歳相応の姿ながら細部まで、綺麗なオリジナル志向【シボレーカマロベルリネッタ】

クーペ

ビンテージ

シボレー

アメマガ2024年2月号

カマロ

カマロ ベルリネッタ

AMERICAN VINTAGE

大阪府

F.A.S.T

Z28を筆頭にマッスルカーの代名詞としても捉えられ、プロスピード仕様などにカスタムされた個体が多い1979年型カマロのオリジナルストックを発掘!

AMERICAN VINTAGE CAR HEAVEN -米国的旧車天国-


綺麗に取り繕うことなくありのままの魅力に触れる

1979 Chevrolet Camaro Berlinetta

1979年型のカマロ・ベルリネッタ。トランスフォーマーの劇中車として同年モデルのZ28をカスタムした個体をはじめ、最新作のビースト覚醒ではオフロード仕様にカスタムされたバンブルビーとして登場するなど、洋画好きに馴染みの深いモデルであるが、紹介する個体はどちらかというとマニアックで、ターミネーター2でサラ・コナーが収監されていた時、息子のジョン・コナーを代わりに育てていたトッド&シャネル夫妻の愛車に近い。色やグレードは異なるが、劇中の夫妻同様にアグレッシブに峠を攻めたりすることなく、カスタムとは無縁の平凡な日常車として大事に乗られてきた雰囲気が随所から感じ取れる。

とくにファーストの大森さんが絶賛している点が、白いバイナルトップの状態である。44年の経年劣化を想定してみても驚くほどコンディションが良い。また、オリジナルのゴールドラインも多少のかすれがあるものの健在で、ほんのり色褪せたオリジナル塗装のホワイトも錆がまわるほどのダメージはなく、このままのコンディションを維持して乗っていくことも前向きに検討できるレベルだと太鼓判を押している。実際に別の色へ全塗装してしまうのは簡単なこと。しかしゴールドのラインを復元するのは難しい。そして何より新車時からリペイントされていないことも、旧車道楽の醍醐味の一つだ。

これはオリジナルエンジンも然り。20年前に同年モデルの黄色いカマロを所有、30年前にも赤いカマロに乗っていた大森さんにとって、ハイパフォーマンス化させることはたやすい。しかし純正の良さがここまで体感できるからこそ、それ自体に価値があると言う考え方もある。余談ではあるが、今までビンテージ系の個体を取材してきて、ロケ場所に登場する時にここまで静かなエギゾーストサウンドは体験したことがなかった。驚くほどシルキーでジェントル。V8でドロドロ言わせる系も魅力的だが、その数が多いが故にこのカマロの個性が際立つ。

あえて手を加えた点といえば、長年ストックしていた同年代のカマロオプションホイールであるZ28用にBFグッドリッチのラジアルタイヤに履き替えたことくらいだ。それも同色ホワイトにリペイントを施しつつ、トリムリングまで良い状態で残しておいた掘り出し物を惜しげもなくこのカマロに継承させている。

後部バンパーの色褪せやインテリア後部座席付近の補修など、多少気になる点は補修も可能。もちろんどうしてもこの個体でサーキットを走らせたいみたいな要望にだって対応できる。歳相応の魅力を堪能するか、それともアンチエイジングに徹してスパルタンな走りに挑むか、選択肢はこのカマロを手にするオーナー次第。ちなみに筆者は同世代なのでメンテナンスに気を配りながら歳相応に老いていきたい。

1979年にデビューした2代目モデルは大きく分けて73年までの前期、74年から77年までの中期、そして78年からの後期と3つに分かれ、ウレタン製バンパー一体型のマスクや新デザインテールを採用。全長が2.2インチ伸びて5019mmとなった。

唯一の変更点であるホイールは、F.A.S.Tの大森さんがコレクションしていた同年代の純正オプションZ28用ホイール。装着する際に同色ペイントを施してBFグッドリッチのラジアルタイヤをマウント。もちろんクロームのトリムリングも当時物で大変貴重な逸品だ。

1979年型のベルリネッタは、そのほとんどが5.0ℓのV8エンジンを搭載する中、この個体は珍しくZ28同様に5.7ℓV8を搭載。もちろん見た目通りのオリジナルストック。5.0ℓが130hpに対して5.7ℓは170hpと、何不自由ない加速感も特筆物だ。トランスミッションはTH350の3速AT。

1979年から一新されたインテリア。スティックシフトに変更され、メーター周りも一新。ブルーグレー基調のファブリックインテリアの状態も悪くない。カーステレオまで当時物をストックする。ちなみにこの年代はステアリングフィールが非常によく、軽くて運転もしやすい。


THANKS:F.A.S.T【ファースト】
TEL:06-6784-1976
HP:https://fast1976.jp/


PHOTO&TEXT:石井秋良
アメ車マガジン 2024年2月号掲載


関連記事

RELATED


半世紀の時を経て熟成された、魅力を放つファーストカマロ

アメリカンビンテージマッスルの中でもっとも知名度の高いメジャーモデルであるカマロ。その初代モデル最終である1969年型をベースとしながらも、絶妙に現代版へとアップデート!

【シェビーⅡノバ】製作途中のまま10年間寝かせていた車両を1年かけて蘇生

旧車道楽とは面白いもので、長い間放置していた個体が原石の様に映ることも多々ある。手つかずのまま放置され続けた個体は、目覚めるキッカケを静かに待ちわびていたかの様に再び息吹を吹き込み、颯爽と駆け抜ける。

プロツーリングほど手を加えず “ちょうど良い塩梅”で乗るべき名車【エルカミーノ】

最新のエンジンや足回り、ブレーキシステムでパリッと仕上がったビンテージマッスルはもちろんカッコいい。でもエルカミーノのキャラクターにはカジュアルに乗りやすく、適度にパフォーマンスを向上させて乗るくらいがちょうど良いのではと思う。そんなコンセプトで着々と製作しているF.A.S.Tの69エルカミーノをPick up!

やっぱりカマロが大好き!その中でも69カマロが1番かな?

アメ車専門店の中でも、とくにビンテージを豊富に取り揃える東海カーズ。代表の細井さんはプライベートでも複数台所有するほどカマロが大好き。なので今回も、今まで紹介していない個体の登場だ。

いつまでも走り続けていたい!ロックな人生にアメ車は不可欠

アメ車の魅力に引き込まれ、複数台所有する人も少なくない。でもマッスルカーばかり…と言う人はレアなケースだろう。

 

最新記事


2025/09/02

サンフランシスコの雰囲気を日本で楽しもう!というコンセプトで実施【CISCO】

イベントレポート

CISCO
20th Apr 2025
名古屋港ガーデンふ頭ひがし広場

2025/08/28

【スーパーアメリカンガレージ2025】様々なアメ車が集結して会場を埋め尽くし、朝霞の森はカラフルに彩られた。

イベントレポート

SUPER AMERICAN GARAGE 2025
6th Apr 2025
朝霞の森

2025/08/26

【1982 シボレー コルベット】走ることだけをとにかく優先し400cbiエンジンや5MTに換装

クーペ

ビンテージ

シボレー

ビンテージアメリカンを何台も在庫し、見比べてお気に入りの1台が選べる。東海カーズを初めて訪れた人は「夢のような空間ですね!」と驚きを隠せない。だが代表の細井さんは、愛車の見た目に関心はなく「いかに気持ちよく走れるか」を大切にしている。

2025/08/23

【ジェネラルホームアメリカン】憧れのリアルアメリカン住宅で毎日を楽しく過ごす

HOUSE

ジェネラルアメリカンホームで建築し、アメリカを感じながら生活を送るオーナーたち。すべてのオーナーに共通するのは、家族全員が毎日を楽しく過ごしていること。2024年にアメマガで紹介したオーナーを改めて振り返ってみよう!

ランキング


2022/04/08

US日産の巨大ユーティリティバンのNV3500

バン

逆輸入車

2019 Nissan NV Passenger

2023/01/02

「いつかビンテージのアメ車に乗りたい!」と選んだのは、1969年型のマスタング・ファストバックだ。

クーペ

フォード

カッコイイ物や美しいものに心がときめくのは当たり前だが、それがファッション業界に身を置く人なら、なおさらだろう。ヘアサロンを営む市橋さんが選んだ初のアメ車は、1969年型のマスタング・ファストバックと言うのも納得だ。

2020/09/01

マスタング史上最強のBOSS 429、859台にのみ搭載された極めて希少なBOSS 9

クーペ

ビンテージ

フォード

1969 Ford Mustang Boss 429

2020/06/28

クーダはプリマス・バラクーダの中でも尖ってるモデル

クーペ

ビンテージ

プリマス

1971 PLYMOUTH 'Cuda 383 & 1970 PLYMOUTH 'Cuda 440