直線基調のロングホイールベースで魅せる【カプリスワゴン】
故きを温ね新しきを知る。いわゆる“温故知新”ということわざがあるが、若者たちのアメ車事情は新しきを知ってから古きを知るという逆転現象も珍しくない。2000年以降に生まれた若者たちを魅了してやまない80's Classicに迫る!
AMERICAN VINTAGE CAR HEAVEN -米国的旧車天国-
O.B.Sから旧車の世界へ!20代の若者たちを虜にする80's CLASSIC!
1988 Chevrolet Caprice Wagon
90年代後半にミニバンブームが起こる以前は、アメ車のみならず日本車でもセダンに並んでステーションワゴンが続々とリリースされていた。マークⅡバンやセドリックバン、それにアベニールワゴンやアコードワゴンなど、当時のカスタムカーカルチャーにおいてその存在は欠かせない存在と言える。

しかし2000年以降、ミニバンや3列シートを備えるコンパクトカーといったジャンルが人気を博し、2010年代に入るとクロスオーバーSUVが主力モデルとなり、ステーションワゴンは年々減少傾向。今回紹介するKAZUKIさんが生まれて22年間、まさにその時代背景と共に成長してきただけに、彼にとってのステーションワゴンは特別なフォルムとしての認識が高かった。
そんな彼の初めての愛車はステーションワゴンではなくOBS最終モデルのシボレー・タホ。グリルやバンパーまで同色で決めた黒いボディと、オーバーフェンダーレスのナローなボディがクールな仕様で、過剰なカスタムこそないがサラッと大口径にマッドテレーンなボトムスなど、センスが際立っていた。

そして何よりイマドキのイケメンがアメ車に乗っている姿が、実に好印象だった。このままもうしばらく黒いタホを満喫するのかなと思っていた矢先に、意を決して乗り変えたのが紹介するカプリスワゴンだ。実はずっとビンテージに憧れ続けており、中でも生まれる前に人気を博していたステーションワゴンは特別魅力的に感じたと話す。カプリスワゴンといえば90年代の丸みを帯びた最終モデルも人気ではあるが、クラシックなスクエアフォルムの80年代に惹かれる辺りが、“新しきを知り、故きを温める”姿勢の表れだ。
2023年の夏に購入したこの個体は、ナオキモータービルドで徹底した整備が行なわれて納車された個体で、現在整備やメンテナンスは、後に同社から独立したフライトオートモーティブの藤本さんに一任しているとのこと。バドニックの20インチ履きやホーリーのキャブ換装など所々カスタムポイントも見受けられるが、何より聞きたいのはやっぱり20代前半のカップルがどんな感じでこのカプリスと向き合っているか?である。

フカフカのベンチシートに腰を掛け、距離を縮めたくともフルサイズならではの遠すぎる距離感。そして距離を縮めようものなら前後左右のクリアガラスから丸見えの車内。ちょっと都心部で駐車しようものならノーズがガッツリ駐車スペースからはみ出す始末。何もかもが生まれて20年間体感したことのない新鮮なことだらけだ。そして“新しき”を生きてきたからこそ、その“故き”な部分に魅了される。
40代以降の読者にとって80年代は割と身近な存在かもしれない。しかし彼らにとってのソレは濃厚なビンテージクラシックであり、我々が60年~70年代に憧れを抱くそれに近い。筆者も歳を取ったもんだな…。なんて感慨深き想いと共に、初々しい二人とカプリスワゴンの行く末を心から応援したい気持ちになったのは言うまでもない。

ロングルーフで直線基調のローフォルムをさらに際立たせるローダウンに加えて20インチのバドニックを装着。この足もととビレットグリル、そして細部までクロームの鏡面が美しい状態でストックされたガンメタリックのボディの相乗効果もまた、この年代だからこそ似合うギミックの一つ。



オリジナルのステアリングも残った純正ストックなインテリア。80年代特有の各部スイッチの風合いやドアトリムデザイン、そしてメーター周りのアナログ感も味わい深い。

搭載するエンジンはV8の5.0ℓ(305)でホーリーキャブへ換装。メンテナンスも行き届いておりグッドコンディションそのものだ。

2WAY開閉のリアゲートは写真の様な開き方のほかに、左下の様にテールゲートをベンチ代わりに腰かけて使えるなど使い勝手抜群! ちなみにラゲッジ部分の下はサードシートが潜まれており、友人を乗せてドライブした時は、クリアガラス越しに後ろに付いたクルマからの視線が恥ずかし過ぎたなんてエピソードも(笑)。

OWNER:KAZUKI
THANKS :FLIGHT automotive
PHOTO&TEXT:石井秋良
アメ車マガジン 2024年2月号掲載
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