-アメカルにまつわるエトセトラ- #6「ザ・アメリカン・スポーツカー」

#6「ザ・アメリカン・スポーツカー」
et cetera about AMERICAN CULTURE -アメカルにまつわるエトセトラ-
et cetera about AMERICAN CULTURE
-アメカルにまつわるエトセトラ-
#6「ザ・アメリカン・スポーツカー」
アメ車マガジン読者諸兄には、もちろんそれぞれお気に入りのモデルがあると思いますが、それでもアメリカンスポーツカーである「コルベット」についてはほとんどの方が憎からず思われているんじゃないかと、勝手に想像します。
広大な地域を快適に移動するというアメ車的価値観では、機敏なスポーツカーよりもパワフルなGTのほうが適していることは明白。そんなわけで自動車先進国である米国ではスポーツカーがなかなか馴染みませんでした。しかし、そうは言っても「スポーツカー的人馬一体」を好む思いもクルマ好きの性。
そこで、'50年代あたりから米国では欧州製スポーツカーブームが起こりました。そのトレンドをいち早く自社のラインナップに加えるべく動いたのが「コルベットの父」とも呼ばれるGМのハーレイ・アールでした。そして'53年に誕生したのが2シータースポーツカーであるコルベット(C1)です。
しかし、初めてのスポーツカー開発。デザインこそ魅力的でしたが、車体は重く、適切なパワーユニットも持たなかったことから「名ばかりのスポーツカー」と揶揄されることに。ここで運命的な出会いが起こります。モトラマ(GМのカーショー)に展示されたC1のプロトタイプに感銘を受けたエンジニアがシボレーに入社。そのエンジニアこそが、後に「コルベットの育ての親」と呼ばれることになるゾーラ・アーカス・ダントフでした。
車両開発に才のあったダントフとコルベットの間には様々な興味深いエピソードがあるのですが、以前にご紹介したシェルビーにも通じるところがあり、不思議なめぐり合わせを感じます。そんなダントフの傑作の一つが「コルベット(C2)・グランスポーツ」です。
打倒フォード&フェラーリを命題に5台製作された同車でしたが、レースへの関わりを禁じたGMの意向により本格的な参戦はかなうことなく、国際レースは正に映画「フォードVSフェラーリ」の世界へと突入していきます。その後、40年の時間を経たC5の登場までワークス体制でのレース参戦はなりませんでしたが、プライベーターによってコルベットの姿がサーキットから消えることはありませんでした。
一昨年の2019年、何十年も前から「いつか…」と語り続けられてきた「ミッドシップ・コルベット」がついにアンベールしました(C8)。数百馬力のパワーを余すことなく路面に伝え、さらに自在なハンドリングを実現しようとすると、リヤ・ミッドシップは理にかなった車体構成ですが、効率最優先のレースカーとは異なり、情緒的側面も併せ持つのがスポーツカー。起伏豊かなロングノーズこそコルベット…とお思いになる方も多いでしょう。ポテンシャルの高さは概に報じられている通りだと思われますが…さて、いかに。
TEXT & ILLUSTRATION : JIN HATTA
アメ車マガジン 2020年 8月号掲載
最新記事

2025/08/28
【スーパーアメリカンガレージ2025】様々なアメ車が集結して会場を埋め尽くし、朝霞の森はカラフルに彩られた。
SUPER AMERICAN GARAGE 2025
6th Apr 2025
朝霞の森

2025/08/26
【1982 シボレー コルベット】走ることだけをとにかく優先し400cbiエンジンや5MTに換装
ビンテージアメリカンを何台も在庫し、見比べてお気に入りの1台が選べる。東海カーズを初めて訪れた人は「夢のような空間ですね!」と驚きを隠せない。だが代表の細井さんは、愛車の見た目に関心はなく「いかに気持ちよく走れるか」を大切にしている。

2025/08/23
【ジェネラルホームアメリカン】憧れのリアルアメリカン住宅で毎日を楽しく過ごす
ジェネラルアメリカンホームで建築し、アメリカを感じながら生活を送るオーナーたち。すべてのオーナーに共通するのは、家族全員が毎日を楽しく過ごしていること。2024年にアメマガで紹介したオーナーを改めて振り返ってみよう!