LSエンジン換装で300hpオーバーを実現させたシボレーS10
CHEVROLET S-10
AMERICAN TRUCKIN JUNKIE
CHEVROLET S-10
アメリカンミニトラックという“ レアキャラ” に魅せられたオーナーたち
S-10を仕事の足として、そしてファミリーユースとしても長年愛用し続ける森本氏。初代S-10が全損事故にあっても再びS-10を探し、エンジンスワップを施してまで乗り続けたくなるS-10の魅力と、その理由について話を伺ってきた。
絶不調の時に乗り換えるか、載せ替えるかで葛藤
大阪の枚方市でチョッパースタイルのハーレーカスタムショップ「MAD MAKERS」を営む森本氏。そのお店のアイコンとしてバイクのデリバリーからパーツの仕入れ、配達、さらにはプライベートのファミリーカーとしてまでオールマイティーにこなす相棒が紹介するS‐10である。
事の発端は大阪のFASTで偶然お会いしたことから始まった。あきらかにS‐10らしからぬ図太いエキゾーストサウンドを奏でて登場した時に、タダモノならぬ雰囲気を感じて話を伺うと、何と99年型カマロのV8 LSエンジンへ換装したという。オリジナルエンジンの4.3ℓV6を日々酷使し過ぎたからか、悲鳴を上げ出した時に潔く廃車にして新しいクルマを買うか、それなりの金額を覚悟して修理するかで悩んでいた矢先に飛び込んできたのがアメリカ人がユーチューブにアップした動画だった。そこには同じS‐10にLSエンジンを搭載してフルサイズでは味わえないミニトラックならではの身軽なボディと、V8エンジンのトルクフルなパフォーマンスでバーンアウトをキメたり、アグレッシブな走りを楽しんでいる姿を見て刺激を受けたと言う。
しかしファミリーカーとして妻もハンドルを握っているので独断で進められないため相談。そもそもエンジンスワップはそれなりに大掛かりでコストもかかるため、てっきり反対されるものだと半分諦めモードで話をすると意外と乗り気。むしろ面白そうと背中を後押ししてくれたと言う。そこでドナーカーである99年型カマロを購入。車検も一年残っていたので、検査が切れるまでカマロライフを堪能。車検が切れると同時に大阪のFASTへ入庫した。
どうせ移植するならミッションも同時に移植した方が良いと聞いてエンジン&ミッションを丸ごと移植。しかしすんなり収まるわけもなく、ラジエター部分などクリアランスを考慮した加工を施すなど四苦八苦。カウルフードボンネットは付けなくてもすんなり収まるが、妻に「このボンネットじゃないと収まらない!」とこじつけて、ついでにリファイン(笑)。
今まで特別な感情など抱かぬクルマだったが、想像を上回るV8化の面白さを体感して気分一新。もはや別のクルマに乗り換えた時以上の感動を覚えたと言う。エンジンスワップの選択肢は正解と断言して間違いないだろう。
元々はアストロと同じ4.3ℓ V6エンジンを搭載していたS-10。以前愛用していた80年代のS-10はキャブのV6で、フルインジェクションのV6に物足りなさを感じていたところだったので、V8エンジン換装は願ったり叶ったり。1年間ドナーカーのカマロに乗ることで載せ替えるエンジンが相応しい物か否かを吟味できたと言い、積み替える際はヘッドカバーをあえてコルベットにするといったギミックも面白い。存在感あるカウルフードボンネットには5. 7ℓV8 のエンブレムをあしらいタダモノならぬ雰囲気を演出。
仕事柄、クルマはバンかピックアップの二択に絞られてしまうのだが、バンが昔から大の苦手。履かせるホイールは昔からクレーガー一筋。元々は235サイズのタイヤだったが、リア側を275/60R15に変更。ビジュアル的な観点はもちろん、V8化に伴い細いタイヤではグリップしなくなったことも要因の一つだ。
RECARAステアリングにカマロのシート換装以外は基本オリジナル。購入当時は登録可能だった4人乗り貨物登録のお陰でリアシートに子供を載せてファミリーユースとしても機能。190cmの大柄な男性二人を後ろに乗せて、釣りに出かけることもあるとか(笑)。
MAD MAKERS 森本氏
1999年の創業以来、ハーレーのチョッパーカスタム専門店として数々の名車をレストレーション。コアなモデルのデッドストックパーツを探して当時物にこだわる姿勢や、タンクキャップ、フューエルコックなど、ない物は自社で製作してでも、オーダーされたスタイルを可能な限りカタチにしていく姿勢が多くのファンを魅了。
PHOTO&TEXT:石井秋良
アメ車マガジン 2020年 2月号掲載
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