代々受け継がれていくことを見据えた秘密基地に迫る。

ガレージ

アメマガ2022年7月号

インパラ

SSSガレージ

「俺たちはファミリーだ!」なんてセリフをよく耳にするけれど、今回紹介する秘密基地のソレはまさにリアル。おじいちゃん、おばあちゃんっ子だった里志さんの想いを紡ぎ、代々受け継がれていくことを見据えた秘密基地に迫る。

SSSガレージの由来は、親父、俺、息子の頭文字!


本宅よりも居心地が良い好きで埋め尽くされた場所

兵庫県尼崎市、国道から一本路地を入った軒先に佇む大きなガレージ。シャッターが閉じた状態で見るソレからはまったく想像もつかない秘密基地的空間で、アメ車ライフはもちろん、ガレージライフ兼第2の住まい的に楽しんでいるのが紹介する3104(里志)さん。

 

1960年型のインパラでクロスファイブやオールジャンルイベントなど、様々な集いに参加するフットワークの軽さで、納車から4年とアメ車歴こそ浅いものの、瞬く間にシャンパンゴールドの60インパラ乗りとして関西を中心に知名度を上げる強者だ。

実はインパラに乗る以前は、ずっと走り屋気質だったそうで、以前の愛車はR34スカイライン。その前はチェイサーでグリップからドリフトまで本格的に峠や埠頭へ出没。その当時はまさか家族を持って半世紀以上前のアメ車をファミリーカーとして迎え入れるとは想像もつかなかったと話す。

 

キッカケは地元のアメ車乗りたちとの出会いだ。結婚して長男が誕生した頃は、世間一般的なファミリーカーと同じ国産ミニバンを購入して、クルマ道楽を一旦セーブする気持ちでいたが、すぐ近所に66エルカミーノ乗りの友人、そして一緒に秘密基地を製作してくれた708さんが乗る59インパラに乗せてもらってアメ車の虜となった。様々なアメ車を物色する中で一目惚れしたのが芸術的なテールフィン、そしてフェンダースカートの造形美など、どれもがドストライクな60インパラだ。

 

「この顔、そしてケツが最高にクール!」と自画自賛する個体は、ローライダーフリークじゃなくても目を奪われるほどにセクシーで、地元大阪のアーティストMCタイソンさんのMVに2回起用されたのも良い想い出。そのインパラの保管場所として建てたのが、現在の秘密基地だ。

 

実はこの土地、元々は愛す祖父母の本宅で、「亡くなった後、見知らぬ誰かの土地になるくらいなら、自分が引き取ってこの地を守っていく!」と心に決めたことから始まる。だが既に本宅が存在していたこともあり、どうするかと悩んだ挙句、孫やひ孫、そして仲間が頻繁に集う賑やかな空間にしたいという漠然としたイメージからガレージライフ的な空間作りに発展していった。

 

建物を建てたのは地元の先輩で、2年ほど前にベースが完成。その後、妻や息子、娘の居心地の良さも考慮しつつ吹き抜けと2階プライベートスペースを設けた第2のリビング的なスペースを59インパラ所有の708さん、そして青森出身のリンゴさんにサポートしてもらい3人でコツコツと仕立てて1年前に完成。

 

現在は先輩や若い後輩がアポなしで続々と集うアメ車好きの地元の連中たちの憩いの場として、週末は常に来客が絶えない。そんな親のクルマ道楽に幼少期から付き合う息子(翔太)くんが将来乗りたいクルマは62インパラの4枚ドアだ。「親のインパラ継承せーへんのかい(笑)」と思わず突っ込みたくもなるが、カルチャーもひっくるめて進めてきた英才教育は、既に東大レベルの優等生として次世代を担って行けるだけの器であることは確信した。

ガレージの内装を担当してくれた708さん(写真左奥)と、主の里志さん(左手前)。次の主となる予定の息子、翔太くん(写真右端)と地元のローライダー仲間たち。

1階部分は横幅約3mで奥行きが約11m。インパラをゆったり駐車させても後ろに5m以上のスペースを確保しており、ワイヤーホイールをベースにした丸型ガラステーブルと対面ソファを完備。冷蔵庫やシンクもあるので、お酒を嗜みながら夜通し楽しんだり昼間から肉を焼いて楽しんだりすることも多い。

建物の一番奥にあるトイレは最新式のウォシュレット付き。棚としてアレンジしているスケボーデッキは息子さんが幼少期に初めて使ったボード。現在は事業として展開するガレージ製作を手掛けた708さんのフライヤーも飾られている。

SSS GARAGEの由来は父親の修蔵、里志さん、そして息子の翔太さんの3つのSから名付けられたもの。ローライダーカルチャーだけじゃなく、ファーストシューズや祖父母の仏壇を供えていたり、リアルに先祖や家族を大事にする点も特筆物。

2階プライベートスペースはリンゴさんにお祝いでもらったプロジェクターに、ジョイサウンドの業務用スピーカーシステムを組みあわせた本格シアターを完備。本宅とは異なる非日常空間が味わえるのも秘密基地ならではの魅力だ。


1960 CHEVROLET IMPALA
60yインパラは初めてのアメ車にして一生モノ!

購入時は2P8Bだったが、飛んだり跳ねたりホッピング仕様ではなく、ファミリーカーとして長年大切に愛用していくべく4B化。同色ダッシュは反射が眩し過ぎたので、ダッシュボードはフルブラックに変更。

メーターはダコタデジタル化しており、搭載する350エンジンのコンディションもバッチリ! 息子さんが仮免許を取得したら、このインパラに仮免許練習中と貼って路上練習させるのが夢だ。


PHOTO&TEXT:石井秋良

アメ車マガジン 2022年7月号掲載


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