-アメカルにまつわるエトセトラ- #21「憧れのタフガイ・スター」

コラム

アメカルにまるわるエトセトラ

アメマガ2021年11月号

#21「憧れのタフガイ・スター」

et cetera about AMERICAN CULTURE -アメカルにまつわるエトセトラ-


et cetera about AMERICAN CULTURE -アメカルにまつわるエトセトラ-
#21「憧れのタフガイ・スター」

ひとそれぞれ、いろいろなモノに対しての憧れ…ってあると思います。「憧れのクルマ」とか「憧れの職業」とか「憧れの女性」とか。そして私の場合、「憧れの男性像」を最初に感じたのが1970年代のハリウッドを代表するアクション俳優のバート・レイノルズでした。


初見は1978年の「グレートスタントマン(原題Hooper)」でした。当時、月の小遣いをほとんど自動車雑誌につぎ込むくらいのクルマ好きにはなっていた中学生の私でしたが、その次くらいのレベルで映画好きでもありました。しかし、ネットで手繰れば何でも分かる今と違って、当時の中学生が入手できる映画情報といえばテレビか少年雑誌。そんな状況で、なぜそれほどメジャーでもない「グレートスタントマン」という映画に行きついたか…というと、「ロケットを搭載したトランザムが数百メートルの谷を飛び越えた!」という雑誌の番宣記事に惹かれてのこと。かくして当時の私は、なけなしの小遣いを握りしめて映画館を訪れたのでした。目的だった谷越えのシーンは思ったほどでもなかったのですが、主人公を演じたバート・レイノルズのカッコ良さにシビれてしまったのです。


1936年生まれのレイノルズは、アメリカンフットボールで鍛えた体とヒゲで「タフガイ」として人気を確立。1970年代にはハリウッドの「セックスシンボル」などと呼ばれていました。レイノルズを一躍有名にしたのは、アメリカンフットボールを題材にした「ザ・ロンゲスト・ヤード」だと思いますが、日本では「トランザム7000」「キャノンボール」の方が良く知られているかもしれません。とにかく、日本人にも馴染みやすい浅黒い肌と余計なパンプアップをしていないリアル・スタイル、それでいて親しみやすいキャラクターのレイノルズは、思春期真っ只中だった当時の私の理想的なタフガイだったのです。


しかし、一時は「マネーメイキングスター」とまで呼ばれた彼でしたが1980年代後半から人気が低迷しはじめ、離婚や自己破産などハリウッドスターの凋落を絵に描いたような生活をしばらく送ります。その様は後にクエンティン・タランティーノが映画化した「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」のモチーフになったともいわれています。そんなレイノルズでしたが、1997年の「ブギーナイツ」では、ポルノ映画の巨匠を見事に演じてアカデミー賞を受賞。その後は2018年に亡くなるまで演技派として活躍されました。


一挙一動が監視され、何事にもコンプライアンスが求められる現代。ある意味で古き良きハリウッドを体現したレイノルズのような役者…というより〝スターはもう現れないのかもなぁと思うと、一抹の寂しさを覚えずにはいられないのです。

cap_2001

TEXT & ILLUSTRATION : JIN HATTA
アメ車マガジン 2021年 11月号掲載


最新記事


2025/12/25

【レネキャン】レネゲード10周年!変わらぬ絆、広がる輪

イベントレポート

Rene Camp in Lake Saiko

2025/12/25

チューニングパーツメーカー「HKS」がコルベット用サスペンションを開発

足回り

HKS HIPERMAX TOURING
HKS HIPERMAX S

2025/12/23

【キャデラック エスカレード EXT】地味すぎず奇抜すぎない、絶妙なバランスを意識!

ピックアップトラック

キャデラック

ショップ

株式会社プルーヴ
愛知県一宮市

2025/12/18

若い世代にも手が届くチャレンジャーR/Tをベースにカスタム

クーペ

ダッジ

独創的なボディパーツを提案し、唯一無二の世界観を創造するLUXZのEDGE CUSTOMS。13年間掛けて現在の境地に辿り着いたが、その始まりとなるのがこのM-LINE となる。

ランキング


2023/02/20

Fシリーズトラックと兄弟関係にあるブロンコⅡが注目の的

SUV

フォード

Jeepを意識したコンパクトSUVとして誕生したアーリーブロンコから派生しながらも、ブレイザー、ラムチャージャーに対抗するフルサイズSUVとなったブロンコⅡ。コレクタブルカーとなった初代に続いて、ブロンコⅡはフルサイズトラックに便乗して人気急上昇!

2022/04/08

US日産の巨大ユーティリティバンのNV3500

バン

逆輸入車

2019 Nissan NV Passenger

2024/02/29

日本ではまず見ることがないラムトラックのレッカー仕様

ピックアップトラック

ダッジ

ジムニー専門店「ファッドスター」の店頭に鎮座するのは91年型ダッジ・ラム350。レッカー仕様という日本ではほとんど見ることのないモデル。しかも新車で購入して日本で登録したという個体だ。

2021/10/13

ライバル達が生産終了するなかエクスプレスは今も現役販売される

バン

シボレー

2017 Chevrolet Express 2500 LONG EXPLORER CONVERSION