イチから仕上げて蘇った超レアなマリブワゴン 1964y マリブワゴン【オレンジカウンティ】

ステーションワゴン

ビンテージ

シボレー

マリブワゴン

オレンジカウンティ

愛知県

マリブ

アメリカンビンテージvol.01

1964y Malibu Wagon


1964y Malibu Wagon

クラシックカーのレストアでは、手を加える程度によって手間のかからり方がまったく異なるのは言うまでもない。真の意味で現代のクルマと変わらないように乗るためには、クルマをイチから作るのに等しいぐらいの作業が求められることもある。このマリブワゴンは、そんな一例だ。

フレームオフから仕切り直したオレンジカウンティ製という信頼感あるマリブワゴン

シボレーが「Newスタイル、Newサイズ、Newスピリッツ」を掲げ、メーカー初のミッドサイズモデル(と言っても日本の感覚では十分デカい)としてシェベルをリリースしたのが1964年のこと。

 

そして、シェベルの上級グレードとして用意されたのがマリブと呼ぶグレードであり、この年代のマリブは正式名称で言えば〝シェベル・マリブ〟となる。ボディ形状の違いで、セダン・ワゴン・コンバーチブルが用意されたシェベルのうち、写真の1台は上級グレードであるマリブのワゴンモデルということになる。

 

この1台でユニークなところは、当時オプション設定だったパワーウインドウ、パワーシート、チャイルドシートなどが装着されている点。つまり、1964年のマリブというだけでも充分レアな存在なのだが、輪をかけて珍しい1台なのである。

 

オレンジカウンティは約12年前にカリフォルニアからファーストカーを仕入れ、フレームからバラし、すべてを仕切り直した。オリジナルで残しておきたいところは残し、それでいて現代の道路事情でも快適に過ごせるように、ショップの技術力とノウハウを結集してカスタマイズを加えつつ仕上げられたのが、このマリブワゴンだ。

 

写真の1台に施されたレストアとカスタムは挙げればキリがないほどだ。要点をあげていくと、エンジンは数年前にGBグッドレンチへ載せ替えられている上、最近になってガスケットやシールなどの消耗品が交換されたばかり。また、290hpのエンジン性能に合わせるようにブレーキを四輪ともディスクブレーキ化し、動力性能と制動性能のバランスをとってある。

 

そして、ショートタイプのヘダースとエキゾーストシステムに換装して排気系も万全。アルミ製ラジエーターと電動ファンで冷却系も安定させ、さらに点火系にも信頼できるMSD製パーツをふんだんに使用している。詳しい内容はショップのWebサイトに記してあるが、つまるところほとんどの“動く部品”がリフレッシュされていると考えてよい。

 

マリブはシボレー製ではあるが、この1台に限っては“オレンジカウンティ製”と言って差し支えないかもしれない。なお、先ほど紹介した珍しい当時のオプション装備についても、オリジナルを残しつつもパワーシートのモーターを分解して洗浄、オーバーホールを施すなど、備わっている機能がしっかりと動くよう、徹底的に手が加えられている。

1964y マリブワゴン後部座席から見た内装
そしてこのマリブの価値をさらに上げているのが、ビンテージカーでありながらもHDDナビやETC、HIDライトといった現代車にはマストで装備されているような快適アイテムが使われていることだ。通常、ビンテージカーは古いことを正しいこととして、ドライバーに我慢を強いることも多い。しかしこのマリブに限ってはそれが一切ない。

 

ユーザーは現在のクルマと同じように使い、同じように運転を楽しむことができる。しかもモノは極上ともいえるコンディションでしかもレア。どこに出しても自慢できる、とっておきの1台なのであるパシフィック/ミストブルーのボディカラーは今どきのクルマにはない鮮やかな美しさが魅力。街中でも衆目を集める存在である。

 

全長5020mm、全幅1890mm、全高1390mmの3サイズは国産車と比べると大型だが、登場当初はシボレー初のミッドサイズモデルとして生まれた。

1964y マリブワゴンハンドル
内装の各部もボディと同色にペイントされており、美しいコンディションが保たれている。違和感のない状態でHDDナビ、ETCも装着されており、現代のクルマと遜色ない使い方ができる。オレンジカウンティのこだわりが感じられる仕上がりだ。

1964y マリブワゴンシート
内装のコンディションは言うまでもなく上々。外装と同じブルーの配色が美しい。また、マリブの純正オプションだったチャイルドシートが健在。これを装着しているマリブは非常にレアな存在である。

1964y マリブワゴン LM-1型GMグッドレンチ350エンジンを搭載
LM-1型GMグッドレンチ350エンジンを搭載、290HPを発揮する。MSDのディストリビューター、イグニッションコイル、CDI(マルチ点火システム)を装着しており、安定した点火性能を得られるよう仕上げられた。エンジンは載せかえられているが、最近になってガスケットとシールは交換されている。エンジンブロックとヘッドもペイント済みだ。

1964y マリブワゴントランクルーム
トランクルームへのアクセスはテールゲートを手前に倒すタイプ。クラシックなアメリカンでは多いスタイルだ。使ってみると荷物を積みやすく、合理的な設計だと感じられるはず。ワゴンモデルだけに、荷室の使い勝手は上々というわけだ。

1964y マリブワゴンオリジナルでは心もとないブレーキを強化
オリジナルでは心もとないブレーキを強化。4輪ともディスクブレーキとし、フロントは4ポット、リアは2ポット、ドリルドローターに変更してある。


お問合せ:オレンジカウンティ
HP:http://www.orange-county4u.com/


Text & Photos|AMERICAN VINTAGECAR magazine
アメリカンビンテージvol.01


関連記事

RELATED


Gボディーが醸し出す独特の存在感に、トレンドカスタムをミックスさせた87yモンテカルロの魅力に迫る!【AZZURE MOTORING】

アメリカンヴィンテージのセカンドジェネレーションとして、現在80年代のアメ車が注目を集めている。大き過ぎず、小さ過ぎずの程よいミドルサイズボディーにスクエアな4灯ヘッドライト。Gボディーが醸し出す独特の存在感に、トレンドカスタムをミックスさせた87yモンテの魅力に迫る!

セミファストバック形状のフォルムへと進化した2代目モデル 1970y シボレー シェベル【アズールモータリング】

ワイルドスピードやアウトローなど、映画ではクールでタフな男の愛車として登場する1970年式シェベル。

【1969年型 シボレーカマロ】絶品コンディションのベビーカマロ

官能のビンテージアメリカン Vintage Ecstasy オリジナルブランドを展開し、エスカレードなど高級SUVカスタムを提案するAZRことアズールモータリング。しかし同店の魅力は、こうしたヴィンテージカーの扱いにもある。

1969 Chevrolet Camaro RS
1969 Chevrolet Camaro Convertible

〝ヴィンテージカーに安心して乗れる〟その楽しさをしっかり教えてくれるお店。【東海Car's】

1968y Chevrolet CAMARO 1969y Chevrolet CAMARO Z28 大事なコレクションとして扱うのもアリ。敢えてガンガン乗りこなすのもアリ。どちらのカーライフにも対応できる姿勢。

フォードFシリーズの初代モデル 1951y フォードトラック / 2代目モデルのコンバーチブル仕様 1956y シェビーベルエアコンバーチブル【フルスロットル】

 

最新記事


2024/07/26

物静かな青年が次第に豹変、マスタングにもっと刺激が欲しい!

クーペ

フォード

燃費が…維持費が…。マッスルカーに憧れを持つも、アメ車へのネガティブな思いが強く決断できずにいたオーナーさん。そんな彼が、彼女の後押しによって購入を決めるのだが、次第にアメリカンマッスルの魔力に染まり豹変していく。「音も見た目も刺激が欲しい!」

2024/07/25

ポストビンテージバンの大本命として人気高騰中【シェビーバン ビュービル】

バン

ビンテージ

シボレー

70年代の丸目を筆頭に、フルサイズバンの中でも80年代までの個体がビンテージバンとして人気を博してきた。しかし紹介する個体の様に90年代中頃まで基本コンセプトは変わらない。むしろ熟成された最終モデルこそベストバイ!

2024/07/24

アニメを見て惚れたマスタング、今では押しも押されぬ爆速女子へ

クーペ

フォード

名探偵コナンに登場したマスタングに惹かれてカーボックスを訪れたオーナーさん。一番ド派手なエレノア仕様を選び、チャレンジャー・ヘルキャットに乗る旦那様は走りで負けたくないライバルだ。

2024/07/23

仮契約までしたけどLBスタイルに惚れて変更【ダッジチャレンジャー】

クーペ

ダッジ

過去2回、LBワークスで武装したチャレンジャーに乗ってアメマガ主催イベントamZに参加したみっちさん。軽自動車が長年の愛車だった彼女が、初めてのアメ車としてチャレンジャーを手にするストーリーとは。

ランキング


2024/07/26

物静かな青年が次第に豹変、マスタングにもっと刺激が欲しい!

クーペ

フォード

燃費が…維持費が…。マッスルカーに憧れを持つも、アメ車へのネガティブな思いが強く決断できずにいたオーナーさん。そんな彼が、彼女の後押しによって購入を決めるのだが、次第にアメリカンマッスルの魔力に染まり豹変していく。「音も見た目も刺激が欲しい!」

2024/07/25

ポストビンテージバンの大本命として人気高騰中【シェビーバン ビュービル】

バン

ビンテージ

シボレー

70年代の丸目を筆頭に、フルサイズバンの中でも80年代までの個体がビンテージバンとして人気を博してきた。しかし紹介する個体の様に90年代中頃まで基本コンセプトは変わらない。むしろ熟成された最終モデルこそベストバイ!

2018/02/07

走っているとやけにハンドルがブレる…原因はタイヤ?ホイールバランス?それともブレーキか?【REFRESH PROJECT】

メンテナンス

コラム

走行中に感じた違和感。それはハンドルのブレ。【REFRESH PROJECT】

2022/04/08

US日産の巨大ユーティリティバンのNV3500

バン

逆輸入車

2019 Nissan NV Passenger