-アメカルにまつわるエトセトラ- #09「蘇る野生の小馬 」

コラム

アメカルにまるわるエトセトラ

アメマガ2020年11月号

#09「蘇る野生の小馬 」

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#09「蘇る野生の小馬 」

巷のアメリカンSUVファンの間で「アーリーブロンコの再来か?」と話題沸騰中の新型フォード・ブロンコ。確かに、丸形ライトを配したフロントビューや2ドアの濃縮されたフォルムは往年の名車であるアーリー…初代ブロンコを想起させます。この辺のレトロフューチャー演出がフォードは本当に上手い。脱着可能なドアを備えたロングボディをラインナップしてきたあたりを見ると、ラングラーへの刺客として企画されたことは明らかですが、ユーザーにとっては選択肢が増えることは大歓迎。

 

その起源…アーリーブロンコを知っている旧来ユーザーには「憧れの名馬」を手に入れられる喜びを、若いユーザーには新鮮な驚きを…それぞれが感じられる良い匙加減なニューモデルといえるのではないでしょうか。私もSNSで第一報を目にしたときは久しぶりに胸が躍りました。フォード&シボレーのSUV創世記を思い起こすと、後にしのぎを削りあうことになるシボレー・ブレイザーは、ピックアップをベースとしてた生粋のSUV。

 

一方、ジープ・イーターとして企画されたアーリー・ブロンコはオフローダー。その後は代替わりする毎にSUV色の強くなるブロンコ(大型化の末、一旦はその血筋が途切れます)ですが、だからこそ先祖がえりを体現するべくコンパクトで機動性の高い新型ブロンコに心惹かれるファンが多く、私もその一人なわけです。そして、その起源であるアーリー・ブロンコが、少ない出番ながらも強烈な存在感を放っているのが、今回ご紹介する映画「デスペラード」です。

 

監督はロバート・ロドリゲス。実は当コラムで以前にご紹介したタランティーノ監督の「デス・プルーフ」にも関わっているなど、タラとは自他ともに認める朋友な間柄。そもそもホームビデオ向けに約7千ドルで作成した「エル・マリアッチ」がヒットを飛ばし、その千倍(!)の予算をかけてセルフリメイクされたのが「デスペラード」。その後、「マリアッチ三部作」として、同じくアントニオ・バンデラスを主人公に据えて「レジェンド・オブ・メキシコ」が作られるのですが、「マリアッチ」を三部作展開するようアドバイスしたのもタランティーノだったそうです。

 

ロバート・ロドリゲスの、コミックのように破天荒な銃撃シーンや(良い意味で)無駄にエグいシーンがお約束なあたり、なるほどタランティーノと好みは合うのだろうなぁと思わせます。ロバート・ロドリゲスの出自であるメキシコにこだわった画作りの中に、ルーフを取っ払って適度にリフトアップされたアーリー・ブロンコはよく似合っています。これは、もし劇中車がブレイザーでもジープでもちょっと意味あいが変わってしまったに違いありません…そう! 正にブロンコ(野生の小馬)というネーミングがドンズバなのです。


TEXT & ILLUSTRATION : JIN HATTA
アメ車マガジン 2020年 11月号掲載


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