-アメカルにまつわるエトセトラ- #12「時代と共に変化する闇の騎士 」

コラム

アメカルにまるわるエトセトラ

アメマガ2021年2月号

#12「時代と共に変化する闇の騎士 」

et cetera about AMERICAN CULTURE -アメカルにまつわるエトセトラ-


et cetera about AMERICAN CULTURE -アメカルにまつわるエトセトラ-
#12「時代と共に変化する闇の騎士 」

マーベル・シネマティック・ユニバース(МCU) の成功以降、少し影が薄くなってしまった感のあるDCエクステンデッドユニバース(DCEU)のヒーローチーム…ジャスティスリーグですが、それでも日本人にとって最も馴染みのあるヒーローといえば、アメコミ最古のヒーローともいえるスーパーマン(1938)とバットマン(1939)でしょう。特にバットマンは何度も実写化され、それぞれそれなりに成功を収めているので、各年代毎に「俺のバットマン」像があるのではないかと。


かくいう私は、バットマン最初のブレークとなった'60年代後半に放送されたTVシリーズ(日本名:怪鳥人間バットマン)が原体験。実写にもかかわらず、乱闘シーンなどで「BANG!」など擬音が書き加えられる特殊演出や、軽快なオープニングによって正にアメコミから飛び出してきたようなポップなシリーズでした。そして約20年の時を経た'89年のティム・バートン版バットマンがその人気を不動のものにした…というより、その後に続くアメコミ・ヒーロー映画の先駆けになった気がします。今のようにCGで何でもできる時代ではないだけに、逆に手間とアイデアが詰まった特撮が興味深く楽しいシリーズでした。


そしてバットマンのポジションをぐっと高めたのは'05年から始まるクリストファー・ノーラン・トリロジー(三部作)。コメディといっても差し支えなかったTVシリーズや、ティム・バートンが手放してから迷走した前シリーズに比べ、グッと外連味をそぎ落とし、代わりに悩めるブルース・ウエインを中心に描いたトリロジーはそれまでのファンを超えた評価を受けました。特にヒース・レジャーがジョーカーを演じた2作目の「ダークナイト」は、アカデミー賞8部門にノミネートされ、2部門で受賞されています。ちなみにヒーロー物らしく数多くのヴィランが登場するバットマンシリーズですが、全てに登場しているのがジョーカー。ウソとジョークで塗り固められたキャラクターですが、異形の黒装束をまとったバットマンを自分と紙一重な危うい存在として見抜いています。両親を目の前で殺害され、復讐する(自分が悪と判断したものを排除する)ために力を備えた(つまり真っ白な正義ではない) ブルース・ウエインにとって、目的のためには手段を択ばない…という点においてはジョーカーは同族でもあるのです。その点、絶対正義のスーパーマンとは決定的に相容れない部分があり、それに起因する対立が、後に描かれるDCEUの軸になっていきます。


さて…バットマン史上もっともごつかったベン・アフレックがDCEUプロジェクトから降板したそうです。新たに抜擢されたのはぐっと若返ってロバート・パティンソン。今度はどんな悩めるダークナイトを見せてくれるのか楽しみです。

cap_2001

TEXT & ILLUSTRATION : JIN HATTA
アメ車マガジン 2021年 2月号掲載

最新記事


2025/11/11

兄弟揃ってマッスルカーさらにボディもマッスルに

セダン

クーペ

ダッジ

フォード

ファミリーカーがアメ車だったということで、物心つく前からアメ車と触れ合っていた兄弟。そんな生活を送っていればアメ車は非日常ではなく、日常のありふれた光景。そのため2人がアメ車を選んだことは自然の理と言えるだろう。

2025/11/06

統一感が生む独自の世界は近未来な印象を抱かせる【ハマーデザイン】

クーペ

ビンテージ

シボレー

ショップ

ハマーデザインの濱岡氏がアメリカ滞在時に出会ったダニーD氏。彼に亡き今、その遺志を継承し後世に広める者として、様々な作品を濱岡氏は生み出し続ける。

2025/11/04

【FIELD STYLE JAPAN 2025】450社以上が出展するアジア最大級のアソビの祭典

イベントレポート

FIELDSTYLE JAPAN 2025
AICHI SKY EXPO(愛知国際展示場)

2025/10/30

【マッスルカーナショナルズ14】イベントの主役は、1960~70年代のアメリカンマッスルカーたち

イベントレポート

MUSCLE CAR NATIONALS 14
18th May 2025
名古屋港ガーデンふ頭ひがし広場

ランキング


2024/12/31

【FORD F-150 LIGHTNING】公道は走行できないですがビジネスのために投入!

ピックアップトラック

フォード

チャレンジャー専門店のラグジ・島澤社長から「F-150のライトニングを、ディスプレイ用として購入したお客様がいますよ」と連絡が。展示するためのクルマってどういうこと? とモヤモヤしながら取材に向かった。

2020/08/31

魅惑のマッスルカー黄金時代:1960年代と70年代の誇り高き車両たち

ビンテージ

人気のあるマッスルカーであるマスタング、カマロ、チャレンジャーに焦点を当て、1969年のシボレー・カマロ、コルベット、フォード・マスタング・ボス429を紹介。性能やコストパフォーマンスだけでなく、美しさや運転の喜びにも注目。

2018/03/27

スラムドは不向きとされるラムバンを極限まで落とし込む

バン

ダッジ

足回り

アストロやシェビーバンなどのGM系バンでは着地スタイルも珍しくはないが、ベースがラムバンとなると車高調でローダウンが限界…。だが、その一歩先を目指し、アキュエアーを駆使してボディメイクを敢行!

2021/01/22

【アメリカNo.1売上】本場が認めるキャンピングトレーラーJAYCOの内外装とは?

キャンピング

キャンピングトレーラーがあれば、あれもこれもとキャンプ道具を積み込むことなく、必要な時だけ連結して、いつでも贅を尽くしたトリップが可能!

そして切り離せば現地でも気軽に周辺の観光スポットを探索できるメリットもある。さぁ、キャンピングトレーラーを始めてみませんか!

Text & Photos|アメ車MAGAZINE