-フリースタイルで行こう- #16 嗚呼、憧れのHEMIエンジン

コラム

アメマガ2021年8月号

フリースタイルで行こう

#16 嗚呼、憧れのHEMIエンジン

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#16 嗚呼、憧れのHEMIエンジン

アメ車乗りにとっての永遠の憧れHemi。レースシーンにおける数々の伝説が証明するアメリカンV8最強エンジンだ! 大排気量らしからぬクイックなレスポンスで発揮される暴力的で高いポテンシャルは、メイクスを超えて支持されている。今回はMopar Hemiエンジンがいかに素晴らしく、伝説的な存在なのかを考察していくことにしよう。

レースシーンでも数々の快挙を成し遂げた426Hemi、暴力的で強烈なトルクを誇る地球最強の「神エンジン」

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車の魅力には様々な要素がありますが、魅力を追求して行けば行くほど、メイクスに対するアドバンテージも明確になっていくもの。そのため、シェビー、フォード、モパーなど、それぞれのメイクスに特化した専門誌、ショップ、イベントなどが成立しているのです。そこではモデルそのもののメイクスよりも、搭載エンジンのメイクスの方が優先されているというのがポイント!

 

シェビー専門のイベントなら、シェビーのエンジンを搭載したフォード車が参加するケースは珍しくないし、とりわけメイクスに対するアドバンテージが強めのモパーのイベントでも、HEMIエンジンを搭載したドイツ車や日本車を目にすることも。つまり、それだけエンジンが重要な要素ということ。

 

自分の場合は、好みのモデルの多さでは、圧倒的にシェビーだし、ブランドとしてのイメージやモデルのキャラクターでは、ポンティアックの方が好み。そして、エンジンでは、スモールブロックに限定すれば、70年型のZ28に代表される350LT1こそが、トルク特性、レスポンス、コスパなど、総合的に最強かつ最高に魅力的だと思うのです。 しかし、ビッグブロックとなるとモパーの440マグナムがダントツで1番!

 

7200㏄の大排気量ならではの強烈なトルクが、小排気量エンジンのように、速やかに発揮されるレスポンスの良さは格別。マニュアルミッション車では恐怖レベルなのです!それは、あくまでも、オリジナルの状態での話で、とりわけ短いストロークがもたらすモパーならではの味付けともいえるでしょう!そして、その440をも凌ぐバイオレントなポテンシャルの神エンジンなのが「426HEMI」なのです!!

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アメ車ファンならば、426HEMIがスペシャルであることはご承知でしょうが、希少性やステイタスで求めるものではなく、そのパフォーマンスこそが最大の魅力。30年ほど前から現在までに、身近に426HEMI車オーナーが数人いたおけげで、オリジナルとしての426HEMIの本領を何度も味わっているうえに、ライター業として様々なモデルを試乗した経験からも、426HEMIは紛れもなく頂点であり、憧れの存在です。

 

NASCARにしろNHRAにしろ、トップカテゴリーでの快挙には426HEMIが常に関係しているだけに、ホットロッドの世界では、メイクスの垣根を超えて426HEMIは採用されるのです。圧倒的なパフォーマンスだけでなく、特徴的なHEMIヘッドのルックス的なカッコ良さも大きな魅力。そこそこのクルマが買えるほどの高額ゆえに、なかなか難しいですが、ホットロッダーとしても、いつかは426HEMIを搭載することが目標なのです!!

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「HEMI」のネーミングは、特徴となる燃焼室の形状が半球(Hemispherical・ヘミスフェリカル)であることが由来。SOHCやDOHCなみのビッグバルブを採用できるため、高回転、高出力を実現。それでいて基本はOHVなだけに、構造的にシンプルでタフ。とはいえ、従来のOHVに対してはパーツ点数が多く、重量の増加やコスト高なのが難点なのだ。ちなみに下記の写真はリバティクラシックス製の1/6スケールの426HEMIエンジンのダイキャストモデル。その構造を見て取れるリアルなモデルなので、実物をゲットできるようになるまではこのモデルで夢を膨らませてはどうだろう?

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マッスルカー全盛期の64~71(ストリートHEMIは66年以降)にラインナップ。NASCAR、NHRAなど、とにかくレースシーンで大活躍。ドラッグレースのトップカテゴリーにおいては、70年代初頭から現在でも、車種に関係なく全てクライスラーHEMIに準じたエンジンを採用!スーパーストックでは、426HEMI搭載車がダントツで速いため、HEMI スーパーストック・シュートアウトとして別枠が設けられるほどなのだ。

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アメリカンV8の特性は、馬力よりもトルク。そして、そのトルクが危険なほどクイックに発揮されてこそのマッスルという意味でも、初代や現代版でもなく、第2世代の426HEMIこそが頂点。マウスでもラットでもなく、エレファントと呼ばれ、所有しているだけでなく、本領を発揮できるオーナーは、エレファントトレーナー(ゾウ使い)なんていわれるほど!

 

440ciをモディファイすることで低コストにて同等のパワーを得ることはできても、予想以上にクイックで危険レベルのレスポンスの良さは426HEMIならでは。それだけに、近年の500ci以上のストローカーHEMIは、むしろストリートフレンドリーで扱いやすいのがポイント。

★石橋秀樹 アメリカンホビーショップ「ホットワイヤー」の店主であり、フリーペーパー「イグナイト」の編集人、そしてアメ車マガジンでもライターを行なうなど、アメリカンカルチャーに関する偉人(変人)である。人生は肩ひじはらずに「フリースタイル」なのが信条。


アメ車マガジン 2021年 8月号掲載


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