プロツーリングほど手を加えず “ちょうど良い塩梅”で乗るべき名車【エルカミーノ】

クーペ

ビンテージ

シボレー

AMERICAN VINTAGE

エルカミーノ

アメマガ2023年4月号

F.A.S.T

大阪府

最新のエンジンや足回り、ブレーキシステムでパリッと仕上がったビンテージマッスルはもちろんカッコいい。でもエルカミーノのキャラクターにはカジュアルに乗りやすく、適度にパフォーマンスを向上させて乗るくらいがちょうど良いのではと思う。そんなコンセプトで着々と製作しているF.A.S.Tの69エルカミーノをPick up!

AMERICAN VINTAGE


旧車道楽の良いところが1台に凝縮された名車

'69 CHEVROLET EL CAMINO

エルカミーノといえば映画「ボディガード」でケビンコスナーが運転していたシーンを思い出す。さらには68年型エルカミーノをメキシコのレンタカーで借りて壮絶なカーチェイスを繰り広げるブラッドピット主演の「メキシカン」も頭をよぎる。

フロントマスクは同年代の代表的なアメ車たちと同じ表情を持ち、インテリアのダッシュやシートもセダンやクーペと何ら遜色ない。しかし後部座席が存在せずにそのままリアベッドとなる独特なフォルム造型はピックアップでありながらピックアップに属さず、そしてクーペらしくとも別物の独創的なキャラクターは、アメ車フリークでなくとも一目見てその強い個性を感じさせるだろう。

 

ちなみに筆者がジミーを購入する時に、最後まで迷ったのがエルカミーノだった。2ドア、フロントベンチのみの潔いキャビンに、シェベル同様のクールなフロント周り、そして使い勝手抜群のベッドを持ち1ナンバー登録も可能。マッスルカー的な乗り方はもちろん、自転車やアウトドアギアを無造作に詰め込んでアウトドア的な楽しみ方もできるクルマなんてそう存在しない。中でもメキシカンでブラッドピットが68年型のエルカミーノをワイルドに乗りこなすシーンが鮮明に頭の中にあって大本命だ。

そのエルカミーノと同年代の69年型がファーストにあるということ耳にし、 「ビンテージ特集なので今まで出したことないレアな個体をお願いします(笑)」と年始早々に無茶ブリ。ある程度仕上がったところで2年弱ほど屋内保管のストックヤードで眠らせていたそうなのだが「まだ完成形ではないけど、いっとこか!」と快諾いただいた次第。

 

現状は350エンジンのアルミヘッドを交換、マイルドカムの換装にアルミラジエーター&ツイン電動ファンで冷却効果を向上。旧車が苦手とする炎天下対策や、ここぞって時のパフォーマンス不足を改善した快適仕様。足回りはQA1の車高調が組まれており、FOOSEの5スポーク18インチホイールとBAERフロントビッグブレーキを装着する。インテリアは追加メーターやステアリングの換装のみでオリジナルの良さを色濃く残すクリーンコンディション。カウルフードボンネットのアグレッシブなフォルムに相応しい“走り”を意識した仕上がりとなっている。

ベッド部分はいずれリペイントを予定しているが、荷物をガンガン積むならラプターライナー、魅せるスタイルならボディ同色で艶々に仕上げてみるのも良いのではと、次のオーナーの意向に沿って仕上げていく姿勢も有り難い。この手の個体は買った後のメンテナンスや整備が肝心。ファーストならその辺りのバックアップも万全だけに、購入した後も安心して楽しめることだろう。

68と69年の2年のみ与えられた表情は、ヘッドライトベゼルの個性やフロントグリル先端のエッジに合わせたグリル形状、そしてクロームメッキバンパーなどこだわりのディテールが際立つ。またリアガラス部分のピラー形状もエルカミーノのフォルムの特徴として見逃せないポイント。現車はベッド部分のみ未塗装ではあるが、クロームモールのコンディションも非常に良い。強いて言えばベッドさえ塗れば完璧なボディコンディション!

手入れの行き届いた350cu.inはアルミヘッドに交換済で、マイルドカムの換装やアルミラジエーター、ツイン電動ファンを追加。CPPチューブラーアーム、QA1車高調で足回りをシャキっとさせてBAER製のビッグブレーキをインストール。FOOSEの18インチ5スポークがその存在感をより高めてくれており、15インチでは難しいビッグブレーキの装着は、大口径化による恩恵だ。

オリジナルのコラムATではなく、フロアATに換装されたコックピット。GTステアリングや3連オートメーターの追加で走りに特化したアクセントを取り入れつつも、オリジナルインテリアの良さは残せるだけストック。シートのリクライニングはかなわなくとも、フルサイズのベンチシートなら十分に横になれる。そこも含めて魅力的!


THANKS:F.A.S.T
TEL:06-6784-1976
https://fast1976.jp/


PHOTO&TEXT:石井秋良
アメ車マガジン 2023年4月号掲載

関連記事

RELATED


歳相応の姿ながら細部まで、綺麗なオリジナル志向【シボレーカマロベルリネッタ】

Z28を筆頭にマッスルカーの代名詞としても捉えられ、プロスピード仕様などにカスタムされた個体が多い1979年型カマロのオリジナルストックを発掘!

【シェビーⅡノバ】製作途中のまま10年間寝かせていた車両を1年かけて蘇生

旧車道楽とは面白いもので、長い間放置していた個体が原石の様に映ることも多々ある。手つかずのまま放置され続けた個体は、目覚めるキッカケを静かに待ちわびていたかの様に再び息吹を吹き込み、颯爽と駆け抜ける。

カプリスセダンを同時に2台所有する生粋のマニア

ダイハードを筆頭に、80年代後半から90年代初頭にかけての洋画に度々登場するカプリスセダン。スクエアなフェイス周りと重厚なクロームバンパー、そしてアメ車らしさが全身から感じ取れるフルサイズセダン特有の存在感に魅了されたオールオートの伊東さん。クルマ屋さんでありながらも、生粋のアメ車好きと知られる彼が惚れこむ、その魅力について話を伺ってきた。

一見しただけで見分けるのが難しいこの当時のセダン【シボレーベルエア】

ビスケイン、ベルエア、インパラと、シボレーがラインナップするフルサイズセダンは同じ顔でも様々なモデルが存在しており、1965年にはカプリスも加わってより一層ややこしくなった。筆者もパッと見ただけじゃ瞬時に判断できず、バッジやエンブレムを見て気が付くといったレベルだ。そんな67年型フルサイズセダンが現在、ある人気海外ドラマの劇中車として注目を浴びている。

カスタムだけでは留まらないジェットシティのカマロ愛

広島のジェットシティが得意とするのがシボレー・カマロ。個性的なカスタムばかりにスポットが浴びるが、高度なレストア技術も見逃せない。本国に密かに69カマロをストックしており、新車同然の状態に仕上げることも可能。

 

最新記事


2024/07/27

キャデラックはいかがでしょう?【キャデラック葛西/シボレー葛西】

ショップ

GMの最高峰モデルに君臨するキャデラック。贅を尽くした高級ブランドというイメージが強いが、大統領専用車に採用されることから「絶対的な信頼性」も重視しているのは言うまでもない。単なるステータスではなく、アメリカの象徴と言えよう。

2024/07/26

物静かな青年が次第に豹変、マスタングにもっと刺激が欲しい!

クーペ

フォード

燃費が…維持費が…。マッスルカーに憧れを持つも、アメ車へのネガティブな思いが強く決断できずにいたオーナーさん。そんな彼が、彼女の後押しによって購入を決めるのだが、次第にアメリカンマッスルの魔力に染まり豹変していく。「音も見た目も刺激が欲しい!」

2024/07/25

ポストビンテージバンの大本命として人気高騰中【シェビーバン ビュービル】

バン

ビンテージ

シボレー

70年代の丸目を筆頭に、フルサイズバンの中でも80年代までの個体がビンテージバンとして人気を博してきた。しかし紹介する個体の様に90年代中頃まで基本コンセプトは変わらない。むしろ熟成された最終モデルこそベストバイ!

2024/07/24

アニメを見て惚れたマスタング、今では押しも押されぬ爆速女子へ

クーペ

フォード

名探偵コナンに登場したマスタングに惹かれてカーボックスを訪れたオーナーさん。一番ド派手なエレノア仕様を選び、チャレンジャー・ヘルキャットに乗る旦那様は走りで負けたくないライバルだ。

ランキング


2024/07/26

物静かな青年が次第に豹変、マスタングにもっと刺激が欲しい!

クーペ

フォード

燃費が…維持費が…。マッスルカーに憧れを持つも、アメ車へのネガティブな思いが強く決断できずにいたオーナーさん。そんな彼が、彼女の後押しによって購入を決めるのだが、次第にアメリカンマッスルの魔力に染まり豹変していく。「音も見た目も刺激が欲しい!」

2024/07/25

ポストビンテージバンの大本命として人気高騰中【シェビーバン ビュービル】

バン

ビンテージ

シボレー

70年代の丸目を筆頭に、フルサイズバンの中でも80年代までの個体がビンテージバンとして人気を博してきた。しかし紹介する個体の様に90年代中頃まで基本コンセプトは変わらない。むしろ熟成された最終モデルこそベストバイ!

2018/02/07

走っているとやけにハンドルがブレる…原因はタイヤ?ホイールバランス?それともブレーキか?【REFRESH PROJECT】

メンテナンス

コラム

走行中に感じた違和感。それはハンドルのブレ。【REFRESH PROJECT】

2022/04/08

US日産の巨大ユーティリティバンのNV3500

バン

逆輸入車

2019 Nissan NV Passenger