『60セカンズ』の伝説!マスタング“エレノア”の忠実再現への情熱
映画『60セカンズ』への出演で一躍有名になったフォード・マスタングのアイコンである "エレノア "。ここで紹介するエレノアは単なるコピーではなく、映画会社とのライセンス契約に基づいて製作されたプレミアム製品であり、映画に登場したオリジナルのエレノアの外観を保っている優れもの。百聞は一見に如かず、オリジナルの魅力を維持しつつ、現代的な特徴を取り入れているぞ!
Ford Mustang & Chevrolet Camaro
FORD MUSTANG “ELEANOR”
FORD MUSTANG “ELEANOR”
Ford Mustang & Chevrolet Camaro
現在に至るまで鎬を削り合ってきたポニーカー
モダンマッスルカーではチャレンジャーの勢いが凄まじく、パワーウォーズでも一歩先を行っている。だが決してマスタングとカマロも黙って見ているわけではない。この車両も負けじと魅力的なモデルをラインナップし続けている。ポニーカーの礎となったマスタングと、それを追いかけて鎬を削り合ってきたカマロ。両車に注力する。
『60セカンズ』を駆け抜けたマスタングの名作
“エレノア”がここに復活!
2000年に公開された映画『60セカンズ』は、67年式フォード・マスタングが縦横無尽に駆け回る作品として、アメリカンカー好きに愛されている。そのマスタング“エレノア”を忠実に再現した、映画会社公認モデルが日本に上陸。そのクオリティーは単なるレプリカを超えた真のレストモッドだった!
00年公開作に登場した、2代目ヒーローの傑作
『60セカンズ』はカーアクション映画、中でもアメリカンカーがお好きな方々にとってハズすことのできない作品だ。
74年公開のオーリジナルバージョン(邦題『バニシングイン60』)では73年型のルックスにお色直しされた71年型が、00年公開のリメイク版では67年型のマスタングが、クルマを盗み出す主人公たちを手こずらせる小悪魔のような役割を果たす。
このとき、盗みに狙う車名をズバリ言うのではなく、暗号として女性の名前をつけるのだが、マスタングにつけられた名前が「エレノア」だ。以来、73年型と67年型といえばエレノアがイメージされるほどの人気モデルとなっていく。
今回紹介する67年型は、ここに由来する最高峰の一台といえる。埼玉県のエレガントデザインに、その「オリジナルを超えるエレノア」はある。
エレノアであることを証明するオリジナルのフロントマスクは、ファイバーで作られたもの。そこにプロジェクターライトやビレットグリルインサートを合わせ、モダンな香りを漂わす。
ホイールも市販品ではなく、特注品。組み合わせたタイヤはニットーNT555の245/45-17と315/35-17だ。ペッパーグレーにブラックのストライプが入るペイントも含め、映画に登場したエレノアそのままの外観をキープしている。オーダーにより赤、青、白などのカラーも選択可能だ。
427の圧巻パワーとレトロな雰囲気が同居
実を言うと、エレノアにはいくつかのコピーモデルが存在する。つまり、そのカラーリングや特徴的なフロントマスクなどを真似た代物だ。
だが、ここで紹介するエレノアは、そういう車両とは一線を画す。正式に映画会社とライセンス契約を結び、「エレノアの見た目を一切崩さない」という条件の下でカスタムされた公認済みのプレミア商品だからだ。
製作はカリフォルニアのフュージョンモータースポーツが担当。
映画の台本通りに67年型のファストバックをベースに、ファイバーで作ったアウターパネルを移植することで、スティーブ・スタンフォードがデザインし、チップ・フースがスタイリングしたアクの強い外観を見事に継承している。
そして中身には、8連スロットル付き427エンジン(560HP発揮)、ウィルウッドの6ポットブレーキ、アルミのプロペラシャフト、4リンク式のフォード9リアエンドと、機能的パーツが堂々と据えられ、アンダーはすべてパウダーコート仕上げに。そう、見た目だけのお飾りなどでは断じてなく、レストモッドとしても一流の仕上がりを見せるのだ。
現在、世界に6台、アジアに1台しかないと言われる究極のエレノア仕様。スーパーカーが買えるほどの価格で注文製作を受け付けているが、それだけの価値があることを、誌面からぜひとも受け取っていただきたい。
見てくれだけのコピーに非ず
メカニズムまで充実してるからこそ価値がある
すべてにエレノアの文字が描かれた特製のメーターを組む。ヴィンテージエアのエアコンやナビもついているため、クラシックモデルならではの乗りにくさを感じることなどない。
ウインドークランクのハンドルは、パワーウインドーのスイッチだ。内装はスタンダートとデラックスの2タイプを用意するが、これはレカロシートが装備されるデラックスタイプ。そしてシフトレバーの赤いボタンと接続されるNOSのシステムは、純正ではダミー。
だが、9レコードではセットアップも行なっているので、映画同様にヘリを振り切る加速が欲しいなら、配管するべし!
マスタングのチューナーとして名高いラウシュが手がけた427エンジンは560hp/540lb-ftを発生。ブレーキにはウィルウッドを、補機類にはビレットスペシャリティーズのトゥルートラックと、誰もが納得のパーツで固められた。
扱いやすいコヨーテ5ℓ、パワーを求めるスーパーチャージャー付きの427などエンジンは選べるが、サウンドとフィーリングを重視した結果、NAの427を選択。
チューブラーのアーム、6ポットのキャリパー、ラック&ピニオンなどを備えるフロントの足まわり。フレームやフロアパンにまでパウダーコートがかけられ、万全の保護体制を敷く。リアのサスペンションは4リンク式へと変更。
デフはフォード9のファイナル3.89だ。プロペラシャフトをアルミにすることでフリクションロスの軽減も図り、それをカバーするかのように張り巡らされた補強バー、アルミガスタンクなどの造形美も見事!
トランクにはJLオーディオのアンプ、NOSのボトル、オデッセイのバッテリーを置く。ここのヒンジやバッテリーのタイバーも当然のようにアルミ削り出しのパーツを使っていた。
日本総代理店を務める「9レコード」の長谷川氏が、「ここまで神経を使う会社なら信用できる」と確信した部分が、このヒンジだ。ダンパー付きの削り出しというスペックから、手抜きのないこだわりの姿勢が見えたからだ。
シリアルナンバー入りのコーションプレートが、エンジンルーム内に貼られる。しかし、このプレートを見なくても、明らかな質の高さからフュージョンモータースポーツ製のエレノアであることは一目瞭然だ。
■Thanks:エレガントデザイン
http://elegant-design.co.jp
■写真/犬塚直樹
■文/佐藤アキオ
アメ車マガジン 2018年 11月号掲載
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