匠の融合 LUXZ × ROHAN コラボレーション
匠の融合 LUXZ × ROHAN
本気で取り組んでいる者同士が引き寄せあうのは偶然ではなく必然
日本を代表するカスタムペインター井澤氏(ローハン)、チャレンジャーカスタムのトップリーダー島澤氏(ラグジ)が、遂にコラボレーション。日本のみならず、世界を舞台にすることも視野に入れ、チャレンジャー・ヘルキャットをベースにカスタムを行なうことになった。2020年初頭に開催される「東京オートサロン2020」での披露を目指し、プロジェクトがスタート。
ぶつかり合うのではなく新しい科学変化を起こす
2019年の東京オートサロンでグランプリを受賞したローハン。一方グランプリを狙いつつも、ローハンにその座を奪われて二位という悔しい結果となったラグジ。この結果だけを見ると、リベンジに熱を燃やしたラグジの、熾烈なグランプリ争いに発展しそうなものである。しかし、2020東京オートサロンでは、なんと両者がタッグを組んでグランプリに挑むという意外な展開に。
事の発端は、ラグジ代表の島澤氏の潔さから始まる。ローハン代表の井澤氏の、類まれなる秀才ぶりは既に承知だったが、2019年の東京オートサロンでまさかのインポート部門でバッティング。会場を練り歩き、ローハンへ挨拶に訪れた際にそのことに気づいた島澤氏は、悔しいけど負けると悟ったという。とは言っても、自分の造ったクルマに対しての絶対なる自信は揺るぎない。まだワイドボディがトレンドの一つとして確立される前から、ケンメリのワイドフェンダーをワンオフで取り付ける所から始まり、研究に研究を重ね、トライ&エラーを経て世に送り出した独自のワイドボディには確固たる自信がある。しかし芸術の粋に達するエングレービングやグラインダータトゥ、ゴーストペイントによる巧みな職人技とは競うステージが別物。今後もぶつかり合って競うのではなく「お互いがタッグを組むことで、新しい何か化学反応が起こるのでは?」と、来年の出展車両製作の塗装を依頼できないかと思案。
しかしお互いが尖った者同士。最初の対面ではどちらも大きな壁の様な物を感じたようで、会釈はするものの、すぐに目をそらしてしまう現状。それを見かねたのが大阪のメガキングドットコムの寺下氏。どちらとも公私ともに仲の良かったことで、両氏を誘い食事の場を設けた。そこでお互いの心の内を明かし、業界をさらに盛り上げたいという熱意が互いに共鳴し、今回のコラボが決定したのだ。
井澤氏が島澤氏に抱いた第一印象は、目つきが恐い人(笑)。しかし話を進めていく中で、カスタムに対する熱い思いに同調。実は3年くらい前から、ラグジの造るチャレンジャーを素直に格好良いと思っていたとか。お互いに、製作するクルマに対しての思い入れやコンセプト、カスタムの進め方に関しても通じるものが多く、オーナーの思いを汲み取って具現化させていく姿勢も共通する部分。
今回製作する車両も井澤氏、島澤氏が九州まで足を運び、ベースとなる19年型チャレンジャー・ヘルキャットのオーナーと食事をしながら他愛もない話で盛り上がり、技術とセンスで任せてもらえる様な、信頼と人間関係を築く所から始まっている。
ローハンのカスタムペイントは、正直に言うと敷居が高い。それなりにコストもかかる。しかも、オーナーから事細かに注文を言うのはナンセンス。それでも「ローハンの井澤氏」に依頼したいと願うオーナーが数多く存在している所こそ「匠か否か」の分かれ道。同じ様にラグジでショーカーを製作する際も、島澤氏から想定外のアレンジを提案され、オーナーが当初思い描いていたスタイルを超える仕上がりで納車されるサプライズ要素も満載。とは言っても、全くオーナーの好きにさせてもらえない頑固なビルダーではなく、オーナーの目指す方向性や思考を汲み取り、それに沿った形で経験値を積んだ匠達が、想像を超えるカタチへ仕立て上げるといったイメージだ。それが許されるには、それ相応の実力と信頼性が必要不可欠であり、二人がその域に達しているからこそ成せる仕事である。
では、SEMA SHOWを始め、国内外で評価される二人がタッグを組んで挑むプロジェクトは今後、どの様な展開を待ち受けているのだろうか。
既に井澤氏の中ではある程度プランが浮かんでいるとのことで、その全貌は本誌で今後、順を追ってリポートしていく予定だ。あえてひと言明かすとすれば、今まで見たこともない様なトリックを仕込んだ姿。井澤氏が持ちうる巧みなペイント技術と、島澤氏の生み出す官能的なワイドボディフォルムの超絶コラボと言ったところか。キーワードは情熱の赤!とだけ付け加えておこう。しかし、その全貌は取材した筆者はおろか、両社スタッフですら未だ知るよしもない。
2019年の東京オートサロンインポート授賞式の一枚。笑顔を見せてはいるが、実は悔しかったと島澤氏は当時を振り返る。しかし、これがキッカケとなって今回の一大プロジェクトが始動。この時は、まさか一緒に車を製作することになるとは、お互いに思ってもみなかった。
ヘルキャット独特のボンネット形状と、エッジカスタムズがもたらすフォルム造形美に対して、どの様なテクニックを表現していくかなど、入念に打ち合わせしていた両氏。
世界が驚く芸術的ボディアート、究極を追求するペインター軍団ローハン
ROHAN 井澤 孝彦氏
誰とでもコラボすることは決して無い。自分をもっと成長させてくれると確信した人としか手を組まないと語る、ローハン代表・井澤氏。島澤さんと初めて会った時は、正直目も合わせず会釈だけ。職人気質な自分とは真逆の人の印象だった。
2018年のSEMAをはじめ2019年の東京オートサロンなど国内外で称賛の嵐となった井澤氏の超大作。自身の愛車であり専用のガレージを用意して保管する徹底ぶり。車の世界に重要文化財的な認定があれば、間違いなく認定されるレベルのインパラである。
日本のチャレンジャーブームを牽引し、常に新しいアメ車文化を発信するラグジ
LUXZ 島澤 典詳氏
新しいこと、面白いこと、格好良いことを追求し、チャレンジすることで新しい発見があると語る、ラグジ代表・島澤氏。格好良い! を追求するプロとして、その一歩先を行く井澤氏を、素直に尊敬していた。
ラグジのカスタムブランド「エッジカスタムズ」からは、チャレンジャー用カスタムスタイルであるMライン、Rラインをリリースしており、2019年のオートサロンで発表したのが、コンプリートモデル「チャレンジャーS」。大型スプリッター、ワイドフェンダーなどが装着するスタイリングだ。
ROHAN
所在地:奈良県天理市櫟本町3520-1
TEL:0743-61-5755
HP:http://rohan-izawa.com
LUXZ
所在地:岐阜県岐阜市長森本町2-1-4
TEL:058-2593922
HP:https://luxz.jp
photo:浅井岳男
text:石井秋良
アメ車マガジン 2019年 12月号掲載
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