GTOのベースモデルの「ルマン」に、455HOを搭載する激レアなGTスポーツ!
1972 Pontiac Lemans GT Sport
ジーエム祭
1972 Pontiac Lemans GT Sport
ジーエム祭 百花繚乱 わずかなアレンジながら一気にアクの強いルックスに変貌を遂げた72年型ルマンの中でも、GTOと肩を並べる455HOを搭載する激レアなGTスポーツ!年式ならではのスポイルされたポテンシャル&ミッションをアップグレードで克服した理想的な個体。
マイナーな存在だけに希少な72年型ルマン
GTOのベースモデルでありながら、日本では影の薄いポンティアック・ルマン。パフォーマンスありきのマッスル系のモデルの場合、マスキー法の影響により71年型以降は、軒並みエンジンパワーがスポイルされてしまい、本来の魅力が薄れている。それと同時に、スタイリング的にもどのブランドも、70年型が絶頂期となっており、71年でのアレンジには、インパクトこそあれど、賛否の割れるアクの強いスタイリングが目立つ。
ルマンにおいても同様で、基本的に70年型と同等のアプローチによって、わずかなアレンジを受けていた結果が、やけにインパクトのあるルックスへと変貌を遂げている。まさに賛否の割れるデザインとなり、セールス面では極端に低迷。それだけに、現在においての現存数も極めて少ないため、アメリカでも、お目にかかる機会は稀だ。
筆者もそんなアクの強い71~72のGTO/ルマンを求めて、相当な時間を費やして探した事があるが、たまに出てきても、極端に高額か、激安のジャンクといった二極化なうえ、売り物だけでなく、個体数が極端に少ないのだ。ちなみに、68~70年型であれば、ある程度の希望で選べるほど個体数がある。そんな状況の中で、こんなグッドコンディションのルマンのGTスポーツに巡り会えたオーナーは相当ラッキーといえる。
そもそもルマンを探していた訳ではないが、これがどれだけ貴重な巡り合わせかを理解し、入手に踏み切ったという。クロームのバンパーが映える、渋いグリーンメタリックの車体色に、GTスポーツならではのストライプが入る。5年ほど前にアメリカにて、フレームオフ・レストアが行なわれおり、クリーンな状態をキープしていたが、外装は入手後に日本にて磨き上げた。
エンジンモディファイによりマッスルな仕様に!
この個体は、オリジナルで455HOエンジンにマンシーの4速マニュアルトランスを設定した出荷台数が900台程度とされる希少な仕様。とはいえ、黄金期に比べると、ポテンシャルは劣る。
そこで、この個体は、レストア時に、エンジンをモディファイ。圧縮比を10.5:1とし、ヘッドは400ci用をブループリントして組み合わせ、カムシャフトの変更に合わせてローラーロッカー化。インテークマニホールドハイライずな高回転型のエーデルブロック製。キャブレターは、ホーリー製780cfmのダブルポンプをセット。それ準じて点火系はディストリビューター、モジュール、コイルをMSD製でアップグレード。アメリカでのエンジンチェックにおいて420hp@4200回転というなかなかの仕様。
12ボルトのリアエンドには4.10ギヤが組み込まれ、アメリカのドラッグストリップでは、1/4マイル12.8秒と好タイムをマーク。実際にドライブしてみても、それらの情報が確かである事が体感できる、まさにマッスルなポテンシャル!1速でアクセルを半分程度踏み込んだ時点で、リアタイヤはグリップを失い、そのまま2速にシフトし、アクセルを半分踏み込むと、車速が上がりながらも、テールを振るスリリングなパフォーマンスが味わえた。
グリップ力が十分あるタイヤを装着しているが、マニュアルミッションとローギヤによって、どの領域でもホイールスピンするマッスルな仕様。ロングストロークでシャープさに欠ける印象のポンティアックモーターとは思えないほど軽快かつストロングなパフォーマンスが得られ、抜群に魅力的!
同年のGTOもかなりインパクトのあるマスクだが、それにも増してルマンは濃厚かつ威圧的なデザインとなっている。バンパーはスチールで製造するには複雑なデザイン。4等式ヘッドライトなど、姉妹車のシェベルにも通じる要素はあるが、一見する印象は別物で、代わりのきかない高いオリジナリティを誇っている。
車体色のグリーンで統一されたインテリア。当時のトレンドが反映された、モデルのイメージにマッチする仕様。基本的にストックをキープしつつ、追加メーターやオーディオをアレンジ。シフターは純正採用のHurst 製ながら、TKO600のミッションに換装しているため、シフトハンドルは5速用に変更。
455HOエンジンは、レストを兼ねて、絶頂期の仕様の流れを汲んだ王道的なモディファイを施して、420hpを発生する。トランスミッションは、オリジナルの4速から、オーバードライブ5速(TKO600) にアップグレード。オリジナルを尊重しつつ、ポテンシャルを高め、高速巡航にも優れる理想的な状態。
GM最大級の12ボルトリアエンドには、4.10のギヤを組み込んでいる。加速重視にして、OD5速マニュアルでアップデートしたフレンドリーな仕様。定番のアメリカンレーシング5スポークは17インチ。装着タイヤはNitto NT Extreme(F:245/45R17、R:275/50R17)
Photo ◆Hiroshi Nose
Text◆Hideki Ishibashi
アメ車マガジン 2019年 11月号掲載
最新記事
2024/10/10
直線基調のロングホイールベースで魅せる【カプリスワゴン】
故きを温ね新しきを知る。いわゆる“温故知新”ということわざがあるが、若者たちのアメ車事情は新しきを知ってから古きを知るという逆転現象も珍しくない。2000年以降に生まれた若者たちを魅了してやまない80's Classicに迫る!
2024/10/09
VW TYPEⅡの対抗馬に相応しいCalでVintageなルックスを継承【フォードエコノライン】
61年にファルコンをベースに誕生した初代エコノラインは、エンジンを床下にレイアウトしたキャブオーバーワンボックスバン。当時のVWタイプⅡに対抗すべくリリースされたとの噂。その二代目となるのが68年よりモデルチェンジを果たしたこちらの個体だ。
2024/10/08
小さくて個性的なクルマは無い? そうだ、パトリオットがあるじゃないか!【PATRIOTを購入した話】
軽自動車を愛車にする編集部カズの奥さんが、「軽じゃ友達と遠出できないから違うクルマに乗りたい。小さくて個性的なアメ車って無いの?」との発言からスタートしたクルマ探し。そんなクルマってあったっけ? ガレージジョーカーと話し合いの結果、いいクルマを発見!それがジープ初のコンパクトモデル、パトリオットだ!
2024/10/07
アメ車の偏見を払拭し、本当に好きなクルマに乗る【クライスラー300】
ユーチューブチャンネルをきっかけにジェットシティを訪れたブラジル人のオーナーさんは、アメ車は欲しいが維持費などに不安があり、国産車のカスタムを依頼する予定だった。しかしジェットシティとの対話から、本当に好きなクルマに乗ることを決断する。