ラム史上最強のオフローダーそれがTRXだ!
2021 RAM 1500 TRX
AMERICAN TRUCK & SUV
2021 RAM 1500 TRX
ライバルは当然F150ラプターとなる!
ピックアップトラックでハイパフォーマンスオフロードモデルといえば、フォード・F150ラプターの独壇場だった。FCAとしても打倒ラプターを模索し開発を進めており、遂にラム1500TRXを登場させたのである。
ラプターかTRXか米メディアも答えは出ず?
このタイミングで、ついに登場。ラム史上最強のオフローダーである、ラム1500TRXがついに量産された。アメリカでロングリードと呼ばれる、大手自動車メディア関係者を主体として、荒野の中で激走体験試乗会が開催された。果たして、メディアの反応はいかに…。
時計の針を少し戻すと、ラムTRXの存在が明らかになったのは、今から(2020年11月現在)4年以上も前のことだ。場所は、テキサス州ダラスのコンベンションセンターで行われたステートフェア・テキサス。州政府を中心として、テキサスの魅力を州内外にアピールするイベントであり、ダラス周辺の州民にとっては年に一度のお祭りだ。移動式遊園地やステーキドックや地元の焼きたてトウモロコシなどの屋台も多数出展される。仔馬のポニーライドは家族連れに大人気だ。
そんなステートフェアで、もうひとつの目玉がダラスモーターショーだ。デトロイトやシカゴなどでの開催と比べると規模は少し小さいが、全米メディアの注目はピックアップトラックだ。毎年、デトロイト3(GM、フォード、FCA)はこの地でワールドプレミアするピックアップトラックがあるからだ。テキサスは全米最大のピックアップトラック市場だ。
そして2016年に登場したのが、「ラムTRXコンセプト」だった。搭載ユニットはHEMI6.2?V8にスーパーチャージャー装備(最高出力575馬力)。トランスミッションは、パドルシフト付8速ATで4×4パフォーマンスコントロール機能を持つ。
トランスファーはボルグワーナー社44-45をベースとした。走行モードは5つあり、N(ナチュラル)、2Hノーマル(通常FR)、4Hウェット&スノー(4WD)、4Lオフロード(低速走行4WD)、そしてメキシコのバハカリフォルニアで行われるオフロードレース・バハをイメージした4Hバハ(高速オフロード走行)とした。
驚くことに、ラム1500TRXとして量産されたモデルは、最高出力がなんと702馬力を実現。その数字を活用したマーケティング戦略として、ローンチエディションを702台限定発売するも、予約開始からなんと1日も経たず完売してしまった。
量産モデルの駆動系やサスペンションは、ダナ製M250リアアクスル、ビルシュタインの2.5インチブラックホークe2アダプティブパフォーマンスショックアブソーバーを作用。ホイールトラベルはそれぞれで13インチ(約36cm)となり、ノーマルモデル比で約40%もの拡張だ。リアサスはコイルスプリングによる5リンク式で、タイヤは37インチを装着する。ローンチエディションは、カーボンファイバーのインテリアや、ヘッズアップディスプレイ、ハーマン・カルドンのプレミアム19スピーカーシステム、さらにパノラミック・サンルーフなどスペシャルなオプションパーツ満載だ。
さて、アメリカの一部メディアのラム1500TRX体験はどうだったのか? まずは、通常走行としてスーパーチャージド702馬力の大迫力な加速感や、それを支えるしっかりしたブレーキ性能を確認。その上で、助手席に開発担当者が同乗し、メディア記者もヘルメットを装着して、「バハモード」による超高速でのオフロードコーナーリングを満喫した。試乗後、メディア記者たちの感想の中で共通点があった。もちろん、フォードF150ラプターとの比較である。当然のことだが、FCAはラム1500TRXの商品企画の段階でF150ラプターをベンチマークとした。見方を変えると、ラムの販売店やユーザーから「ラムのラプターが欲しい」という声が市場から定常的に聞こえていた、ということだ。
では、ラム1500TRXとF150ラプター、どちらに軍配が上がったのか?両車ぞれぞれの個性が光るなかで「なんとも評価が難しい」と苦笑いするメディア関係者が多かった。
パッと見て超スーパーモデルという感じではない。うちに秘めた凄み。外観からそんな雰囲気がある。とはいえ、フードには702馬力HEMIへの冷却機能も加味した鋭いシェイプのバルジ。また、たんなるリフトアップではなく、実走向けに洗練されたサスの存在感を感じされる37タイヤまわり。リアビューは至ってシンプル。ノーマルラムと比較して2インチリフトアップされている。
これぞ、次世代スーパーラムのインテリア。ひと目で、そうした強いインパクトをカラダ全体で感じる。なんとも「攻めの姿勢」を感じる意匠である。ダッシュボードやドアトリム、そしてシートにはダッジ魂である深いレッドカラーのステッチが心を打つ。ローンチエディションではステアリングなど各所にカーボンファイバー調のオーナメントが力強さを主張する。ダッシュボード中央の12インチ大型ディスプレイは機能性第一主義の設計だ。
ラム最強の702馬力となる、HEMI・V8スーパーチャージャーは見た目も迫力満点のパワーユニット。フードのエアスクープによってエンジンでの空気吸入量が約50%向上している。トランスミッションは8HP95(8速AT)。走行性能は0-60マイル(約96km)が4.5秒。0-100マイル(約160km)加速が10.5秒。クオーターマイル(0- 約400m)加速が12.9秒。そして最高速度は時速118マイル(188km)。
TEXT/桃田健史
アメ車マガジン 2021年 2月号掲載
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