東海カーズのマッスルカーを、華やかに彩る「和テイスト」のデザインワーク
![](/cms/amemaga/uploads/2020/10/N6I1390.jpg)
AMEMAG RECOMMEND ARTIST
遊鷹-Yutaka-
AMEMAG RECOMMEND ARTIST
遊鷹-Yutaka-
ワイルドなアメ車に「和テイスト」な絵柄、一見アンバランスだが絶妙にシンクロする
サビサビで所々穴も空いているけど、サーキットを走らせればめっぽう速い。そんな走れるラットとして名を馳せている、東海カーズのカマロ。ある時からボンネットに「和テイスト」の鷹が描かれているが、それを手がけたのは今回紹介する「遊鷹」さんだ。
元々絵が好きで、飲食店の看板やTシャツのデザインなど、様々なグラフィックデザインを手がける遊鷹(ゆたか)さん。東海カーズとの出会いはまだ1年半ほどで、以前本誌でも紹介したことのあるガレージデッカーで個展を開催したことがそもそもの始まり。その独特なタッチにカーズの細井さんは一気にホレこみ「ウチのクルマに描いてよ!」と頼み込んだ。今だから遊鷹さんは語るが「ワンポイント的なものはあったけど、ボンネット一面というサイズはこれまで未経験。やったことがなかったし、正直ものすごいプレッシャーでしたね」とその時のことを振り返る。
遊鷹さんの作品の数々を見てみると、基本的に手描きのタッチを感じられるものばかり。通常の作業工程を伺うと「基本的にはパソコンを使い、デザインを徹底的に煮詰めます。最終的にトレーシングペーパーにラフを描き、カーボンなどで転写し着色を施しますが…カーズの車両は言わばぶっつけ本番というか、ライブペイントですね」と語る。
そう語る遊鷹さんに対しカーズの細井さんは「その時のインスピレーションでやらないと、面白くないじゃない! ある意味これはセッションだよね!」とのこと。依頼内容も非常に簡潔(過ぎるほど)で「鷹がぶわぁ?って舞うようにしたいよね」との一言だけ。遊鷹さんがどうカッコよく仕上げようかと思案したのは言うまでもない。
ちなみに遊鷹さんのお絵描きシリーズはその後も増殖しており、69カマロ、72ファイヤーバード、82コルベットを依頼。今回の取材時は69カマロのボンネットを滝に見立て、そこを鯉が登っていくイラストを製作中だった。赤いボディカラーとマッチしており、さらに桜吹雪が舞うようなデザインは、これぞアメリカと日本のカルチャーが融合したと言える。「初めてアメリカに行った時に空気感の違いに衝撃を受け、それ以来アメリカンテイストのイラストを手がけていました。でも、日本に居ながら描いても、結局マネでしかない。そんな時に出会ったのが、ミニカーのマッチボックスなどのイラストでした。また昔のビールなど、レトロな看板も好きで、そこから現在のタッチが誕生したと言えますね」とのこと。
お気に入りの愛車にオンリーワンのイラストを施すことは、非常に大胆な行為。だが遊鷹さんの手に掛かれば、そのクルマの魅力をより一層引き立ててくれるはずだ。これぞ、究極のカスタマイズと言えよう。
今回は、1969年型カマロにペイントを施している最中に取材を実施。鯉が滝を登るデザインとなっておりさらに桜が舞い散る。東海カーズの細井さんのリクエストは「昇って行けますように」の一言で、その願いを見事に叶えるような作品となっている。
遊鷹さんが使用するのは、ワンショットのエナメル塗料。ピンストライプなどでも使用されるもので、USブランドのものを使用。その時の気温によって塗料の伸びなどが変わるのでうすめ液で調整するが、ある意味同じ物は2 つと存在しない。
その68カマロに新たに追加されたのが、このイラスト。見ての通り旭日旗っぽさを醸し出すが、太陽の部分に細井さんの名前があしらわれる。またハスの花も細井さんのオーダーで「平和的なものがいいよね」とのこと。
遊鷹&東海カーズの初セッションが、この68年型カマロ。コンセプトは「空を飛ぶように走りたい」とのことで、鷹の翼がボンネットを超え、フェンダーにまで掛かっているのがポイントと言えるだろう。
本来、1972年型にはフードに「ファイヤーバード」は描かれないが、だからこそ遊鷹スタイルのファイヤーバードを依頼。このようなスタイルになる。
70年型カマロにあしらわれるのは、孔雀。幸せと富を感じられるようにというコンセプトで、オレンジと迷ったそうだが敢えてゴールドをチョイス。ルーフやクォーター部分のデザインは、逆にアメリカ人には真似できないものとなっている。
グリーンメタリックのやれたボディに、敢えてブラックだけで描かれた和製ファイヤーパターン。ラインが入っただけではあるが、これだけで全く別のクルマに見えてくる。これぞ、遊鷹マジックと言っても過言ではないだろう。
遊鷹さんが手がけるマテリアルは、実に様々。木材や金属など、ありとあらゆるものに描き、新しい価値観を見出す。ちなみにレトロな雰囲気を醸し出すために、敢えて完成したイラストをサンドペーパーなどで削ることもあるそうだ。
遊鷹(ゆたか)さん 埼玉県出身。幼少期の頃から絵を描いたり創作活動をすることが好きで、自分の体に色を塗りたくったり(今でいうボディペイント)カーテンをハサミで切り刻んでいたとか。元々アメリカンカルチャーやトラディショナルタトゥに興味があったが、10年ほど前に現在のアーティスト名「遊鷹」に変更。以来、和テイストのデザインを数多く手がける。これまでの作品や遊鷹さんにアクセスしたい方は、インスタグラムまでアクセスされたし。
Special Thanks:東海カーズ
TEL:0533-86-8890
Photo:浅井岳男
Text:空野 稜
アメ車マガジン 2020年 3月号掲載
最新記事
![](/cms/amemaga/uploads/2024/06/_45I0244.jpg)
2024/07/27
キャデラックはいかがでしょう?【キャデラック葛西/シボレー葛西】
GMの最高峰モデルに君臨するキャデラック。贅を尽くした高級ブランドというイメージが強いが、大統領専用車に採用されることから「絶対的な信頼性」も重視しているのは言うまでもない。単なるステータスではなく、アメリカの象徴と言えよう。
![](/cms/amemaga/uploads/2024/06/_DSC7442.jpg)
2024/07/26
物静かな青年が次第に豹変、マスタングにもっと刺激が欲しい!
燃費が…維持費が…。マッスルカーに憧れを持つも、アメ車へのネガティブな思いが強く決断できずにいたオーナーさん。そんな彼が、彼女の後押しによって購入を決めるのだが、次第にアメリカンマッスルの魔力に染まり豹変していく。「音も見た目も刺激が欲しい!」
![](/cms/amemaga/uploads/2024/06/DSC_2937.jpg)
2024/07/25
ポストビンテージバンの大本命として人気高騰中【シェビーバン ビュービル】
70年代の丸目を筆頭に、フルサイズバンの中でも80年代までの個体がビンテージバンとして人気を博してきた。しかし紹介する個体の様に90年代中頃まで基本コンセプトは変わらない。むしろ熟成された最終モデルこそベストバイ!
![](/cms/amemaga/uploads/2024/06/_DSC7249.jpg)
2024/07/24
アニメを見て惚れたマスタング、今では押しも押されぬ爆速女子へ
名探偵コナンに登場したマスタングに惹かれてカーボックスを訪れたオーナーさん。一番ド派手なエレノア仕様を選び、チャレンジャー・ヘルキャットに乗る旦那様は走りで負けたくないライバルだ。