誰とも被らない個性派、その選択が旧車道楽の醍醐味【ポンティアックグランプリ】

クーペ

ビンテージ

ポンティアック

AMERICAN VINTAGE

グランプリ

アメマガ2023年4月号

92年型のファイヤーバード・トランザムを8年愛用した後に、ポンティアック信者の集大成として3年前に購入した69年型のグランプリ。丸目4灯は68、69のわずか2年間のみ採用された激レアフェイスであり、入手困難と言われる珍しい個体だ。日本に数台いるかいないかの希少車でありながらも、通勤からイベント参戦までデイリーユースに徹する強者に迫る!

AMERICAN VINTAGE


ファイヤーバード・トランザムからさらにディープな領域へ

'69 PONTIAC GRAND PRIX

若かりし頃はC-1500でアメ車ライフを謳歌していたむらぴーさんが、マッスルカーに興味を示したのは11年ほど前。当時ハイウェイを気持ちよく流していると、速さ自慢の日本車に軽く追い抜かれることがしばしば。トラックだから仕方ないかと思いつつも度々そんなシーンに出くわしている中で、勝ち負けじゃないけどたまには逆に追い抜ける様なポテンシャルの高いアメ車に乗って見たくなったのがキッカケだった。

しかし流行りのモデルはあまり気分じゃないだけに、カマロやマスタング、チャレンジャーなどは選択肢になかった。そこでマニアックなポンティアックで検索すると、どストライクなグランプリを発見!

 

物件情報サイトで見つけて即座に問い合わせるも既に売約済となっていたことで、92年型のファイヤーバードGTAを購入したと言う。購入から着々とイメージするスタイルへと近づけるべく構想は膨らみ、バート・レイノルズが乗っていた79年型のテールレンズをスワップするなどマニアックなカスタムでナイトミーティングやイベントに参加すると、同じ趣味を持つ仲間と意気投合。同年代のカマロ乗りたちと一緒にツーリングに参加するなど、アメ車道楽は瞬く間に彼のライフスタイルの主軸となった。

だが、グランプリへの憧れは収まるどころか高まるばかり。そんな折、何気なく検索していると関東に1台販売車両として出ていることを知って即連絡。8年の時を経て念願のグランプリオーナーの夢が叶った。乗り出してからまだ3年程と浅いが、丸目4灯の存在感を強調すべくバイク用の5.75インチヘッドライトを4つ購入して加工装着。

 

イカリングは気分じゃないからとデザイン重視で選んだバイク用は光り方も独特で怪しげなフェイス周りの印象をよりディープに演出する。また、12JのファットなリアボトムはFRP造形でワイド化されたフェンダーの甲斐もあってシンデレラフィット。そのリアフォルムをよりマッスルかつワイルドに魅せるワンオフマフラーは、ホーシングアンダーを通してV字に両サイドへとレイアウトするなど、着々と自分色へ染めてゆく。

ちなみに撮影当日は生憎の雨だったが、撮影前に「タオルで拭きますか?」とう伺うと、「自分でオールペイントしたソリッドブラックに傷を付けたくないのでそのまま撮りましょう!」との返事。コットン100%の専用ウエスでしか拭き取らない徹底ぶりは、彼が如何にこのグランプリを愛しているかの表れでもある。

 

凡人では理解できない領域にまでドライバーを魅了する、ある種の中毒性をも覚えてしまうのが激レアビンテージマッスルの世界観。スマホの機種変更感覚で次々乗り換える昨今のカーカルチャーとは真逆の価値観もまた、旧車道楽の醍醐味と言えるだろう。

コルベットC3と同様の5.75インチヘッドライト。7インチ汎用品は多数出回っているが一回り小さなヘッドライトの社外品はあまり多くない。そこでバイク用のヘッドライトを流用して近未来的な怪しい灯を4灯ヘッドライトへ導入。オレンジの一本ラインと光量強めの眼力に大きく張り出しエッジの効いたグリル一体式クロームバンパーも相まって超個性的。

エンジンはオリジナルの6.6ℓをベースに、エーデルブロックのキャブやその他、消耗部品一式を交換して好調をキープ。マフラーはチェリーボムを皮切りにエギゾーストパイプを長くレイアウトすべくホーシングアンダーを通してフィニッシュ。295/55R15のボリューム感に相応しいリアエンドとなる。

センターコンソールを開けると水温、油圧、電圧などのメーター類がインストールされており、Aピラーにタコメーターを配置。ステアリングやオーディオの換装以外はオリジナルのインテリアをストックする。現状ローダウンサスが入っているが、今後は車高調に変更して、理想の乗り味を追求していきたいという。


OWNER:むらぴー


PHOTO&TEXT:石井秋良
アメ車マガジン 2023年4月号掲載

関連記事

RELATED


いつまでも走り続けていたい!ロックな人生にアメ車は不可欠

アメ車の魅力に引き込まれ、複数台所有する人も少なくない。でもマッスルカーばかり…と言う人はレアなケースだろう。

美しすぎる魅惑のボディが69マスタングを華麗に輝かせる

ファーストマスタングと肩を並べるように、第二世代初期型である1969年型の人気は年々上昇している。そんな69年型が、内外装ともに美しい状態に仕上げられ、機関系もグッドコンディションともなれば、注目を浴びないわけがない。憧れの69マスタングを購入できる千載一遇のチャンスが到来だ!

プロツーリングほど手を加えず “ちょうど良い塩梅”で乗るべき名車【エルカミーノ】

最新のエンジンや足回り、ブレーキシステムでパリッと仕上がったビンテージマッスルはもちろんカッコいい。でもエルカミーノのキャラクターにはカジュアルに乗りやすく、適度にパフォーマンスを向上させて乗るくらいがちょうど良いのではと思う。そんなコンセプトで着々と製作しているF.A.S.Tの69エルカミーノをPick up!

カスタムだけでは留まらないジェットシティのカマロ愛

広島のジェットシティが得意とするのがシボレー・カマロ。個性的なカスタムばかりにスポットが浴びるが、高度なレストア技術も見逃せない。本国に密かに69カマロをストックしており、新車同然の状態に仕上げることも可能。

【C2コルベット】斬新で独創的なフォルムは半世紀の時を経ても色褪せない

1963年モデルから1967年までのわずか5年間のみリリースされたコルベットC2。スティングレイ(アカエイ)のサブネームが採用され、当時のアメ車とは一線を画す近未来的で独創的なボディラインは、アグレッシブな中に精巧で繊細な芸術的な印象すらもたらす。そのオリジナルの個性を可能な限り後世に残した個体がココに!

 

最新記事


2025/10/28

夫婦でアメ車!しかもマッスルカー2台という贅沢な選択肢【チャレンジャー&マスタング】

クーペ

ダッジ

フォード

一台はマッスルカーやトラック、そしてもう一台はミニバンやSUVと、夫婦でアメ車2台を所有する方たちの大半はどちらか一方がファミリーカーとして成立するパターンが多い。そんな中、どちらも2ドアクーペのマッスルカー2台を所有する強者夫婦を発掘!

2025/10/23

兄のゴリ推しで実現させた!?兄弟でアメ車を所有する喜び【ナビゲーター&300Cツーリング】

ステーションワゴン

SUV

リンカーン

クライスラー

25歳で初めての愛車にキャデラック・SRXを購入していらいアメ車の虜となった兄のNATSUKIさん。一方「国産ミニバンや1ボックスが便利!」とアメ車に無関心だった弟のNORIさん。弟にアメ車に乗ってもらって、その魅力を共有したい!その想いよ届け!

2025/10/21

自然豊富な故郷に建てた家族が毎日笑顔になる家

HOUSE

家族5人で暮らすアパート暮らしは窮屈そのもの。新たに家族が増えることが分かり、家族みんなが笑顔になれるマイホームを建てることを決意した藤本さん。奥様が憧れたリアルアメリカンの住宅を建てるべく、大家族の夢がスタートする。

2025/10/16

名称を変更して3回目となるAME★JAM開催!【AME★JAM vol.3】

イベントレポート

AME★JAM MARCHE vol.3
American fun jamboree
18th May 2025
ウラレナ向かい駐車場

ランキング


2025/10/28

夫婦でアメ車!しかもマッスルカー2台という贅沢な選択肢【チャレンジャー&マスタング】

クーペ

ダッジ

フォード

一台はマッスルカーやトラック、そしてもう一台はミニバンやSUVと、夫婦でアメ車2台を所有する方たちの大半はどちらか一方がファミリーカーとして成立するパターンが多い。そんな中、どちらも2ドアクーペのマッスルカー2台を所有する強者夫婦を発掘!

2024/08/14

【ダッジラム SRT10】マッスルピックアップ界の重鎮にして最高峰モデル

ピックアップトラック

ダッジ

ダッジブランド最高峰にしてスーパーカーな立ち位置であるバイパー。モパーマッスルと一括りにできないV10エンジンを搭載する独自路線の個性派だが、さらにマニアックなキャラクターとして存在するのがダッジラムSRT10だ。

2024/12/31

【FORD F-150 LIGHTNING】公道は走行できないですがビジネスのために投入!

ピックアップトラック

フォード

チャレンジャー専門店のラグジ・島澤社長から「F-150のライトニングを、ディスプレイ用として購入したお客様がいますよ」と連絡が。展示するためのクルマってどういうこと? とモヤモヤしながら取材に向かった。

2025/10/23

兄のゴリ推しで実現させた!?兄弟でアメ車を所有する喜び【ナビゲーター&300Cツーリング】

ステーションワゴン

SUV

リンカーン

クライスラー

25歳で初めての愛車にキャデラック・SRXを購入していらいアメ車の虜となった兄のNATSUKIさん。一方「国産ミニバンや1ボックスが便利!」とアメ車に無関心だった弟のNORIさん。弟にアメ車に乗ってもらって、その魅力を共有したい!その想いよ届け!