【エルカミーノ】クーペのごとき流麗なスタイル、いかにもアメ車らしいセダンピック

ピックアップ大国であるアメリカが生んだセダンピックアップの代表格であるエルカミーノは、1959年の誕生から1987年まで生産された名車。その中でもSSの称号を持つビッグブロック搭載モデルの1970年型は特別な存在だ。
ファニーなマスクとは裏腹に荒々しいマッスルカー!
1970 Chevrolet El Camino SS
映画「ボディーガード」でケビンコスナーがドライブした87年型、それに映画「メキシカン」ではブラッド・ピットが69年型のレンタカーを借りて旅をするなど、劇中で使用されることの多いシボレー・エルカミーノ。その影響もあって日本でも人気が高い。ちなみにエルカミーノは前から見ればセダンで、横から見たらトラックという変わり種だが、ピックアップトラックの需要が高いアメリカならではなモデル。
そんな人気モデルをストックしているのがナオキモータービルド。モデルイヤーは1970年ということで第3世代となる。71年からエミッションコントロールや低オクタン価の無鉛ガソリンの義務付けを敢行したこともあり、ビンテージマッスルシーンにおいて1970年以前か否かはパフォーマンスやマッスルカーらしさ、そしてアメ車らしさを色濃く感じさせる個体としての変革期。このエルカミーノには規制に左右されない時代の454ビッグブロックを搭載して、なおかつ4速マニュアルシフトの組み合わせということで、もはやこれ以上にないレベルで当時の“最高峰マッスルカー”に浸れるモデル。
あまりの条件の良さに宮田氏自身がコレクションとしての所有を本気で考えた個体ではあるが、同社のユーチューブで強気な配信をした際にお声がかかった相手が何と、人気デュオ「コブクロ」の黒田さんだったのだ。現車確認に訪れた際には既に購入の意志が固まっていた様子で、その模様も黒田さんのユーチューブにアップされている。シートに腰を掛けてイグニッションを回し、ステアリングを握る時の目の輝きや、納車を心待ちにする様子は芸能人とて誰しも同じ。様々な名車を乗り継いできたコレクターでも、この7.4ℓの454ビッグブロックを4速マニュアルで操るアドレナリン全開な感覚に圧倒されることだろう。
太めにセッティングされたフージャーのラジアルタイヤでアッサリとこなすホイールスピン然り、まるで鼓動の如くダイレクトに伝わってくる454の生々しいアイドリングフィールも然り。それでいて68~70年モデル特有の丸目4灯はどこか優しげでファニーなフェイスのギャップもまた味わい深い。所有する喜びよりも操る喜びに重きを置くオーナーにとっては、この上ない魅力を持ったアメリカンヒストリックカーだ。
足周りやブレーキ一式、エンジンなどの整備に始まり、内装張り替えに加えて断熱防音処理。タコメーターやオートメーターの追加、各スイッチ類の新調など、徹底的に納車整備と仕上げを済ませた状態でいよいよ今春納車を迎える454ビッグブロックエンジン搭載、4速マニュアルの70年型エルカミーノ。アーティストとしてではなく、アメリカンヒストリックカー愛好家としての黒田さんの反応が楽しみでならない。






フロントアッパー、ロアアームにチューブタイプの強化品を採用し、ホチキスのサスペンションとKYBガスショックを組み合わせた足回り。ホイールは本物のバセット15インチでリアタイヤには27×10.5R15のフージャーラジアルをマウントする。ハイカムの影響でエンジンのバキュームが減ってブレーキが効きにくくなるのを回避すべく、バキュームポンプでブレーキブースターに負圧を発生させて対処するなど、ビジュアル& パフォーマンスの両立を高次元で両立。
7.4ℓの454ビッグブロックエンジンを搭載する正真正銘ナンバーズマッチのSS。ハイカム、ロッカーアームのヘッドチューニングやホーリー750ダブルポンパー、ミッドマウントキットで1本ベルト仕様となるベルト周りなど、ひと通りの手が加わる。






元々全部剥がされて何もなかった内装は、断熱防音処理を施してすべて新調。定番の3連オートメーターやシフトライト付きのタコメーターを追加してキーシリンダーやドアロックなど細部スイッチ類まで全て新品に交換。ビンテージエアーのエアコンと純正ラジエーターをコアマシしてツイン電動ファンを追加する事でエンジンも車内もクーリング対策万全!またバケットタイプではなくベンチシートに4速マニュアルで454を操る感覚は、実に官能的!
THANKS:Naoki Motor Build【ナオキモータービルド】
TEL:072-236-7300
https://naoki-mb.co.jp/
PHOTO&TEXT:石井秋良
アメ車マガジン 2024年3月号掲載
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