ボロを纏えど中身は錦、まだまだ理想を追求し続ける【東海カーズ】

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アメマガ2022年11月号

カマロ

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東海カーズ

愛知県

THRILL RIDES

古いマンションをリノベーションするのが流行りだが、ビンテージカーにも同じことが言えるのでは? 中身をアップデートすることで、最新モデルにはないオリジナリティを追求できるが、カーズの場合はもう一歩先の独自の路線を貫く。

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クルマの使い方に合わせ、カスタムの内容もアレンジ

住宅のリノベーションとビンテージカー選びが同じと言ってしまったが、ビンテージカーも大きく見ると3タイプに分けられるだろう。外観はピカピカで、中身もリフレッシュ済み。多くの人は間違いなくコレを選びたがるが、当然非常に高額なこと。

 

そのため自ずと、見た目は非常に綺麗だが、中身は当時のまま。予算の問題が関係するのは確かだが、ついこれを選びがちだ。確かに見た目は綺麗だが、クルマはきちんと走ってこそ意味がある。そんな基本の「き」が危うい個体が残念ながら流通していたりする。

 

最後に挙げられるは、見た目はボロいが、中身はバリモノ! というケース。一般人には理解できない感覚かも知れないが、いくら綺麗でも走れないクルマは意味がないのでは? 

 

豊川インターの近くで、ビンテージアメリカンを数多く在庫する東海カーズは、もちろん最初に挙げたビンテージアメリカンを絶賛販売中。

 

でも、代表の細井さんが本当に気に入っているのは最後のケースで「人もクルマも中身が肝心!」というのがポリシーだ。既に何度か紹介した愛車の68カマロは、駆動系を中心にまだまだ進化中。

誰一人として信じないかもしれないが、これまでのカスタム費用は優に800万円以上を費やしているそうだが、まだまだやることがいっぱいあるとか。細井さんが目指す「ホロいのに速い!」という考え方そのものが、もはや個性と言えるだろう。

 

ちなみに東海カーズが在庫する車両は、世間一般の売れ筋などとはまったく関係ない、純粋に細井さんが欲しいと思う車両だけをラインナップしている。新車のように同じクルマが手に入るわけではないし、まして中古車は同じコンディションは二つとない。

 

人気のあるモデルだけでなくレアな車両も在庫するが「自分と同じ感覚を持つ人が、どこかに1人ぐらいいるだろう。ま、そもそも手放す気もないんだけど…」と語っていた。もちろんピカピカの個体もあるのだが、それじゃ東海カーズらしくない!ということで、68カマロの他に70年型のクーガーと71年型のカマロも紹介しよう。

68カマロと比べればボディに穴は空いておらず、カーズ目線で見れば「全然オッケ〜」なレベル。ただ一般的な感覚で見ると全塗装が必要と思うかも。だが幾度となくお伝えしてきた細井さんのポリシー「クルマは走ってナンボ」を重視するなら、まずは走らせる部分にお金をかけるべきで、ボディの修復は最後にするべきだと語る。

ちなみにクーガーは、見た目こそオリジナルをキープしているが、やはりポイントとなるのはその中身。エンジンルームを覗くと347エンジンが鎮座。プロフォームのレース用キャブを装着し。フロントサスペンションは車高調に変更しているので、ノーマルを遥かに凌ぐハンドリングを実現している。

 

また意外と気にする人が少ないが、燃料タンクは新品に交換済み。ビンテージは壊れるというイメージが常に付き纏うが、それはメンテナンスを疎かにするオーナーがクルマを壊しているというのが適切だろう。クルマの見た目よりも安全性を優先する。まさにカーズらしさがにじみ出ている部分だ。

 

アメマガを毎月欠かさず読んでくれている読者なら「東海カーズってやけにカマロが多くない?」と気づくのでは。確かに多いし、三度の飯よりも細井さんはカマロが大好きで、この71年モデルは「サーキットもいけるけど、もう少し普通に乗れる仕様」とのこと。

 

スタイリングこそオリジナルをキープするが、やっぱりこれも中身は別物。エンジンは350をベースに、383へ排気量をアップ。フロントサス形式はオリジナルだが、リアホーシングはサードカマロ用をコンバージョンしており、エナペタルでワンオフ製作した車高調を装着する。

 

究極のカマロをいずれ3台持ちたいと細井さんは断言するが、それに向けて目下熟成中。どのように進化するか、これからが楽しみだ。

1968 CHEVROLET CAMARO

アメリカンなグラフィックやピンストライプが一般的だが、細井さんは敢えての和柄をチョイス。以前よりもさらに書込みが施され、中でもリアフェンダーには中尾さんのサインが施されていたりして。

グリップ走行からドリフトまで、ジャンルを問わず走りを探究し続ける細井さん。以前よりもリアタイヤのサイズを小さくすることで、最高速よりも加速のポテンシャルをアップさせている。

ボロボロのボディに対し、エンジンはピカピカ。いわゆるショーで目立つカスタムでなく、ポテンシャルを発揮させる正しい意味でのチューニングだ。電動ファンを追加してエンジンの安定性を向上させるが、エアコンはなし! 予備のベルトを常備するところがサスガ。ヘダースも交換するが、バルクヘッドに何故かFORDの刻印が入った部品を装着。

エナペタルに特注したビルシュタイン。サスペンションの形式は変更しておらず、ブレーキもパッドの強化程度。高価な足回りやブレーキはマストではなく、キチンと整備を施せばサーキット走行を楽しめると細井さんは語る。

まさにコックピット感満載の車内。リアシートや内装は撤去済みで、徹底して軽量化を実施。ミッションはシーケンシャルに変更しており、ドリフトしやすいようにサイドブレーキも変更する。

日常からサーキットまで使えるよう現在熟成中!
1970 MERCURY COUGAR

リアタイヤは非常に太くグリップ性能を重視する。一般的なビンテージカーではあまり実施されていないが、このクーガーでは燃料タンクを新品にするなど、安全性への配慮も疎かにしていない。安心して走れるクルマ、それが東海カーズのビンテージクオリティだ。

エンジンは347へ排気量をアップし、レース用のキャブへと変更。エンジンルームにフロントショックの先端が顔を覗かせているが、実は車高調へ変更し、安定性と確実なハンドリングを追求する。

ベージュを基調色とした内装で、高級感も感じさせる。細井さんが愛用するクルマとしては内装に手が加えられていない方だが、インパネの中央にメーカーを追加しているのが流石。「これなら普段の足に使えるよ…」と細井さんは思っているだろう。

ノーマルにはこだわらず理想の1台を創り上げる
1971 CHEVROLET CAMARO

フロントはショックを交換し、ウィルウッドのブレーキへ変更。タイヤはナンカンをチョイスするが、耐久性とグリップのバランスが良く、コスパは高いと細井さんは語る。いたずらにハイグリップタイヤを履いても、サーキットに一回行ってダメになるようでは、ユーザーとしては選びにくい。

エンジンは350をベースに改造した383を搭載。エンジンの放熱量が非常に大きいため、電動ファンも追加し、安定した走りを実現する。またボンネットはファイバーで、軽さも追求する。

「走ること以外ぶっちゃけどうでも良い!」というスタイル。68カマロがかなりヘビーだが、こちらの71カマロもなかなかの物。インパネなどにエンターテイメント性は皆無で、走るためのメーターだけがズラリと並び。フルバケやHURSTの4MTに交換済みだ。


THANKS:東海カーズ【CARS】

TEL:0533-86-8890


PHOTO:浅井岳男
TEXT:空野陵
アメ車マガジン 2022年11月号掲載


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