【至高のフォード・マスタング】シェルビー・コブラGT500KRが描くプレミアムな世界

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アメマガ2020年7月号

過激に挑め!! MUSCLE WARS

コブラGT500KR

フォード・マスタングの1968年型シェルビー・コブラGT500KRを紹介。キング・オブ・ザ・ロードとして知られるこの車は、パワフルなコブラジェット428エンジンとラグジュアリーなデザインが魅力だ。わずか933台の限定生産で、工場オリジナルの状態を保ち、高い価値を解説。
1968 SHELBY COBRA GT500KR

過激に挑め!! MUSCLE WARS


SCCAのホモロゲカーとして誕生し後にフォードのカタログモデルとしてラインナップされた「シェルビー・マスタング」

1968 SHELBY COBRA GT500KR

1960年代後半、フォード・マスタングはデビューと同時に爆発的にヒットしたが、スペシャルティーカーとしてのイメージが強いモデルだった。そこで、よりスポーティなイメージを高めるべく、モータースポーツでの名声を獲得するためのプロジェクトをキャロル・シェルビー率いるシェルビー・アメリカンに託した。

 

SCCAの純スポーツカーばかりで競われていたクラスにおいて、市販マスタングをベースとしたワークスカーで参戦することで注目度を高めるという戦略をとったのだ。クラブマンレース色が強く、弱小メーカーに対する配慮もあって、ホモロゲカーの最低生産台数は100台程度と、大手自動車メーカーのフォードには無理のない台数ではあったが、サスペンション、ステアリング関係、ブレーキ、吸排気系、重量配分等、細部に渡りレースでの戦闘力を高めるためのアレンジがされた。

 

そして誕生した最初のシェルビー・マスタングは、GT350のネーミングで市販されたが、マスタングのスペシャルモデルとして考えると、LSD“デトロイトロッカー”が採用されるなど、街乗りにはタイトすぎて、当時のユーザーのニーズにはマッチしていなかった…。そのため、年々「GTカー」としての要素を高め、マスク&テールに専用デザインを採用して外観からしてスタンダードのマスタングとの差別化が図られるようになっていった。

 

1967年型にはパワフルで豪華さを高めたGT500が追加されたが、1968年からは、キャロル・シェルビーがレースに専念する一環で“コブラ”の商標はシェルビー・アメリカンからフォードに売却された。すなわち、68年以降の「シェルビー・マスタング」はフォードプロデュースとなり、GT500KRがラインナップに加わり、GT350&GT500も含め、いわゆるカタログモデルとしてラインナップされることになったのだ。

力強く神々しい「キング・オブ・ザ・ロード」

1968 SHELBY COBRA GT500KR

シェルビー・マスタングというと、本国アメリカではとくに65~66年型GT350に人気が集中している。それだけに、雑誌などでの露出やダイキャストのモデル化されるケースにおいても片寄りがちではある…。しかし、実際の出荷台数だけで比較すると、1968 年型がもっとも多いのだ。また、ルックス面では歴代のフォード車の中でも戦闘的でトップレベルのストロングマスクだし、搭載エンジンにおいても、ビッグブロック、コブラジェット428といったストロングモーターが設定されるなど、重要なファクターを持ち合せている。

 

そうした「GT500KR」ならではの仕様は、正に最高峰のGTカーに相応しく、歴代マスタングの中でもっともプレミアムな存在だ。コブラジェット428の公表スペックは控えめながらも、近年アメリカの自動車専門誌が行なった1/4マイルの実測データでは、13.9秒を記録しポテンシャルの高さを証明している。

 

GT500KRのファストバック(ほかにコンバーチブルも存在する)の出荷台数は、僅か933台と相当希少なモデルとなるが、この個体は、レストアをせずして、工場出荷の点検チェックや、タグ類も含めて完璧なオリジナル状態をキープしている。しかも、新車時から近年まで所有していたオーナーは、フォードの関係者であり、今日までの素性が明確なうえ、オリジナルであることがきちんと証明されている点で極めてレア。従ってそのバリューはスーパーカーを凌ぐレベルなのだ。

1968 SHELBY COBRA GT500KR

428CJのポテンシャルは、まさに「マッスルカー」だ。ビッグブロックならではのトルクが軽快に立ち上がる独特なフィーリングが得られる。この個体の実際の車重が、ビッグブロックエンジン搭載車ながらも、1.6tを切っているだけに、パワーウェイトレシオは相当高い。コンディションや実際のフィーリングからしても、エンジンは本来のポテンシャルが発揮されていることが体感できるが、装着タイヤが純正のバイアスゆえに、そのパワーを路面にあますことなく伝えるだけのトラクションは得られないし、路面状態によってはキックバックも大きい。

 

それだけに、パフォーマンスを100%満喫するには、ハイグリップのラジアルタイヤへの変更が必須となるが、この個体ほどのファクトリーオリジナル車では、タイヤも含めてストックであることに意味がある。

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68年型のGT500に設定された428ポリスインターセプターの仕様は、それまでミディアムライズのインテークに600cfmのホーリー製シングル4バレルが2機セットされていたのに対し、「GT500KR」には、ハイライズインテークに715cfm の4 バレル1 機にアレンジされた。ちなみに、カタログ上のスペックは5hpアップして360hpとなっている。すなわち、同じ428であってもGT500KRに搭載された428は、新たに投入された「コブラジェット」の愛称を持つ別モノなのだ。

 

ヘッドやインテークは427 サイドオイラー用を組み合せ、圧縮比は10.6:1に上げられ、コンロッドやクランクシャフトは鍛造製の強化品。カタログデータでは335hpと、GT500を下回るが、実際のポテンシャルは400hpを超えている。これは、ハイパフォーマンス車に対して行政の検査基準が厳しくなる中での配慮で、GT500ではエンジン単体での計測に対し、GT500KRではあえて吸排気系のパーツをすべて装着した状態で計測することで、数値を抑えていた。

 

デビュー時のシェルビー・マスタングは、レースのホモロゲモデルとして純粋に速く走ることに特化したスモールブロックモーターのスパルタンなキャラクターだったのに対し、GT500KRはビッグブロックモーターならでの余裕の走りと、リッチなGTカーとしての要素を高めた最高のストリートカーなのである。

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搭載エンジンは428CJで、ヘッド、インテークを始め、クランク、コンロッドなども強化品が採用されているのが特徴。当時はハイパフォーマンスカーに対して行政が過敏になっていたこともあり、カタログ上では335hpと表記されるも、実際には400hpを超えているといわれる。

 

GT350&GT500がCOBRAの文字が入るキャスト製オーバル型エアクリケースなのに対し、GT500KRは特有のラムエアーシステムによるスチール製なのがポイント。トランスミッションはGT500同様に、4速マニュアルは強靭な“ トップローダー”、オートマチックはC-4を搭載する。


アメ車マガジン 2020年 7月号掲載

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