ファースト後期型マスタングはダックテールを取り入れた独創的なフォルム
歴代マスタングの中でもスポーツルーフのイメージが強いファーストジェネレーション後期型こそ、クーペとしての魅力にあふれる「グランデ」。ダックテールを取り入れた独創的なフォルムには当時のFoMoCoのアイデンティティーが詰まっている!

1972 Ford Mustang
官能のビンテージアメリカン Vintage Ecstasy
ビッグマスタングの愛称を持つファースト後期型
歴代マスタングの中でもスポーツルーフのイメージが強いファーストジェネレーション後期型こそ、クーペとしての魅力にあふれる「グランデ」。ダックテールを取り入れた独創的なフォルムには当時のFoMoCoのアイデンティティーが詰まっている!
フォーマルスタイルのクーペ「グランデ」

豊富なオプションの組み合せによって、自分好みの仕様を構築することができるというのが60~70年代のマッスル系モデルの魅力のひとつ。しかし、日本に正規ディーラーが存在したところで、そのシステムを本国アメリカのようには利用できないため、正規輸入車は基本的に最上級グレードをメインに、高級外車としてしかるべきオプションを投入した状態となっていた。
中でもビッグマイナーチェンジをしたフォード・マスタング71年型は、パフォーマンスパッケージの「マック1」が大半を占めていたため、国内でファースト後期のというと、マック1を連想する人が多いだろう。71年型は70年型に比べて全長、全幅ともに、3インチほどストレッチされたことで、コンパクトさが売りでもあるポニーカーセグメントは、サブコンパクトであるピントやマーベリックに入れ替る形となった。

そのため、日本国内では「ビッグマスタング」などの愛称で呼ばれる。マック1に代表されるスポーツルーフ車は、後方視界が不十分なほどルーフラインが平らなシルエットが特徴的。それに対してクーペのグランデは、それまで以上にラグジュアリー性を高めたフォーマルなスタイリングとなる。
そのグランデというネーミングがイタリア語であるように、ダックテールスタイルを取り入れてよりファッショナブルでヨーロッパ指向なスタイリングとなっているのが魅力的。その独創的ともいえるルーフラインこそ、同年のクーガーなどでも採用された当時のFoMoCoを象徴するスタイリングともいえるのだ。

モデルチェンジ前の70年型と比べて、350kg以上も車重が増えているだけに、同じポテンシャルのエンジンを搭載されていても、パワーウエイトレシオは確実に劣るのだが、2bbl仕様のエコノミーな351エンジンをもってしても、なんら不満無く快調なドライブが楽しめる。ビッグマスタングの愛称で呼ばれてはいるが、基本がポニーカーなだけに、都心でも取り回しに困ることのないサイズ。
控えめながらもダックテールを取り入れたクーペのグランデは、それまでのマスタングの活発なイメージからは遠ざかりラグジュアリーなアプローチ。マッスルとしてのニーズは低いが、2ドアクーペとしてはオリジナリティに溢れた魅力的なスタイリングといえる。そんな独特の魅力は、車体色と異なる配色によるバイナルトップ車こそ際立つ。

スポーツモデルではないグランデの装着ホイールは、スチール&ハブキャップを選択する個体が多い中、この個体は社外のアルミ製マグナムタイプを装着。これによって、スポーティな要素が追加され、より魅力的。装着タイヤはクーパーコブラのラジアルGT(F:235/60R15、R:255/60R15)。

ラグジュアリーなグランデのキャラクターに見合う落着いたグリーンの色調や配色には、当時のトレンドが感じられ今こそ魅力的に感じる。
ダッシュやステアリングコラムに至るまできっちりとグリーンで統一される中、ステアリングやドアパネルに採用されたウッド調の化粧パネルが絶妙なアクセントとなっている。追加されたフットペダル式のワイパースイッチや、フロントシートのリクライニング機能は、国内ディーラー車ならではの装備。

搭載エンジンは、クリーブランド351ciの2bbl仕様。トランスミッションは3速AT。グランデはラグジュアリー指向なだけに、ハイパフォーマンスなエンジンを搭載するケースは極めて稀。エンジンルームを見る限り、補機類、配管、ファスナー類に至まで、ストックの状態をキープする、正にサバイバーな個体。
Special Thanks◆Auto Raid
Location◆富山県射水市新開発415-6
Phone◆0766-52-8830
URL◆http://www.auto-raid.com/
Photo◆Hiroshi Nose Report◆Hideki Ishibashi
アメ車マガジン 2018年1月号掲載
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