誰にでも分かってもらえることが、老若男女が寄ってくるアメリカンカスタムカーを製作するうえでは重要なのだ。
愛車の満足感を高めてくれるハイセンスなカスタム
Ford Mustang & Chevrolet Camaro
現在に至るまで鎬を削り合ってきたポニーカー
モダンマッスルカーではチャレンジャーの勢いが凄まじく、パワーウォーズでも一歩先を行っている。だが決してマスタングとカマロも黙って見ているわけではない。この車両も負けじと魅力的なモデルをラインナップし続けている。ポニーカーの礎となったマスタングと、それを追いかけて鎬を削り合ってきたカマロ。両車に注力する。
2017 Ford Mustang GT
愛車の満足感を高めてくれる ハイセンスなカスタム
アメ車には不思議な魅力がある。本誌の読者にも人気の高い「アメ車らしいアメ車」に乗っていると、街で知らない人たちが寄ってくる。大人の場合もあるし、子供の場合もある。アメ車でなくても輸入車にはその傾向があるが、アメ車の方が圧倒的に注目度が高い。そのアメ車がカスタムされたものであれば、なおさらである。
このマスタングで一番分かりやすいポイントは、レーシングストライプ。定番中の定番メニューではあるものの、一目瞭然、誰にでも分かってもらえることが、老若男女が寄ってくるアメリカンカスタムカーを製作するうえでは重要なのだ。ピンク色の選択はオーナー氏のお仕事上の理由からだということだが、マグネティック・メタリックのボディカラーに対してハッキリと自己主張するピッタリなチョイスだと言えるだろう。
●エアロパーツ:3D Carbon製(フロントスプリッター、サイドスカート左右、リアバンパーディフューザー)
●ホイール:アメリカンレーシング製20インチ鍛造
●タイヤ:Nitto Invo F:255/35ZR20 R:275/35ZR20
●足回り:Pedders製車高調(コイルオーバー)Extreme XA
●ブレーキ:Ford Performance(Brembo)製15インチフロントローター、6ピストンキャリパー
●マフラー:Magnaflow製Competition Series 4本出しエキゾーストシステム
●フューエルリッド:Scott Drake製Competition Series
●レーシングストライプ:3Mラッピングフィルム(カラー:Gloss Hot Pink)
●インテリア:シート&ドア内張りレザー張り替え
今、日本のアメ車業界で注目度が高い車種と言えば、マスタング、カマロ、チャレンジャー、チャージャーを中心とした、いわゆるマッスルカーである。現行モデルだけでなく往年のモデルも含めて、全体の傾向としてそう表現して間違いない。
マッスルカーというからには、大排気量エンジンで強大なパワーを秘めたマシンであり、すでにストックで800hpを超えるエンジン出力が実現されている今、手を加えれば1000hpだって視野に入っているというとてつもない世界がそこにはある。
確かに、そうしたパワーウォーズがマッスルカー人気を牽引する一因となっているのは事実ではあるものの、少なくとも日本の状況では、そしておそらくアメリカ本国の状況もほぼ同様だと考えられるが、それだけでは、今のいわゆるアメリカン・マッスルカーブームを説明することはできない。 では、このブームの源はどこにあるのだろうか?
結論からズバリ言おう。マッスルカーには、アメ車としてのカッコ良さが分かりやすく実現されているからだ。 現行モデルとして、いわゆるモダンマッスルとかネオマッスルとか呼ばれている車種、すなわちマスタング、カマロ、チャレンジャーはいずれも、それぞれに初代モデルの特徴として知られているディテールを盛り込んでいる。
それによって往年の人気モデルを現在の新車としてリバイバルさせることに成功した。 つまり、世界一の強国であった第二次世界大戦後のアメリカにあって、その繁栄の象徴のひとつと言われた自動車、すなわち当時の「世界が憧れたアメ車」を現代に甦らせたのが今のマッスルカーなわけで、それがカッコ良くないはずがない。
しかも、大排気量エンジンにより強大なパワーを発揮するトップモデルが用意される一方で、スタイル重視派のために手の届きやすい価格のモデルもラインナップしているのも、幅広い層からの支持を得ている理由だ。 ここで紹介しているマスタングもまさにそうだ。 最新の2019年モデルのエンジンラインナップは526hpの5.2LV8を筆頭に、480hpと460hpの5.0LV8、310hpの2.3L直4ターボ(エコブースト)の4種類。価格はアメリカ本国で25845~46595ドル。
トップモデルのシェルビーGT350のみ2019年モデルの価格が未発表だが、2018年モデルの価格は56935ドルである。この幅広い選択肢がマスタングの人気につながっている。 そして先の話題に戻るが、マスタングは確かに人目を引く。それは「スポーティでカッコ良いクルマ」に対するイメージを見事に体現しているからだ。
人は分かりやすいものに魅かれるのだ。ノーマルのままでもそうなのだが、このマスタングのように、その良さをさらに引き立てるハイセンスなカスタマイズが施されたものならなおさらである。 このマスタングを製作したシャインストリートジャパンは、30年前からアメ車とアメ車のカスタムに関わってきた老舗である。
同社のカスタムは奇抜なものではなく、むしろカッコ良く見せるための王道メニューを組み合わせたものだ。しかしその組み合わせ方にプロとしての技が光っているという点で突出した存在なのだ。 車高の落とし方、パーツの選択、オリジナルインテリアの仕上げなど、どこを見ても文句の付けようがないほどにピタリとハマっている。
まるで、もとからこうなっていたかのように自然にまとめられていると感じるのではないだろうか。にもかかわらず、ノーマルの状態を知っている人なら、このカッコ良さがカスタムによるものであることが分かる。まさに「分かっている」プロの手による一台なのである。マスタングが本来持っているカッコ良さを引き立て、さらにレベルアップさせるカスタムにより、自然に人目を引く一台に仕上がっているのだ。
ベース車両はGTで、搭載エンジンは435hpの5.0LV8、トランスミッションは6AT。日本国内での通常の使用では十分な性能なので、機関関係には手を入れていない。乗っていて不足を感じるようになったらいつでもパワーアップは可能だ。
3Dカーボン製のグランドイフェクト(フロントスプリッター、サイドスカート、リアバンパーディフューザー)を装着。プレーンなFRPではなくカーボンを使用することにより、マッスルカーらしいレーシーなイメージを演出している。
マフラーもGT純正は2本出しだが、マグナフローの4本出しへと換装して、リアエンドの迫力を増している。近年のアメ車はV8エンジン搭載車でも排気音は大人しいが、このマスタングはマフラー交換によってかなりのド迫力サウンドとなった。V6や直4ではここまでのサウンドは出ないものだ。
GTの標準ホイールは18インチ、オプションとして19インチも用意されているが、現車にはアメリカンレーシングの20インチを装着。車高調でタイヤをフェンダーアーチに合わせ、絶妙なスタイリングを実現した。ブレーキキャリパーのカラーはペイントによるもの。ボディサイドのエアスクープは、マスタングとしては初代モデルからの伝統的なアイテムのひとつである。
シート表皮はフロントシートもリアシートも全面張り替え。「SHELBY GT」のロゴやパープルの差し色、イエローステッチがポイント。同じパープルがステアリングホイールやドア内張りにも使われているほか、イエローステッチはステアリングホイール、ドア内張りだけでなく、シフターブーツ、サイドブレーキレバーブーツ、センターコンソールボックスリッドにも使われており、インテリア全体を統一したイメージに仕上げている。
インテリアは乗車中に常に直接触れているところだけに、仕上がりの良し悪しが満足度に直結するが、シャインストリートジャパンの仕上げはセンスの良いデザインと緻密さで定評がある。
SHINE STREET JAPAN
神奈川県横浜市都筑区池辺町4890-4
TEL.045-507-6464
http://www.shinestreet.jp
■写真/古閑章郎
アメ車マガジン 2018年 11月号掲載
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