-アメカルにまつわるエトセトラ- #22 「THANK YOU STAN」

コラム

アメカルにまるわるエトセトラ

アメマガ2021年12月号

#22 「THANK YOU STAN」

et cetera about AMERICAN CULTURE -アメカルにまつわるエトセトラ-


et cetera about AMERICAN CULTURE -アメカルにまつわるエトセトラ-
#22「THANK YOU STAN」

マーベル・シネマティック・ユニバース(МCU)のオープニングでは、お馴染みのBGМと共にマーベルコミックがパラパラとめくられ、次第に現れる「MARVEL STUDIOS」のロゴの中にマーベルヒーローたちが現れては消えていくのが定番です。


しかし、2019年3月に公開された「キャプテン・マーベル」ではヒーロー達の代わりに、様々な姿でМCUに登場し続けたスタン・リーの姿が走馬灯のように駆け巡り、最後には「THANK YOU STAN」の1行が。そう、前年に亡くなったマーベルコミックの祖であるスタン・リーを偲ぶトリビュートだったのです。


なるべく事前情報を耳にしないで映画館に行くことにしている私は、不意のこの演出に本編始まる前から涙腺を決壊させてしまったのでした。


1922年生まれのスタン・リーは、高校を卒業して叔父の経営するタイムリー・コミックス( 後のマーベル・コミック)に編集助手として就職しますが、その才能を早々に開花させ10代で編集長へと昇格。


アーティストのジャック・カービー(キャプテン・アメリカ、ハルク、ソー、アイアンマン、X‐メンのオリジナルメンバーなどの誕生に関わり、アメコミ界の「ザ・キング」と呼ばれる)やスティーブ・ディッコ(スパイダーマンやドクター・ストレンジ誕生に関わる)などと共にマーベル・ヒーローを作り続けました。


それまでは画一的であったヒーローキャラクターに、人間らしい悩みや葛藤を与え、物語に深みを加えたのもスタン・リーのアイデアであったといわれています。つまり、マーベルのみならず、現在に続くアメコミ・ヒーローの下地を作ったといっても過言ではないでしょう。


また、「このマンガの作者はこの人」と明言できる日本とは異なり、同じタイトルを様々なアーティストが描きつないでいくアメコミ界(だからこそ戦前に誕生したキャプテン・アメリカやスーパーマンがアップテートしながら現役で活躍し続けているわけです)では、キャラクターの版権や収益分配についての争いが尽きなかったようですが、それだけに編集者であり原作者でもあるスタン・リーは、包括的にマーベルコミックを象徴する存在となりました。


セルフプロデュースに長けていたのもスタン・リーの特徴です。МCUやX‐メンなどマーベル関連の映画にはほぼ必ずカメオ出演。事ある毎にカメラの前に姿を現し、ご機嫌よろしくスパイダーマンのウェブシュートポーズを決めた画像がたくさん残っています。


そんな彼がコラムの文末に書き添えていた言葉が「EXCELSIOR!!」(ラテン語で〝更に高く〟〝向上する〟などを意味するそうです)。「もっと面白く・素晴らしい」作品を自ら望んでいたのかなぁと勝手に想像して今でも少し熱くなるのです。

cap_2001

TEXT & ILLUSTRATION : JIN HATTA
アメ車マガジン 2021年 12月号掲載


最新記事


2026/09/28

【WEC 富士 6時間 2026】キャデラック・コルベット・マスタング、そしてグッドイヤーが挑んだ6時間の戦い

イベントレポート

WEC富士6時間耐久レース レポート

2026/09/28

【1964 シボレー インパラ SS】イベントでインパラを見て一瞬にして心を奪われた

オープン

シボレー

愛車を大切にしている人は数多い。毎日洗車を欠かさない人、エンジンフードを開けてチェックを欠かさない人など様々だが、紹介するケイさんもその内の一人。ビルトインガレージを建てて室内から愛車を眺めるのを日課としている。

2026/09/24

【'07 GMC ユーコンデナリ XL】細かい部分を意識して、派手過ぎないカスタムへ

SUV

GMC

ラッピング&ペイント

世界から熱い視線を受けるハマーデザインで様々な業務をこなし、ショップで欠かせないスタッフである谷内さん。愛車は廃車寸前から救出した07年型GMC・ユーコンデナリXL。休日や営業時間外にコツコツレストアし、約6年掛けて仕上げカスタムを施した。

2026/09/21

ダッジブランド最後のラムは、ダッジ好きには希少なモデル!?【'09 ダッジ ラム ビッグホーン】

ピックアップトラック

ダッジ

足回り

2008年に第4世代にモデルチェンジしたダッジ・ラムトラックは、リア・リーフスプリングを廃止するなど劇的に乗り心地が改善されたモデル。2010年にラムはダッジから独立したブランド「Ram Trucks(ラム・トラックス)」に移り、今回の2009年型は、実質的にダッジブランド最後のラムといえる。そのモデルを6インチアップするなどフルカスタムしたのが今回のモデルだ。

ランキング


2025/02/12

【SEMA SHOW 2024】アイディアの宝庫から探る進化するアメ車カスタム

イベントレポート

会場のスケール、出展ブース、車両台数、クオリティ、 バリエーションetc.……すべてにおいて世界最大規模を誇るカスタムカーの祭典、SEMA SHOW 2024がネバダ州ラスベガスで開催された。

2023/12/11

小柄な女性が操る、ジープ史上最長ボディのグラディエーター

SUV

ジープ

2023年5月末に開催されたアメマガミーティングZでガールズオーナーが奈良から自走でエントリー。しかもその相方がゴリゴリにカスタムされたラングラーってことで単独取材のラブコール!

2020/09/24

狭い道も余裕の実用性に長けたサイズ感とネイティブな雰囲気が魅力のS-10!

ピックアップトラック

シボレー

CHEVROLET S-10

2021/10/21

わずか4年の短命に終わるマグナムだがSRT8の市場価値は高い

ステーションワゴン

ダッジ

2006 Dodge Magnum SRT8