単なるマスタングGT350じゃないRこそが本気の証

一般的なショップでは二の足を踏むハイスペックのモデルすらも、堂々と入庫させてきたカーボックス。そんなショップにして、仕入れの勇気を持てず、そもそも購入のチャンスすら巡ってこなかった幻のモデルがある。それがシェルビー・GT350Rだ。
華麗なるフォード
長年夢見た“R”の称号が遂に広島の地へ
2017 FORD MUSTANG SHELBY GT350R
ダウンサイジングが叫ばれ始めていた2015年、フォードが発表したのは、世相とは真逆の「公道走行度外視」のスペシャルモデルだった。その名はフォード・マスタング・シェルビー・GT350R。ご存じのようにGT350は、過去の歴史と同じく市販車のGTグレードをベースに、公道走行を遵守して高性能型に改良がされている。対してGT350Rは、公道走行を度外視して改良。つまりは、フォードが本気でサーキット走行を目的としてフルチューンを行なったモデルの証が「R」なのだ。
当時販売は本国の特定ディーラーのみで行なわれたため、現地でも入手困難。当然ながら、日本に輸入する「タマ」なぞ、長い間存在しなかった。これまで数多くの激レアなハイスペックモデルを仕入れてきたカーボックスですら、懇意にする現地ディーラーに聞いても手に入らないと言われてきた。「そもそも日本で走らせるためにはハードルが高く、さすがに購入する勇気を持てずにはいたんですが…」と、カーボックス代表の山西さんは当時を振り返る。現在では新型のGT500も登場し、日本の道路法規もクリアする。
商売のことだけを考えれば、馬力も高いGT500の方がまだ売りやすい。だが、サーキット走行を楽しみ、何よりMT仕様に拘るカーボックスは、その最高峰であるGT350Rをいつの日か手に入れることを夢見ていた。
正直、発売から数年が経過したことで、中古車は探そうと思えば探せた。だが、いずれもハードな走行をしてきた手負いのモデルばかり。目指したのは、ローマイルでサーキット走行歴が無いバリもの。「そんなモデルなんて見付からない」と現地からの声は聞こえてきたが、山西さんは絶対に譲らなかった。そしてその「R」が、遂に広島の地へ辿り着く。希望通りの条件を満たして。
登録まで要した期間は2ヶ月。「他のショップが仕入れない理由を改めて実感しました(笑)」と言うように、これが最初で最後のRになる…。が、実はもう一台Rを手配済みというから恐れ入る。しかもRのワイドボディ。こんなことをやってしまうのは、アメリカンマッスルが本当に好きなカーボックスならではだ。
GT350から一番変化しているのは、約60kgの軽量化。専用エアロもカーボン製で、より大きくなったリアウイングもカーボン製となる。エアダクトも大型化するなど、徹底的に軽量化とダウンフォースを追及。
ホイールはバネ下重量の軽減として、市販車初となる専用カーボン製の19インチを履き、タイヤはセミレーシングタイヤのミシュラン・パイロットスポーツカップ2を組み合わせる。
アメ車のハイパフォーマンスモデルの定番であるスーパーチャージャーを敢えて搭載せず、NAに拘ったGT350Rのエンジン(GT350 共通)。GTがベースながら5.0ℓから5.2ℓに拡大し、排気量1ℓあたりの出力が100hp以上とフォード史上最もハイパフォーマンスなNAエンジンを誇る(最大出力526hp)。フェラーリなどに見られるフラットプレーンクランクシャフトを採用し、一般的な車両に搭載されているクロスプレーンクランクシャフトとは違い、8250rpmに至る高回転域まで一気に吹け上がる。
徹底した軽量化のためリアシートは設定されず2シーターとなり、細かい装飾品も排除される。オーディオや空調も標準では装備されずオプションでの追加となるが、今回のモデルにはしっかり装備されている。もちろんミッションはMT(6速)だ。
CARBOX【カーボックス】
TEL:082-815-8448
HP:http://www.bs-carbox.jp/
Photo:TAKAHARA YOSHITAKA
Text:KAZUTAKE SOMA
アメ車マガジン2023年7月号掲載
最新記事

2025/04/30
【スーパーアメリカンガレージ2024】アメ車に囲まれて過ごす有意義な時間は格別
SUPER AMERICAN GARAGE 2024
7th Apr 2024
朝霞の森

2025/04/28
プロ仕様の仕上がりを 手軽に実現するアイテム!CMXシリーズの洗車革命!
CMXシリーズはマザーズ社が提供する革新的なセラミックコーティング技術を駆使したラインナップで、愛車をより美しく保つためのアイテムを用意している。洗車から保護、そして磨きまで、すべての工程に対応する多機能な商品となっており、手軽にプロフェッショナルな仕上がりを体感できる。

2025/04/26
いつまでも走り続けていたい!ロックな人生にアメ車は不可欠
アメ車の魅力に引き込まれ、複数台所有する人も少なくない。でもマッスルカーばかり…と言う人はレアなケースだろう。

2025/04/25
【チャレンジャーSXT Plus】アウトドアへの相棒はアゲ系のマッスルクーペでアプローチ!
好きな映画に出てくるマッスルカーに魅せられて、ソト遊びのクルマにSUVではなく、チャレンジャーを選択。地元関西を中心にダート系のフィールドにも積極的に出掛ける。マッスルアゲ系な仲間がいれば、一緒にキャンプしませんか?