-アメカルにまつわるエトセトラ- #5「ビバ映画オタク」

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アメマガ2020年7月号

#5「ビバ映画オタク」

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#05「ビバ映画オタク」

2000年前後のアメリカ映画を語るに欠かせない1人がクエンティン・タランティーノです。その独特な作風からか、当時の日本でも「タランティーノ」はJ‐POPの歌詞にも使われる程のトレンドワードと化していました。そんなタランティーノがロバート・ロドリゲスと共に製作したのが「デス・プルーフ in グラインドハウス」です。

 

グラインドハウスとは、アメリカでB級映画を2~3本立てで上映する映画館のこと。「大作が良くてB級はダメ」とは言えないのが映画の面白いところで、そんなB級映画へのオマージュとして製作されたのが「デス・プルーフ」でした。

 

映画は、前半のオースティン編と後半のレバノン( テネシー州) 編に分かれますが、通しての重要キャラはスタントマン・マイク。彼が駆る70年型シボレー・ノバは、スタントマンを生業とする彼に相応しく、室内にロールケージを張り巡らせた「デス・プルーフ( 耐死仕様)」。最終的には彼がターゲットとしていた3人+1人の女の子達は悲惨な最期を迎えます。

そして劇中では14か月後とされている後半レバノン編で軸となるのは、タレントやスタントウーマンなど映像関係の女の子たち。ニュージーランドから遊びに来たゾーイ( キルビルでユマ・サーマンのボディWを演じていたスタントウーマンが本人役で出演) が「70年型ダッジ・チャレンジャーでシップマスト( ベルトを使ったカースタント) がしたい」と言い出すところから物語は動き始めます。

オースティン編と同じく彼女らをストーキングしていたマイクが、オースティン編で大破したノバの代わりに駆るのは69年型ダッジ・チャージャー。やがてチャレンジャーとチャージャーのバトルとなり…でオースティン編とは一味違った結末になります。B級上等を明言して製作された映画ですからストーリーは二の次で、外連味たっぷりな映像を楽しめれば良いわけですが、そこは映画オタクを自認するタランティーノ。様々な作品のオマージュもたっぷり詰まってます。

 

例えば…ノバのカーナンバーがブリットのマスタングのそれだとか、ゾーイがチャレンジャーにこだわるのはバニシングポイントのモデルだからだとか( おかげでシップマストに必須のウインドサッシがないチャレンジャーに撮影用としてわざわざサッシを取り付けています)、その車両のナンバーがダーティメリー・クレイジーラリーのチャージャーのそれだとか。

トリビア的にいうと、オースティン編で検死のために病院を訪れた保安官親子はキルビルや、タランティーノが脚本を担当したフロムダスク・ティルドーンにも登場します。こういったネタのちりばめが映画ファンを楽しませるのは万国共通。実は次作の「スタートレック」で監督引退とされていますが…はたして!?

 
TEXT & ILLUSTRATION : JIN HATTA
アメ車マガジン 2020年 7月号掲載


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