-アメカルにまつわるエトセトラ- #14「 誠実で尊敬すべき愛の戦士 」

コラム

アメカルにまるわるエトセトラ

アメマガ2021年4月号

#14「 誠実で尊敬すべき愛の戦士 」

et cetera about AMERICAN CULTURE -アメカルにまつわるエトセトラ-


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#14「 誠実で尊敬すべき愛の戦士 」

アメコミ最古のヒーローとしてお馴染みのスーパーマンとバットマンですが、彼らと遜色ない歴史を持っているのがワンダーウーマン(WW)。彼らがアメコミヒーローの始祖といっても過言ではないのですが、なかでも少し変わった出自をもつのがWW。実は漫画家によって産み出されたキャラクターではないのです。


生みの親は、DCコミックス社の前身である出版社でコンサルタントを担っていたウィリアム・モールトン・マーストン。彼はポリグラフ(ウソ発見器)を発明した心理学者でもありました。マーストンは、当時すでに人気を博していたスーパーマンやバットマンをみながら、まだまだコミックス発展の可能性はあると考え、男の子から女の子にまで尊敬されるヒーローとして産み出したのがWWでした。そこで、時に頑なすぎるスーパーマンや、恐怖で人心をコントロールしようとするバットマンとは異なり、スーパーパワーを持ちながら、誠実で尊敬すべき愛の戦士として描かれたのでした。ちなみに、WWの有名なアイテムに「真実の投げ縄」があります。武器としても有効ですが、最大の特徴は、この縄に捉えられたものは真実を告白せざるを得ないという力…そう、マーストンが発明したポリグラフに通じてもいたのです。


ところで、アマゾン…と聞いて何を思い浮かべますか? そもそもはギリシャ神話に登場する女性だけの部族の名称(諸説あるそうですが、あのアマゾン川もこちらから命名された模様)。1973年に「アマゾネス」という映画が公開されて以来、強い女性の象徴として用いられるようにりましたが、ダイアナはそのアマゾン族の王女で戦士。人界から隔離されたパラダイス島で生活していたアマゾン族でしたが、そこに軍人スティーブ・トレバーが偶然に不時着するところから物語は始まります。時は第一次世界大戦。トレバーから世界の窮状を聞いたダイアナはアメリカに渡り、世界平和に助力する過程でスーパーマンやバットマン達とジャスティスリーグを結成することになるのです。


さて、スーパーマンやバットマンが何度も映画化されているにもかかわらずWWは40年ほど前にTVシリーズ化されただけで、その後の映画化は頓挫していました。個人的には、あのコスチュームもメジャー化に踏み切れなかった原因の一つじゃないかなぁと想像します。それでは満を持して登場したDCエクステンデッドユニバース版はどうだったかというと…コスチュームはうまくアレンジされた上に、ガル・ガドットの容姿と熱演によって、誠実で尊敬すべき愛の戦士というコンセプトを体現した素晴らしいWWだったと思います。80年前に彼女を創造したマーストンの目にはどう映るのでしょうか。ぜひ聞いてみたいものです。

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TEXT & ILLUSTRATION : JIN HATTA
アメ車マガジン 2021年 4月号掲載

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