精悍なルックスの69年型マスタング、最初のマック1はコイツから

ハイパフォーマンスカーならではの精悍なスタイリングの美しさと、エコノミーカーにも通じるフレンドリーな扱いやすさを兼ね備えるマスタング史上最もバランスの良い初代マック1。このカッコ良さはライバルたちを黙らせる!
THE VINTAGE
パフォーマンスパッケージとして登場した「マック1」
1969 Ford Mustang Mach 1
マスタングといえば1964年のデビューより、6世代にわたり現在でもラインナップする最もポピュラーなアメリカ車。エコノミーカーのファルコンをベースにしながらも、スタイリッシュな外観と多彩なオプションシステムを導入し“ポニーカー”という魅力的で新しいセグメントを確立し、メインターゲットの若者からも絶大な支持を得て爆発的なセールスを記録している。
他社によるライバル車の出現によって、パフォーマンス競争が年々高まっていく中で、68年ではコブラジェット、シェルビーGT500KRなど7ℓ(428ci)のビッグブロックを搭載するようになる。エスカレートするパワー競争に対応すべく、それまでのGTを凌ぐパフォーマンス指向のオプションパッケージとして、新たにマック1が69年型でラインナップされた。最強のパフォーマンスに対応できる設計や、一見して分かるスタイリッシュなルックスは歴代マスタングにおける頂点的存在。国内では初代に人気が集中していることや、希少性が高いため69年型を目にする機会が少ない。
この個体は、オリジナルの状態にこだわりながらも、コレクションとしてではなく、ドライブを楽しむためことを希望する現オーナーのリクエストによって、アメリカでも活動するフォーティーエイトによって、現地にて探し出し国内にて新規登録したもの。
歴代マスタングの中でもアグレッシブなルックス
最大のライバル車であるカマロにパフォーマンスの面で対抗する上で、カマロZ-28同様にSCCAのトランザムレース参戦仕様としてBOSS 302を筆頭に、ドラッグレースで活躍できるビッグブロック搭載車にBOSS429をラインナップ。GTグレードのラインナップは最終年とし、引き継ぐ形で新たにマック1が導入されている。
69年よりスポーツルーフに名称変更したファストバックに限定し、フードにはピン&ケーブル、エアースクープ、チンスポイラー、リヤウイングがブラックアウトされ装備。歴代マスタングの中でもとりわけアグレッシブなイメージが強調されている。キャッチーなオプションカラー、“グラバーオレンジ”の車体色とブラックとのコントラストが69年型ならではの精悍なスタイリングを際立たせている。サイド&テールの「マック1」専用ストライプはブラックが主流なだけに、ゴールドの組み合わせが新鮮かつジェントルな印象。
オーナーは、60~70年代のマッスルカーが好みで、2011年型マスタングで初めてアメ車を所有、その後は69年型シボレー・シェベルに乗り換え。兄弟が70年型プリマス・クーダに乗っていた事もあり、当初は71年型のクーダを求めたが、現存数が少なすぎて巡り合わせのない中、候補であった69年型マック1の好条件な個体として現愛車を入手している。
フードピン付きのマットブラックフード、スクープ、リヤウイング、チンスポイラー(ディーラーオプション)、クロームポップオープンガスキャップ、クロームエキゾーストチップはマック1を象徴するアイテム。フロント側が若干高めの車高スタンスも含め、当時のオリジナル状態をキープする。
351と428では純粋なパワーや希少価値では428の方が上手。しかし、マスタングのキャラクターを活かしたハンドリングを含めた総合的なバランスの良さを求めるなら、スモールブロックによる軽量な351にして、パフォーマンスで不満のない4バレルが魅力的。現代の都心でも扱いやすく、比較的低めのファイナルによる瞬発性も味わえる。
左右対称のデザインが特徴的な“ツインコーブ”インストルメントパネル。助手席側の時計、ウッドトリム、シートのレッドストライプはマック1ならではの要素。純正オプションの2+2フォールドダウンリアシート。唯一社外品のステアリングはオリジナルに戻す予定。
マック1の標準としてコンペティションサスペンション、オプションの“トラクションロック” リミテッドスリップデフリアエンドを装備。リアエンドはメイクスの垣根を超えてHot Rodでは定番採用される9インチ。ホイールは定番のマグナムタイプ。タイヤは純正採用のバイアスに変わって、クーパーコブラのラジアルGT。サイズは純正と同等の255/70R-14。
マック1のエンジンは、主流の351ci(5.8ℓ)V8に2バレル/4バレル、ウィンザー/クリーブランドの仕様違いのほか、390c(i 6.4ℓ)、428c(i 7.0ℓ)ラムエアコブラジェット、スーパーコブラジェットまで、多彩なラインナップ。この個体は、351W4バレル仕様を搭載。トランスミッションは3速AT。
Photo&Text:石橋秀樹
アメ車マガジン 2022年4月号掲載
最新記事

2025/06/23
ハワイを感じながら子供たちが毎日楽しめる家
近所の目を気にしながら子育てするのはもうウンザリ。自分たちも、子供たちが自由に遊べる一軒家が欲しい。大好きなハワイを感じられる、理想は兄夫婦のようなカッコイイ住宅。

2025/06/20
奥さんに内緒でプチカスタムマフラーエンド交換【PATRIOTを購入した話 ④】
軽自動車を愛車にする編集部カズの奥さんが、「軽じゃ友達と遠出できないから違うクルマに乗りたい。小さくて個性的なアメ車って無いの?」との発言からスタートしたクルマ探し。数ある候補から購入を決めたのはジープ・パトリオット。基本的にノーマルだが、やっぱりカスタムしたくなってきたのでピットインアクツへGO!

2025/06/18
【ダッジ チャージャー SRT8】アメ車界隈でもスタンス系が盛り上がってほしい
スポーティー系からフルサイズトラックまで所有してきたが、一貫しているのはシャコタンスタイルが好きだということ。タンドラをシャコタンフォルムにと計画したものの、それならチャージャーの方がと勧められて理想へと近づける。

2025/06/16
クルマのサビ対策に最適な逸品、電子サビ防止装置「ラストストッパー」
集中豪雨や台風、そしていよいよ本格化する融雪剤散布シーズンの到来など、クルマにとって過酷な環境である日本。これらが原因で発生したサビはクルマにゆっくりとダメージを与えていくため、サビを発生させないことが何よりの対策だ。科学・化学的に証明された理論を応用して、サビを電子の力で抑制するのがこの「ラストストッパー」なのだ。