【シェルビーGT500 エレノア】スクリーンで見たエレノアの再現ではなく、それをさらに進化させた仕様

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アメマガ2025年6月号

ラグジ

岐阜県

シェルビーGT500

エレノア

GET A THRILL

映画の中で疾走する姿を見たことが、アメ車に乗るきっかけという人は非常に多い。でもそれだけでは飽き足らず、そのクルマに乗りたい!という願いを叶えてしまった人がいる。これはまさに「究極のエレノア」に呼ぶに相応しい。

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見える部分は完全に再現し、見えないところも妥協しない

SHELBY GT500 "ELEANOR" GONE IN 60 SECONDS

2001年からシリーズが続く映画「ワイルドスピード」。様々なクルマのアクションシーンが見どころではあるが、その前年となる2000年に公開された「60セカンズ」に魅了された人も非常に多いことだろう。実は60セカンズは1974年に公開されたバニシング in 60をリメイクした作品だ。

 

どちらの作品もクルマの窃盗団が主役という、少々物騒な話。作中ではターゲットのクルマに女性の名前を付けてコードネームで呼んでおり、そこで登場するのが「エレノア」だ。バニシングの時は1973年型の黄色いマスタングだったが、リメイク時にはより魅力的なクルマとすべく、1967年型のシェルビーGT500をベースにしたカスタマイズモデルが登場。オリジナルのGT500はフロントバンパー周辺がベース車のマスタングと大差ないが、エレノアはエアロフォルムに変更され、マフラーはサイド出しを採用。この姿にハートを鷲掴みにされた人は非常に多い。

今回紹介するエレノアのオーナーさんもそんな1人で、何とエレノアを所有するのは2台目!初代のクオリティに納得がいかず、アメリカで67年型のファストバックを探し出し、徹底的にカスタマイズを実施。ようやく完成し、知人を介してラグジ島澤氏に国内で乗れる様に登録を依頼したというわけだ。

 

ここでエレノアに関して補足すると、実は映画のために作られた車両なので実在モデルではないこと。夢を打ち砕いてしまう様で申し訳ないが、作中では1度もエンジンフードが開けられていないので、搭載エンジンは不明。日本国内にも数台エレノアは存在しており、10年以上前にはなるが、アメマガでも紹介したことはある。

だが、この個体が「究極」だと感じた理由は多数挙げられる。1つはあくまでもGT500がベースということに則り、427エンジンを搭載していること。また普通に乗れるクルマとするためにエアコンを装備。エンジンルームやフロア下の各部には補強が追加されて、リアサスペンションに至ってはリーフからコイルへと変更しており、ただ見た目だけを似せるのではなく、本気で「乗れる」仕様を追求しているからだ。加えて半世紀以上前のクルマでありながら、ボディの歪みは皆無! 手前味噌であるが、筆者はこれまで何台ものビンテージアメリカンに触れてきたが、今まで見たクルマの中で間違いなくベストのクオリティだと断言したい。ボンネットの開閉も実にスムーズで、さながら2025年製のクルマと思ってしまうほどだ。

ステアリングはもちろんシェルビーに交換し、すべてのメーターにはホログラムのシェルビーロゴが入ったものを装着。トランクルームにはNOSのタンクやバッテリーも移設。まさにエレノアをコピーするのではなく、エレノアを作ってしまったと言っても過言ではない。このエレノアは、オーナーの理想を形にした「夢のクルマ」だ。

 

シェルビーGT500がそうであるため、427のV8ユニットを搭載。アルミラジエターや電動ファンの装備、エアコンの追加などはよく見る手法だが、エンジンルーム内に多数のブレスバーを追加したのは初めて見る。

フロントバンパーと一体となったエアロパーツがエレノアの最大の特徴。バンパー中央には大型のフォグを装備。またエンジンフードもGT500とはまったく異なるデザインを採用。

フロントだけでなく、リアブレーキもブレンボに変更。制動性能を高めるために、ドリルドスリットローターも装着する。給油口は運転席側のクウォーター部分に移設。ダミーでなく燃料ラインも移設済みだ。リアサスペンションはリジッドアクスルを残しているが、まったく異なるレイアウトを採用。427エンジンから発生したパワーを余すことなくトラックに伝えることを目指している。


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PHOTO:浅井岳男
TEXT:空野稜
アメ車マガジン2025年6月号掲載


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