骨太で頑丈そうに見えて、意外と脆いジミーの足事情
仕事にプライベートに毎日フル稼働するGMC・ジミー!
EVERYDAY with GMC JIMMY
お久しぶりです!ここ最近は徹夜で原稿を書くことが厳しくなってきたと感じる石井です。いや、30代の頃とは違って疲れが遅れてやってくるというか、自覚症状の無いまま身体が悲鳴をあげてんねんな…と実感。そんな自分とリンクするかの如くジミーも結構無理してたわけでして…ちゃんと労わらなアカンすね。
金属疲労に経年劣化…クルマも人も歳相応に無理が祟る
前後リーフのラダーフレームと聞くと、ヘビーデューティーで逞しそうなイメージのジミー。確かに頑丈であることに間違いはないが、さすがに35年も経てば何かしらガタが出てくるもの。これがパッと見では分からないところだから難儀である。年末に車検でバルフォーエスに預けるまではまったく気付きもしなかったが、預けた翌日にビルダーの岡野氏から「ちょっと長くなりそうやで」と。話を聞くとステアリングギアボックス周辺の持病だけじゃなく、フロントリーフのブラケット部分に割れや亀裂を発見したとのこと。何だか「人間ドックを受けたら腫瘍が見つかっちゃった!」的な展開に似ているなと思いながらも、日々酷使した乗り方をしていたこともあって、ガタがきてもおかしくないなと反省。
「無理が祟ったんかな?」と聞くと、元々ステアリングギアボックス周辺は補修プレートが販売される程トラブルの多い部分だから、多少の影響はあっても持病的なモノだと聞いて一安心。確かに重量級ボディの割には、ブラケットのつなぎ目辺りは鉄板が薄い印象。割れた部分を確認すると何年も蓄積された荷重や走行時の衝撃で劣化していった痕跡が残っていた。ちなみに15年ほど前、補修プレートで修復しているので今回で2度目のオペとなる。
しかし岡野氏のクイックかつサクッと同形状のブラケットを製作する姿にはいつもながら感服。負荷のかかりやすい部分に厚みを加えて強度をつけるなど対策までバッチリ。石井がこの仕事を引退するまで何年先か分からないけれど、ボケて原稿が書けなくなるまでは続けていく覚悟なので、ジミーにもそこまで頑張って貰わなければならない。幸い各部門のプロ集団が主治医でいてくれるためジミーのコンディションは心配なさそうだ。あとは自分の身体を労わることが課題。もう若くないアメ車乗りの皆様も、くれぐれもお身体と愛車をご自愛ください。
修復前の状態を見ると恐ろしいぐらいに朽ちてしまっているのが分かる。リーフスプリングを取り付けるブラケット部分のダメージが多かったのでスプリングの捻れや動きに耐えきれなくなってきたのかな。助手席側はとくに問題はなかったので、やはりステアリングギアボックスの影響も大きい。過去にK5乗りのオーナーさんを何人か取材した経験からも、この辺りは要注意と口をそろえて話すほどなので、多少の個体差はあってもこれは持病と言っていいだろう。
ちなみにフロント側のリーフ取り付け穴が2段になっている部分は、ジミーに乗り始めて間もない頃に、同級生でお互い20代だった岡野氏に無茶をいって製作してもらったワンオフリフトアップシャックル的な物。なんだか改めてみると懐かしい。
修復するに当たってフロントバンパーやステアリングギアボックス、スタビライザーに至るまで、面倒でもすべて外して作業を行なう岡野氏。突貫で見えている部分だけ溶接して繋いでも根本的な解決にはならない。場所によってはリベットを外してボルト止めに変更するなど、大掛かりな治療となったわけだが、詳しく聞くとTig 溶接でしっかりと溶かして、裏と表両面から溶接することで耐久性や強度を高めている。
メインフレームからのシャックル土台がここまで酷くなるケースも稀ではあるが、同年代のフレームはコの字型で鉄板も薄い物が多いそうなので、長年酷使していると見えない部分で金属疲労が進行している場合もあるので早期発見、早期治療を心掛けたいものだ。
PHOTO&TEXT:石井秋良
アメ車マガジン 2023年5月号掲載
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