リンカーンコンチネンタルマークⅣはスーパーリッチ感に溢れた、アメリカらしい2ドアクーペ

パーソナルラグジュアリーカーの頂点としてアメリカを象徴する存在のリンカーン。中でもコンチネンタルMark IVは、スタイリング、装備など、総合的に現代の基準でも通用する極めてゴージャスなモデル。
美しいスタイリングが眩しい、フルサイズパーソナルクーペ
フォードで駆けろ!輝きを放つブルーオーバル
1973 LINCOLN CONTINENTAL Mark Ⅳ
前後のオーバーハングが長く極端にロングノーズ&ショートデッキなフォルム
リンカーンはフォードの最上級ブランドとして、エイブラハム・リンカーン大統領にちなんで名付けられたアメリカを象徴する存在。
GMのキャデラックとは創設者が被るなど密接な関係にあり、現在でもライバル同士である。ニーズの多様化、利便性や経済性など、総合的な性能を追求する中で、現代のライフスタイルやトレンドにマッチするSUVはとにかく人気。97年にはリンカーンからフルサイズSUVであるナビゲーターをリリースし、ヒットとなった。それを機に、近年ではどのブランドも最上級モデルは高級SUVというのが完全に定着している。
しかし、90年代以前のフラッグシップモデルといえば世界的に箱型セダンが主流だった。中でもコンチネンタルに代表される1970年前後のフルサイズパーソナルクーペは、スタイリングの美しさ、現代でも通用するスペックや快適性を備えている点や、アメ車ならではのラグジュアリーなテイストが再評価されている。
元々はリンカーンよりも上級ブランドとして独立していたコンチネンタルは、59年にリンカーンに統合され、オリジナルから派生したコンチネンタルタイヤ・トランクリッドのデザインは、コンチネンタルマークⅡから最終のリンカーンマークⅧまで各世代でさまざまな形で採用されている。時代が反映されたリッチなデザインのフルサイズ2ドアクーペは、マッスルカー同様にアメ車らしさに溢れていてスバラシイのだ。
最上級モデルとして最先端の技術とトレンドが導入された憧れの存在
フルサイズにして2ドアのパーソナルクーペは、現在の日本では馴染みが薄いかもしれないが、絶頂期の70年代では、最上級モデルとして最先端の技術とトレンドが導入された憧れの存在。日本車と比較すると圧倒的な大サイズながらも2ドアというのがアメリカらしいスーパーリッチ感に溢れている。それでいて、その大きさや車重からは想像できないほどの運動性能を備えているのがポイント。
そうした魅力を踏まえて、現車オーナーは当初はマークVまたは78年型サンダーバードを思案する中、並行新規で販売されたこの73年型マークIVと巡り合った。V同様にIVにも魅力を感じていたので即購入。車種からするとオーナーはミドルエイジと想像してしまうが、意外にも20代の若者だったりする。当初はカマロなどのスポーツモデルが好みだったが、アメリカ映画を通してフルサイズ2ドアクーペの魅力にはまったのだ。
現車は73年型とあって、廃ガス規制の影響で200hp程度に抑えられているが、総合的な運動性能では同世代のベントレーやメルセデスにも引けを取らない。7500ccの大排気量V8ならでのスーパーリッチなトルクはドライブする楽しさに大きく貢献している。スタイリング、装備、走りの全てにおいて贅沢さが溢れたセブンティーズフルサイズ2ドアクーペは、最も「アメリカらしい」モデルであることが再認識され、現在は人気、バリューともに高騰している。
5.7mを超える長い全長ながらも2ドアということで、極度のロングノーズ&ショートデッキなスタイリング。ドアの後部から1段上がってトランクリッドとつながるラインによって、ルーフの低さとグラマラスなボディラインが強調される。保安基準に伴ってボリュームを増すバンパーによって全体的に迫力が増している。
202hpという数字からすると、巨漢なマークIVには物足りない感じを受けるが、7500ccの大排気量がもたらすリッチなトルクでスイスイと軽快な走りが味わえる。ラグジュアリーカーなだけに排気音も抑えられ、機密性の高い室内は至って静か。車重がもたらすフワッとしたリッチな乗り心地の良さと、スムースで軽快な走りを味わえる。
搭載エンジンの460ci(7.5ℓ)は廃ガス規制によって圧縮比8.1:1、202hp とかなりスポイルされている。ちなみに規制前のマークⅢでは、同じ460ciでも最大365hpを発生する。トランスミッションは3速ATのC6。シートはベンチスタイルなのでシフトはコラム式。
ホイールは純正のスチールリムにハブキャップの組み合わせ。前年のデザインを引き継ぎながらもよりシンプルでモダンな印象。装着タイヤはストックに準じた細みのホワイトリボンで、P225/75R15 のサイズによってオリジナルの乗り味を確保。
一見して分かるアメ車ならではのラグジュアリー感溢れる内装は魅力大。ゴージャスなルックスとリッチな座り心地のシートは明らかにコストのかかった良質なもの。直線基調のメータークラスターのデザインは今見るとレトロフューチャーを感じる。
PHOTO & TEXT:石橋秀樹
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