全国各地の現場へ駆け回る職人たちのアメ車がハンパなくカッコいい!
アメリカンガレージやアメリカンハウスを建てる会社として大阪南部の某所倉庫に秘密基地のような本社を設けて、関西近郊はもちろん、遠方は沖縄まで、全国各地の現場へ駆け回る職人たち。その仕事車がハンパなくカッコいい!
ディープでリアルなU.S.Aをキットに頼らず創意工夫!
ちょい古がJOYFUL!! TRUCK&VAN&WAGON
1956 CHEVROLET 210WAGON
1967 CHEVROLET EL CAMINO
1976 CHEVROLET CHEVY VAN
メイドインUSAだけがアメリカじゃない本物は奥が深い!
アメ車マガジン2022年2月に掲載したナオキモータービルド&スターキーズ主催の滝畑BBQツーリング取材に行った時に、声を掛けさせていただいたのが良さん。鮮やかなブルー×ホワイトツートンが映えるベルエアワゴンと筆者もテンションが上がってあれこれ話を伺っていくと、「実はコレで仕事に行ってるんです」とのことで「通勤で乗るなんて粋ですよね! 会社に止めるところあるんですか?」と聞き返すと「ちゃうちゃう、資材積んで現場に乗りつけてるねん」と。思わず声を大にして「ちょまてよ!マジっすか!!」と鼻血が出そうなレベルで驚いた。
ちなみに筆者がベルエアワゴンと勘違いしていたがこれは210ワゴン。通称〝ツーテン〟と呼ばれており、日本人はほぼコレを見てベルエアって喜ぶから、説明するのも面倒やし…といつも訂正せずにそのままにしているとか。そんな話を滝畑ダムで聞いてから、210ワゴンとエルカミが仕事車ってどんな職場なんやろうと気になって仕方がない。ちょうど取材分がトラック、バン、ワゴンを紹介する企画とあって「よっしゃ! 今や!!」と即コンタクトを取った次第だ。
事前に送ってもらった住所を頼りに現場へ向かうと、ちょっと奥まったところに何の変哲もない普通のシャッター倉庫。「あれ? 間違えたかな!?」と思いつつも奥へと進むと、その一角だけまるで別世界。アメリカ郊外に迷い込んだかの様な錯覚すら覚える程にリアルなUS感に、滝畑ダムで見た210ワゴンにエルカミーノ、シェビーバンにインパラがズラリと並んでいた。「とりあえずコーヒーでも!」と中に案内されると、多くを語らずとも彼らが何者でどんなコンセプトのお仕事なのかが手に取るように伝わってきた。
家を建てた人やマンションを購入した人なら、ショールームやモデルハウスに立ち寄って、この壁紙良いな。このキッチン可愛い!なんてことを妻や子供と一緒にイメージを膨らませたこともあるだろう。ここはまさにその先、例えば古民家や中古物件、錆びれたガレージや倉庫をどんなふうにアレンジして思い描くアメリカを生み出していくかを探れる場所である。
アメ車乗りたちにとってアメリカンガレージは夢。ましてガレージと憩いの場がセットになった空間なんて憧れの的。それを量産品のキットで簡単に建ててしまうのではなく、今ある素材の良い物は残しつつ、創意工夫を凝らしてオンリーワンなアメリカンガレージ、アメリカンハウスへと導いていく。日本のホームセンターで普通に売っている資材を使ったって、塗料や加工、組みつけの工夫次第で予想を上回るUS感を漂わせることも可能。そんなアイデアと色彩センス、そして空間デザインに秀でた二人が建てた秘密基地は、まさにUSリノベーションにおけるモデルルーム的なスポットだ。
ただし「これと同じようにしてほしい!」ってオーダーは一切受け付けないのが職人気質な二人の本音。一人一人個性があるように、建物にも個性がある。同じことは二度とやらないポリシーは、逆に言うと毎回一から考えて進めていくという新たな創造の連続。二回三回と同じものを作れば要領も段取りも良く進められるのに、ましてキットを組むだけならもっと簡単なのに。それをやらない潔さも〝本質を見極められる〟お客さんとしか仕事をしない姿勢の表れだ。
数々のホンモノをアメリカ現地で見て勉強を重ね、日本の古民家や古いガレージをアメリカ色に染めてきた彼らの作業車は、やっぱり国産車じゃシックリこない。210ワゴンやエルカミーノはそうした彼らのビジネスモデルを映し出す鏡として、多くを語らずとも伝えることのできる最高のツールとしても活躍する。一手間、二手間余計にかかってでも自分たちの色を伝えることに妥協はしない。だからこそわざわざアメ車に乗って現場へ向かうことに、価値を見い出せるのだろう。
THEBLUE株式会社として、ビジネスパートナーのSUUさんとタッグを組んで会社を設立。その本社として機能するこの場所は作業場としても大活躍。ここで木材を加工してから210ワゴンやエルカミーノに資材を積んで現場へ向かうのがルーティーン。撮影当日は事前に掃除してもらっていたので凄く綺麗だけど、普段はもっと資材で溢れ返っているらしい。
一般的な二階建ての倉庫を借りて事務所としているのだが、大家さんが「内装とかは好きにやってくれて構わない!」と言ってくれたことをキッカケに大規模リノベーション。
当初は入り口ドアを開けてすぐの場所にあった鉄の階段を切断して取り去り、奥に新たな階段を作った。建物についていた窓枠は外から見ると普通の窓だけど中から見ると新たな窓を作ったかのような錯覚を覚える。もちろん窓としてはちゃんと機能しており、手で横へスライドすればちゃんと開いて換気も可能。
カウンター部分はラットフィンクを牢屋に閉じ込めてグリルヘッドを装飾。シンクは一般的なものなのに、バーカウンターごと製作して見事にリアルなU.S感を演出。天井の木目はダミーじゃなくて本物のウッドを塗り分けて一枚一枚貼り、存在感アリアリな薪ストーブの煙突が貫通して二階から外へ。
二階にはアトリエを設けており、資材などで重量もあるため柱を追加して強度を増しており、フルサイズのアメ車が一台収まるようにフローリングと作業スペースを区切る。もはや会社と言うよりも“ 好き者たちが集う憩いの場” だ。
二階のアトリエには現在加工作業中のアンティーク家具や作業用シートが無造作に置いてあり、ちゃんと仕事場として機能している部分が窺える空間。ちなみに大きなウッドのドアはノブがスケボーのウィールになっていて、中には建築に必要な資材や工具がびっしりと詰まっている。こうして一角だけを切り取ってみるとガレージライフの取材をしているような錯覚を覚える(笑)。
1956 CHEVROLET 210WAGON
20年以上所有するVW のピックアップを仕事のクルマとして長年愛用しており、210ワゴンは9年前に縁あって迎え入れたもう1台の相棒。350エンジンに換装されており、半世紀以上前のモデルとは思えないコンディションを誇る。
公私共に愛用し、休みの日はサーフボードを積んで海に出掛けることも多いそうで、シートはウェットのままでも乗れるようにビニールを被せて保護。これが作業着で汚れた現場でも役にたって一石二鳥だ。さらっとアクセントとして取り入れたテールサイドのピンストライプは親交のあるKen the flattopさんにいれてもらったものだ。
1967 CHEVROLET EL CAMINO
相方のSUUさんが愛用するエルカミーノは、妻に「仕事で使うピックアップ買うてくるわ」とだけ伝えて迎え入れた正真正銘の仕事車。嘘はついていないからOK(笑)。ハイラックスやフロンティアと乗り継いできただけに、おそらく妻もまさかエルカミとは思っていなかっただろうけれど、買って帰ればこっちのもんだ。
元々バネがカットされていて車高が低かったものをナオキモータービルドへ依頼して純正車高に戻してもらい、多少不安があった機関もバシっと整備してもらい、近場から遠方の現場まで終始安心して走らせられるように。資材の積み込みにちょうど良い車高とベッドスペースで大活躍。
1976 CHEVROLET CHEVY VAN
資材の多い時や二人同時に現場へ向かう時に重宝するだろうと増車したシェビーバン。サポートメンバー的に仕事を手伝ってくれる64年型インパラ愛用のRyotaさんが、先日新車のハイエースを仕事用に購入したと聞いてガッカリ。二人で「こんなシェビーバン乗って仕事しいや! 絶対楽しい!!」と彼を洗脳中。
PHOTO&TEXT:石井秋良
アメ車マガジン 2022年3月号掲載
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