ゆったりと景色を眺め馴染みながら走らせる大人のワゴン【1962 インパラ ワゴン】

ホワイトウォールに5スポークのクレーガーを組み合わせたボトムスとクリーンなホワイトボディ。そして塗装を加えたルーフのコントラストが美しい62年型のインパラワゴン。ビレットやワイヤーホイールを履いて魅せるショーカー的なインパラとは一線を画し、古き良き時代のアメリカを色濃く感じさせる佇まいは大人の嗜みとして最良の選択。
AMERICAN VINTAGE
オリジナルの良さを残しつつ快適仕様へとアップデート
'62 CHEVROLET IMPALA WAGON
若い頃にC-1500やカプリスワゴンに乗っていたと言うHSさん。アメ車黄金期のメジャーモデルを謳歌してきた彼が、年齢を重ねて再びアメ車に乗りたいと思い良い個体がないか物色。そんな時にクラフトスクエアの井上氏と出会い、色々と話をする中で「旧車のワゴンが良いのでは?」なんて話になって、この62年型インパラワゴンを手に入れたと話す。
クーペやセダンとは異なるリアゲート部分の造型はモデルイヤーが古くなればなるほどアーティスティック。パネルラインからテールレンズのレイアウト、そしてクロームバンパーへのアプローチまで細部にわたって精巧な作りは、かつて愛用していたカプリスワゴンとは異なり実に味わい深い。中でもダッシュ上に備わるオートロニックアイヘッドライトシステムの後継であるガイドマティックは、ロービームとハイビームのライトを1秒間同時点灯。一般的にはエレクトリックアイと呼ばれる当時のディーラーオプション品で、こうしたレアなアイテムが残っている点も特筆物だ。
半世紀を超えて60年の時を経たクルマだけにすべてがオリジナルで絶好調とはいかないが、手が加わった個体が多い中でここまでオリジナルコンディションを残しているインパラワゴンは珍しく、オーナーの意思を尊重してできるだけその良さを残しつつも快適に乗れる仕様へとアップデートしていくプランを提案するクラフトスクエアの井上氏。
エンジンは整備やメンテナンスの行き渡った4.6ℓの283を搭載。できるだけ当時らしい雰囲気を損なわない様に、ホイールはクレーガーのS/S14インチにホワイトリボンよりもクラシカルなホワイトウォールタイヤをマウント。また、クルクルと手動で回して開閉するリアゲートガラスやフルフラットのラゲッジスペース、そして後ろ向きに座る最後部座席の個性。セダンやクーペでは味わえないワゴンならではの魅力を挙げていけばきりがない。
ちなみに、偶然ヴィンテージエアの取り付けで入庫していたことがキッカケで撮影する機会に恵まれたが、普段はカーショーやミーティングに参加するよりも、どちらかといえば郊外の景観の綺麗な場所でドライブしてはお気に入りのスポットにクルマを停めて、フロントウィンドーが切り取る美しい景色を眺めてリフレッシュ。そんなライフスタイルを謳歌しているそうだ。
インパラワゴンのキャラクターにマッチした粋な乗りこなしは、まさに酸いも甘いも嗅ぎ分けた大人の嗜みである。年々価格が高騰して良い個体が激減する中で良い個体と巡り合えたことも何かの縁。これからも末永くビンテージライフを楽しみ、第2の青春を謳歌して行って欲しい。




ダッシュボード上のエレクトリックアイと同様、こちらもレアなディーラーオプション品として当時物をグッドコンディションで維持するバンパーステップ。ステップ部分はもちろん前後バンパーからサイドモールのクローム部分まで錆びやくすみのないクリーンコンディションは、60年以上の時を経たとは思えない美しさ。
搭載するエンジンは283cuinの4.6ℓ。メンテナンスや整備が行き届いているおかげで快調そのものだ。今後はヴィンテージエアの追加を筆頭に、オリジナルの良さを残しつつも普段乗りで不便を感じない様、快適ドライブ仕様へとアップデートしていく予定だ。






ダッシュ部分が長く大きなモニターディスプレイが標準装備のイマドキのクルマとは一線を画すアンティーク家具でレイアウトされた様なインテリア。ふかふかのレザーベンチに腰を掛けて、細くて大きなステアリングを握り、アナログメーターのアバウトな針の動きを眺めながらゆったりと走らせることもある意味贅沢の極みだ。


半世紀以上前のモデルなのに、折り畳んだ時の継ぎ目まで考慮された構造のおかげで、セカンド、サードシートの完全フルフラットを実現するラゲッジスペース。アウトドアギアも思う存分積めて車中泊だって余裕の広大なスペースは実に夢がある。個人的には後ろ向きのサードシートに腰を掛けてゲート開放でピクニック!なんて妄想が膨らんだ。
OWNER:H.S さん
THANKS:CRAFT SQUARE
TEL:072-360-1230
HP:http://www.craft-square.com
PHOTO&TEXT:石井秋良
アメ車マガジン 2023年4月号掲載
最新記事

2025/07/03
キチンと整備すれば普通に走る!カスタムすればもっと楽しめる!【東海カーズ】
ビンテージカーって乗りこなすの大変なんでしょ!? と多くの人が思うだろう。もちろん現代車の様な扱いはできないが、付き合い方やメンテ、さらにはカスタムすれば普通に乗れちゃいますよ♪

2025/07/01
【インフィニティQX56】手頃な価格で購入できるプレミアムSUV
90年代を中心に高品質な車両を扱うガレージジョーカーだが、近年は2000年代の車両も多く扱う。今回紹介する08年型インフィニティ・QX56もその一台で、手頃な価格で乗れるプレミアムSUVとして注目だ。

2025/06/27
当時らしさを色濃く感じさせる200hpのアストロ
ブルーリバー30周年に相応しい30年前のシボレー・アストロ。それは奇しくもアストロが様々なアップデートを果たす過渡期だった。現車は当時流行したカスタムを随所に感じさせ、まるでタイムスリップしたかの様な当時感溢れるスタイルをストック!

2025/06/25
【シェルビーGT500 エレノア】スクリーンで見たエレノアの再現ではなく、それをさらに進化させた仕様
映画の中で疾走する姿を見たことが、アメ車に乗るきっかけという人は非常に多い。でもそれだけでは飽き足らず、そのクルマに乗りたい!という願いを叶えてしまった人がいる。これはまさに「究極のエレノア」に呼ぶに相応しい。