーフ」。ここで、彼はまるで自分のキャリアを揶揄するようなスタントマン上がりの猟奇殺人鬼を演じ、ラストでは獲物にするはずだった女の子たちからなぶりものにされるというオチ。とは言え、そんな役を演じていても彼のイメージを損なわないのは、前述したように「面白さ」のためには役を選ばない姿勢を観客みんなが認識しているからだと思います。

 

2017年公開の「ガーディアンズオブギャラクシー2」では主人公スターロードの父親であるエゴに扮し、МCUでも大活躍。2022年で71歳を迎えた彼ですが、まだまだ元気で我々を楽しませて欲しいと願ってやみません。


TEXT & ILLUSTRATION : JIN HATTA
アメ車マガジン 2023年2月号掲載


最新記事


2025/12/11

【ジープオーナーズミーティング】Jeepがあるから楽しい。仲間といればもっと楽しい!

イベントレポート

Jeep owner's meeting in SAGA vol.3
佐賀空港グランド

2025/12/09

【WHAコーポレーション】ユーザーと一緒になって、ジープを楽しむ専門店!

SUV

ジープ

ショップ

日本国内でジープは正規販売されているが、アメリカ仕様は日本にないボディ色やエンジンなどがラインナップされる。正規輸入車は確かに乗りやすいが、それを差し引いてもUSモデルに乗りたい人たちが、WHAコーポレーションの扉を叩く。

2025/12/04

【1970 シボレー ノバ】90年代の350エンジンを搭載して気楽に乗れる

クーペ

シボレー

日本の道路事情にマッチしたサイズ感と、70年代のアメ車らしさを色濃く感じさせるフォルム。同年代のシェベルとは異なる魅力を放つNOVA。その個性を生かしつつも快適に乗れるようにアップデート!

2025/12/02

【Camp Jeep 2025】Jeepとともに全力でアウトドアを満喫できるキャンプイベント

イベントレポート

Camp Jeep 2025 with Feel EARTH
新潟県 苗場高原オートキャンプ場

ランキング


2022/04/08

US日産の巨大ユーティリティバンのNV3500

バン

逆輸入車

2019 Nissan NV Passenger

2020/08/31

魅惑のマッスルカー黄金時代:1960年代と70年代の誇り高き車両たち

ビンテージ

人気のあるマッスルカーであるマスタング、カマロ、チャレンジャーに焦点を当て、1969年のシボレー・カマロ、コルベット、フォード・マスタング・ボス429を紹介。性能やコストパフォーマンスだけでなく、美しさや運転の喜びにも注目。

2024/03/22

1997年の新車購入から四半世紀を経てフルリメイクを敢行!【1997 シボレー サバーバン】

SUV

シボレー

OBSを語る上で新車からずっと乗り続けているオーナーは非常に興味深い。それがスラムドサバーバン界の重鎮且つ、ショーカーで普段使いまでこなす強者となればなおさらだ。そこで濱田さんに登場頂いた次第だ。

2025/12/11

【ジープオーナーズミーティング】Jeepがあるから楽しい。仲間といればもっと楽しい!

イベントレポート

Jeep owner's meeting in SAGA vol.3
佐賀空港グランド