-アメカルにまつわるエトセトラ- #27「オトナの“おもちゃ”の始まり」

コラム

アメマガ2022年6月号

アメカルにまるわるエトセトラ

#26「Who you gonna call?」

et cetera about AMERICAN CULTURE -アメカルにまつわるエトセトラ-


et cetera about AMERICAN CULTURE -アメカルにまつわるエトセトラ- #27「オトナの“おもちゃ”の始まり」

今から遡ること20数年前、それまでは子供向けのソフビ人形か、はたまた超マニア向けのガレージキット…くらいだったマンガやアニメのキャラクター人形が、突然、〝フィギュア〟という名を得てクォリティが引きあがった時期がありました。その大きなきっかけになったのが今回ご紹介するアメリカンコミックヒーローの「SPAWN(スポーン)」です。

 

スポーンは、マーベルやDCに次ぐ第三のコミック出版社、イメージ・コミック社の誌上で1992年に誕生しました。生みの親はそのイメージ社設立メンバーでもあるトッド・マクファーレンというコミックライター。実はマクファーレン、イメージ社を設立する前はマーベルやDCでバットマンやスパイダーマンなど様々なヒーロー・コミックも手掛けていたそうです。

 

以前にもご説明しましたが、アメリカンコミックが日本のマンガと大きく異なるのが、一つのタイトルを複数の作家が手掛けるケースが多いということ。そんな風習なので、アメリカンコミックの著作権は出版社が所有することがほとんど。ところが、自らがコミックライターであったトッド・マクファーレンが設立したイメージ社では、原作者が著作権を所有するという新しい形態を打ち出しました。

 

そんな状況下で誕生したスポーンは、従来のヒーローとは一線を画すダークなイメージや、逆に時には滑稽なほど「愛」をリスペクトしたストーリーによって大ヒット。設立間もないイメージ社はもちろん、その設立メンバーであると共に原作者でもあるマクファーレンに大きな収益をもたらすことになりました。そこで終わらなかったのが根っからギーク(オタク)であったマクファーレン。その収益を使って自らスポーンのアクションフィギュアを製作・販売する会社マクファーレン・トイズを立ち上げたのでした。

 

それまでの〝おもちゃ〟に満足できなかったギークが立ち上げた会社ですから、リリースされたフィギュアは出来が良く、海を越えて日本でも一大ブームとなりました。例えば、それまで人形のマントといえばビニールや布がまかれていましたが、スポーンのフィギュアは樹脂でがっちり造形され、その特徴的なうねりが余すところなく再現されているとか、数割増しでより力強く表現された八頭身のプロポーションとか、クリーチャーのか細い四肢は折れそうなほどか細く…などなど。

 

そのデフォルメ・メソッドは後に続くヒーロー・フィギュアに大きな影響を与えた…といっても過言ではないでしょう。フィギュアの販売でさらに収益を得たマクファーレンは、いよいよ実写映画に手を出しました。そちらの方はコミックやフィギュアのようにうまくはいかなかったようです。それでも、例えば前述した特徴的なマントのうねりなど当時の拙いCGで良くここまで表現したなと感心する出来なので、機会がありましたらぜひ一度ご覧ください。

amemaga_gal_2202 のコピー

TEXT & ILLUSTRATION : JIN HATTA
アメ車マガジン 2022年 6月号掲載


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