【シボレーエクスプレス/GMCサバナ】アメリカン・オリジナルのフルサイズバン

バン

シボレー

American Cars Best20

アメマガ2018年3月号

サバナ

エクスプレス

American Cars Best20
CHEVROLET EXPRESS(シボレーエクスプレス) GMC SAVANA(GMCサバナ)1996y-


CHEVROLET EXPRESS(シボレーエクスプレス) 

GMC SAVANA(GMCサバナ) 1996y-

American Cars Best 20ダッジ・ラムバン が廃止され、フォードEシリーズもなくなった今、最後に残ったアメリカン・オリジナルのフルサイズバンがエクスプレス/サバナである。しかしそのエクスプレス/サバナもフェードアウトしつつある。どうなる?フルサイズバン。

ダッジ・ラムバン が2003年モデルで、フォードEシリーズが2014年モデルでそれぞれ生産終了となり、現在、アメリカンオリジナルのフルサイズバンはシボレー・エクスプレス/GMCサバナのみとなってしまった。そのエクスプレス/サバナもまた、今フェードアウトへの動きが明確になっている。

エクスプレス/サバナの1500モデルはすでに2015年モデルまでで廃止されており、残るは2500および3500モデルのみである。 ダッジ では現在、フィアット製バンのプロマスターを、 フォード は欧州フォードによるトランジットをそれぞれこのクラスのバンとして販売している。

どちらも設計が新しく、現代のクルマとして必要な要件および性能を持っているのは確かだ。しかしながら、やはりヨーロッパでの販売を主眼として設計されているので、アメリカンバンとは明らかに異なるテイストの仕上がりであり、残念ながらアメ車ファンの好きそうなものではない。したがって、本誌でもあまり紹介したことはないし、今回の20車にも入れなかった。

シボレーエクスプレス、CHEVROLET EXPRESS

さて、エクスプレス/サバナは1996年モデルでデビューしてから、フロントマスクを変更するフェイスリフトが2003年モデルで行なわれたのみで、モデルチェンジはしていない。したがって、細部の改良・変更はあっても、基本設計は1996年モデルから変わっていない。

当然、各種センサーで車両の周囲を確認しつつ障害物の存在を知らせてくれるような先進の安全装備の類はまったくない。そんなエクスプレス/サバナを買うメリットは、最大15人乗りまで可能なシートを設置可能なほどの広大な室内と、アメリカンバンとしてのスタイリング、それから価格が割安なこと。

また、日本でも近年増えつつあるトレーラーを引くには、ボディ・オン・フレームのトラックシャシーは頑丈で耐久性も高い。これらに魅力を感じるなら、今もエクスプレス/サバナを買う価値がある。 2500と3500のみとなった現在のラインナップは、レギュラーホイールベース(全長5692mm)とエクステンドホイールベース(3500のみ、全長6200mm)の2種類のボディがあり、標準では12名乗車だが、エクステンドホイールベースにはオプションで15名乗車仕様が可能。

搭載エンジンは4.3?V8(276hp/41.2kg-m)が標準、オプションとして6.0?V8(341hp/51.5kg-m)と2.8?直4ターボディーゼル(181hp/51.0kg-m)が選べる。トランスミッションは8ATで、駆動方式は後輪駆動のみ。 エクスプレスとサバナの違いは基本的にフロントマスクのデザインとブランドロゴのみと考えてよい。

基本的に シボレー とGMC の兄弟車では、GMC の方が上級バージョンとして装備類が充実しているのだが、現在のエクスプレスとサバナには差別化を図るほどの各種装備が設定されていないというのが実情だ。 ただ、数年以上さかのぼると、内装にレザーシートがあったり、ウッドパネルやサンルーフ、モニターなども付いたハイルーフコンバージョンも選べる。こちらになると シボレー とGMC の違いというよりは架装メーカーの違いの方が顕著になるので、現車を実際に確認して決めることをすすめる。

2016 GMC Savana Cargo Van 2013 GMC Savana Passenger Van 2017 Chevrolet Express passenger van 2016 Chevrolet Express Cargo Van 2016 Chevrolet Express Cargo Van

2014 Chevrolet Express 1500 LS Specifications
全長 5692㎜
全幅 2011㎜
全高 2085㎜
ホイールベース 3429㎜
トレッド 前 1745㎜/後 1719㎜
重量 2560kg
エンジンタイプ V8 OHV
総排気量 5.3?
内径×行程 96.5㎜× 91.4㎜
圧縮比 9.5 : 1
最高出力 310hp / 5200rpm
最大トルク 46.2kg-m / 4500rpm
燃料供給装置 マルチポートインジェクション
変速機 4AT
EPA燃費 市街地5.5㎞ /?/高速7.2㎞ /?
サスペンション前 ショートロングアーム・コイルスプリング
サスペンション後 リジッド・リーフスプリング
ブレーキ前 ベンチレーテッドディスク
ブレーキ後 ディスク
タイヤサイズ前後 LT245/75R16

CHEVROLET EXPRESS【シボレー・エクスプレス】

Chevy Van 1964-70

Chevy Van 1964-70

エクスプレスの前身。「シェビーバン」というのは正式な車名ではないが、他に呼び名も無い。C-1500のノリでG-10と呼ぶ人もいる。初代のシェビーバンはフルサイズではなく、ご覧のとおりのコンパクトバン。前席の脇後方に直4または直6エンジンを搭載した。

Chevy Van 1971-95

Chevy Van 1971-95

1971年モデルになって、シェビーバンはフルサイズバンへと転身する。何度かのフェイスリフトは行なわれたものの、エクスプレスへとモデルチェンジするまでに25年間の長きにわたって製造されたロングセラーだった。

Express 1996-2002

Express 1996-2002

エクスプレスへとモデルチェンジした際にシボレーツーポートグリルを採用し、シボレートラックファミリーの一員であることをアピールした。まさにアストロ の兄貴分という雰囲気であり、このフロントマスクは日本のファンには好評だった。

GMC SAVANA【GMCサバナ】

Handy Van 1964-70

Handy Van 1964-70

シェビーバンと同様、GMCのバンも最初はコンパクトなものだった。ただ、GMCには上級バージョンとして「ハンディ・バス」というパッセンジャーワゴンが用意されており、後席用には窓ガラスも付いていた。

Rally / Vandura 1971-95

Rally / Vandura 1971-95

GMCのバンはモデルチェンジを機に車名も改められ、カーゴバンはバンデューラ、パッセンジャーバンはラリーと名付けられた。上の写真のように、後席と後席用の窓ガラスのあるのはパッセンジャーバンで、バンデューラではなくラリーである。

Savana 1996-2002

Savana 1996-2002

サバナのフロントマスクはサファリの兄貴というよりはユーコンの雰囲気に近いデザインだった。エクスプレスよりも開口部の大きなラジエーターグリルのデザインを好んで、エクスプレスよりあえてサバナを選ぶというユーザーも多かった。 今回の20車に ラムバン やエコノラインが無くてエクスプレス/サバナだけ入っているのは、今も新車として販売されているのがこれだけだからである。

ラムバン も当時はシェビーバンやエクスプレスと人気を二分するほどだったが、すでに廃止されてから15年になるので、さすがに目にする機会は減ってきた。 ビッグスリーのアメリカンバンは、いずれも比較的コンパクトなバンを源流に持ち、それがフルサイズバンへと転身した歴史を持っている。これは自動車メーカーからの提案というよりは、アメリカ人のライフスタイルの変化に自動車メーカーが対応した結果である。

その後のフルサイズSUVブームを見ても、その方向性は間違っていなかったはずだ。 しかしながらアメリカ人の価値観として、仕事で荷物を運ぶのではなくプライベートで使うなら、バンではなくてSUVを選ぶ人が多かったことの結果が、今の各メーカーの車種ラインナップになっているのだろう。

仕事で使うだけなら、アメリカンバンとしてのデザイン性よりも効率を重視したグローバルデザインの方が、メーカーとしてもコストをかけずに済むからだ。 というわけなので、アメ車らしいアメ車としてアメリカンバンを楽しみたい人には、今のうちに手に入れておくことをおすすめする。後になればなるほど選択肢は少なくなるし、希少価値によって多少とも値段が上がったりする局面もあるはずだ。


CUSTOMIZED MODELS

コンバージョン

2010-02-1

バンのカスタマイズとして、日本でもっとも広く行なわれているのがコンバージョンだ。一般的にハイルーフに架装して室内にはレザーシートを始めとしたレザーインテリアを施し、ウッドパネルを随所にあしらってイルミネーションなども埋め込み、映像を楽しむためのモニターも設置する。

スタークラフト、エクスプローラーなど、有名な架装メーカーに日本から製作を発注したものも多かった。

リフトアップ

2012-12

ピックアップトラックやSUV と同じように、バンもリフトアップしたらカッコ良いだろうというのがこれ。もちろん、リフトアップしたうえでホイール、ボディワークその他のカスタマイズも自由に展開できる。とくにバンならではというメニューではないが、カスタムの自由さが感じられるじゃないか。

リフトアップがありならローダウンも…だが、バンはボディ自体の高さがあるので、リフトアップほどのインパクトは…。


■Text|アメ車MAGAZINE
アメ車マガジン 2018年 3月号掲載

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