2台のJLラングラーアンリミテッドを存分に走らせて使ってみた!

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アメマガ2019年3月号

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JL WRANGLER UNLIMITED SAHARA
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ONロード インプレッション TEST DRIVE
JL WRANGLER WRANGLER UNLIMITED SAHARA / WRANGLER UNLIMITED SPORT

想像以上の進化により弱点だった部分を払拭!フィーリングが心地良い

時代に合わせるように…しかし完全に迎合することもなく、世代ごとに性能のレベルを段違いに磨き上げてきたジープ・ラングラーのオンロード・パフォーマンス。さらに本格派としての機能についても停滞せずに進化させているのは当然だが、今回の〝JL〟は一体どう変わったのか?パワーユニットがそれぞれ異なる2台のアンリミテッド(サハラ・ローンチ・エディション/スポーツ)を存分に走らせて使ってみる!

本格派のリズムの中でオン走行の快適性をアップ

ここ最近のラングラーは、フルモデルチェンジした時はもちろん、細かい改良の時でも、オンロード性能…とくに快適性のブラッシュアップが目覚ましい。新型ラングラーでも、誰もがそれを感じ取ることができるレベルへと引き上げられた。とはいえ、先述したとおり、ラダーフレーム構造&リジッドサスペンションから構成される乗り味がベースにあるのも事実。乗用車やスポーツカーに浸ったユーザーからすると「これで良くなったの?」と感じるところは否めない。


そう、捉え方次第で評価は分かれることを、まずは知っておいて欲しい。ちなみに、初代ラングラー(YJ型)からその乗り味に感激していた筆者は、言うまでもなく、新型のオンロード性能をすこぶる高く評価している。


なお、今回オンロードのテストドライブに持ち出したのは、共に4枚ドア/アンリミテッドだが、スポーツ(直4/2.0Lターボ/17インチATタイヤ)、サハラ(V6/3.6L、18インチHTタイヤ)という2台だ。その進化は、先代のJK型ラングラーユーザーが期待したとおりの内容だ。つまりここが良くなったなら…と思っていたポイント(あえてマイナスとは呼ばない)ばかりが改良され、しかも実際の進化の度合いは期待を大きく上回ったものだ。

_N6I5222

エンジンの違いは後述するとして、まずは共通しているところから。走り出してすぐに気付くのは静粛性の高さ、そしてジェントルな加速性能だ。アクセルを踏み込めば、ストレスを感じさせることなく2.2tオーバーのボディをサッと発進させたかと思うと、8速ATがトルクバンドを適切にセレクトして、アクセルペダルの踏み込み量に応じた加速をする。


もちろん、そのパワーとフィーリングは、2つのエンジンで味付けの違いはある。だが、新型が目指したフィーリングである〝ジェントルながらパワフルさもある〟というコンセプトは、両ユニットとも同じと考えていい。そして、ユニット自体の静粛性も高い。ギアが存在するハードウェアから発生していたノイズは抑えられ、風切り音の方が耳に届いてきてしまったほど。オープンボディであることを考えると、とても上出来だ。


そのステアリングフィールも大きく変わった。オンセンターに曖昧さがあったラングラーのステアリングフィールゆえ、経済性を求めるために採用した電動パワーステアリングによって、それ以上に悪化しても気にならないだろうと思いきや、オンセンターの遊びと言える部分は整えられており(なくなってはいない)、何よりも操舵感が生まれていた。それは速度域に応じて的確なアシスト量を提供してくれるため、とくに高速走行域では、後で述べるシャシーの直進安定性を助長してくれる。


驚くべきことは取り回しがしやすいこと。これまでのラングラーではUターンの際に切り返しが必要かなと思われるシーンでも、切り返すことなく向きを変えられたのだ。スペックを確認してみると、それもそのはず最小回転半径が、先代の7.1mから6.2mと0.9mも小さくなっていた。

JLラングラー

ラングラーに最適なチューニングで、どちらのエンジンにもアドバンテージが!

コーナーや高速域の走りを安定して走れる傾向に

乗り心地については、サスペンションのストローク量を生かしながら、動きをスタビライザーとダンパーによって的確に抑制。どちらかといえば、余計な動きを嫌ってサスを動かさない方向にあった先代に対し、新型はしなやかに動かしながら抑えるところは抑えるといったチューニングが施された。タイヤとのマッチングは、スポーツの17インチA/Tタイヤにはコトコトとした動きがあるが、一方のサハラの18インチH/Tタイヤではしなやかさが増幅されている印象を受けた。これはサイズだけでなくタイヤのキャラクターも要因にあるため、タイヤ選びの際は参考にしてもらいたい。


コーナーでは、ロールさせてタイヤに荷重を掛けながら、しっかりとドライバーにグリップ感を伝えてくる。これがワインディング走行に愉しさを生みだす。ちなみに先代までの2WD(FR駆動)時は、コーナーの進入速度が高いとアンダーステアへ導くことで危機回避を促していた(これは一般的)が、新型ではそもそも挙動の乱れ自体が少なくなり、そうしたアンダーステア傾向はおきにくい。むしろフルタイムモードを備えたこともあり、FRでオーバーステアを感じることさえある。ただし、それはウエット路面かつA/Tタイヤ(スポーツ)でのこと。程度自体もリアがブレイクするのではなく、あくまで若干感じられるレべルのものだ。

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ここまでベタ褒めであることからお分かりの通り、高速走行での快適性も想像以上だ。誤解を恐れずに言えば「真っすぐ走るようになった」と評価できる直進性を手に入れた。ラングラー流に表現するならば、緊張せずにドライビングできる速度域、つまり、快適なドライビングが可能な速度域を先代から大幅に上げたということ。その際のハンドリングにも曖昧さはないし、挙動に余計な動きを残さないところも好印象だ。


さて、いよいよ2機種のエンジンについて。筆者が個人的に高く評価してきたV6/3.6Lは、新型搭載にあたりパワーフィールはそのままによりトルクバンドは広がり、扱いやすさを加えた。つまりさらに好印象となった。一方の2.0Lターボは、意外や意外、低回転域におけるトルクがあって発進から加速するフィーリングに不快なトルク変動はなかった。さらにレギュラー仕様ながら高回転までパワー落ちしないなど、予想外のフィーリングに驚かされた。ターボによるウィークポイントもあまり感じさせない。もちろん、スポーツカーのターボユニットほどではないが、ラングラーへのチューニングとしては最良のバランスだと感じられた。


最後に気になる燃費だが、スペック上の数値だけでなく、それなりに走らせても先代よりアップしていることが分かった。もちろんドライビング次第とはいえ、10km/?オーバーを引き出せるようになったのは立派だ。特に2.0Lターボは、高速道路で時速90kmリミットで走行したところ、16.0km/?超えの記録をマークした。

タイヤ&タイヤサイズ

日本仕様で採用されるタイヤは、銘柄・サイズともにグレードで異なる。スポーツが履くのはATタイプ(取材車両はブリヂストンのデューラーA/ T)でサイズは245/75R17。サハラはHTタイプ(取材車両はブリヂストンのデューラーH/ T )となり、サイズは255/ 70R18だ。

最小回転半径6.2m

ステアリングホイールは〝大径細身〟という機能性の色合いは薄くなったが、デザイン自体はJeepヘリテージのオマージュ。チルト&テレスコピック機能の採用やスイッチの配置を含めイマドキに。フィーリングも良くなり、圧倒的に小回りが効くようになったのも◎。

JLラングラー

トレッド(前・後)1600mm

唐突なロールはなく、グリップ感をきちんとインフォメーションしながら、曲がることができる。足回りのしなやかさと抑制のバランスも良く、乗り心地は悪くない。

ホイールベース 3010mm

各部の見直し・進化により、高速走行時の直進性やパワーユニットの過不足といったストレスはほとんどないと言っても良い。従来のオーナーなら、間違いなく感動するはず。

縦置きエンジンレイアウトをベースに、センタースルー式トランスファーを採用するため、運転席の足もとに張り出しがあること、国内右ハンドル仕様では左足の置き場に悩むのは相変わらず…。ただし、以前よりブレーキペダル位置の延長といった改良がされている。本格4WD独特の着座位置たるコマンドポジションを、オンロード走行中には強く強制されない。

carplay_N6I6019

Apple/CarPlay、Andorid/AndoridAutoに対応したUConnectユニットを採用。オーディオやメッセージ、マップといったアプリケーションを音声によってコントロールすることが可能。ステアリングのスイッチと併用すれば、ドライビングの妨げにならないのが良い。フロアシフトのスポーツモードだけでなく、パドルシフトのようなギミックがあればなお良かった。

スクエアなボディゆえに視認性が高いかと思いきや、ハードトップが以外に邪魔をする。後方の視認性は、背面タイヤ装着車であるため多少ツライが、リヤシート中央のヘッドレストの小型化によって、従来よりも向上。さらにカメラを採用することでモニタを通しての視認性を手に入れている。


TEXT●吉田直志
PHOTO●浅井岳男
アメ車マガジン 2019年 3月号掲載


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