【メンテナンス マスタング】性能をフルに引き出すには、メンテナンスは必要不可欠
MAINTENANCE of MUSTANG
MAINTENANCE of MUSTANG
半世紀以上の長きにわたりマッスルカーを牽引してきたマスタング。その高いパフォーマンスに多くのユーザーが魅了されるが、日々のメンテナンスがなければ性能を発揮することは不可能。そこで今回は、新車の右ハンドルマスタングを独自に輸入するFLCグループのフォード四日市にお邪魔し、メンテナンスポイントをご教授頂いた。
乗り始めた瞬間から確実にクルマの性能は低下する!
実はフォードのクルマは、BIG3のなかでもとくに丈夫な傾向があり、さらにマスタングはサーキットでちょっとラフに走っても、しっかり応えてくれるし、それゆえに耐久性も高い。2015年に登場した7代目はほぼノントラブルで、レポートもアメリカから届いていないとか。また6代目もかなり優秀な造りとのこと。だが、ノーメンテナンスで性能がキープできるわけではない。自分でメンテナンスを行なわないまでも、愛車のコンディションを管理するのはユーザーの役目とも言える。
ちなみにフォード四日市のテクニカルリーダー曽我さんは「油脂類の交換時期はメンテナンスノートに従えば良いですが、走る環境やライフスタイルも考慮して欲しいです。オイル類は粘度指数が合っていれば大丈夫だと思いがちですが、実は純正オイルにはそのクルマに適した最適な添加剤が使用されています。また最近のクルマには様々なセンサーが各部に装着されており、純正テスターでないとかなり深い階層までチェックすることはほぼ不可能ですね。
メンテナンスをして何も悪いことはないですし、大切にした分だけクルマは応えてくれます。乗った瞬間から性能は下がってしまうので、マスタングを熟知する専門店にメンテナンスを依頼するのが賢明です」と衝撃的な一言を頂いた。 見える部分のカスタムは確かに楽しいが、見えない部分だからこそ注意したいもの。大きなトラブルが起きる前に、予防的な整備がやはり大切だと言える。
MAINTENANCE of MUSTANG #01
DIAGNOSIS TESTER
純正テスターを使用して奥の奥まで異常がないかしっかりチェック
今やクルマの各部には様々なセンサーやコンピュータが組み込まれており、常にクルマの状態をチェックしている。OBDⅡと呼ばれるシステムで診断機を接続するが、FORD純正の診断機を使用しないと、かなり奥のトラブルをチェックすることは不可能だ。また、長期間乗らないからといってバッテリーの端子を外したり、キルスイッチを追加するのは御法度!駐車場に停めている時も常に電気を流し、各部をチェックしているので却ってトラブルの原因となる。
MAINTENANCE of MUSTANG #02
ENGINE OIL & COOLANT
できる限り純正品のオイルや冷却水を使用するのがベターだ
クルマの心臓であり、その冷却や循環を司るオイルや冷却水は非常に重要な部品とも言える。エンジンオイルは最低限100%化学合成油で、粘度指数は5W-20と指示されているが、走る状況に応じて10W-30を使用してもOKとのこと。フォードでは15000kmで交換と指示するが、これは5000kmごとに継ぎ足し、3回に1度全交換してくださいという意味だ。ラジエターの水量はかなり多くロングライフになっているので神経質になる必要はないが、エコブーストは水冷ターボなので峠やアクセルのオン/オフが頻繁なら短いサイクルで交換しておいて損はない。
MAINTENANCE of MUSTANG #03
AIR CLEANER
定期的な交換や洗浄を行なうことでクルマを良好なコンディションに保つ
DIYで実践できるメンテナンスの代表格といえば、やはりエアクリーナーの清掃や交換。純正品を使用しているなら前後の向きを変えたりエアーでゴミを吹き飛ばせるが、思い切って毎回新品に交換するのもアリ。ちなみに洗って再使用できる高効率フィルターをエアーで乾かすのは中のスポンジが破れるので厳禁。自然乾燥させるのがベストなので、フィルターを2セット用意しておいた方が良い。もちろんエアクリーナーボックスの中も、拭き掃除するのをお忘れなく。
MAINTENANCE of MUSTANG #04
BATTERY
古いバッテリーを無理に使用すると最悪ハーネス交換になることもある
本文でも述べたが、最近のクルマは駐車時でも微弱な電流を流し続けているので端子を外すのは厳禁。メンテナンスフリーのバッテリーが今では主流だが、バッテリーが古くなってくるとバッテリーの内部で希硫酸ガスが発生し、それが端子に付着してしまう。こうなってしまったら、迷わず端子を清掃してバッテリーを交換しよう。そのまま放ったらかしにして乗り続けると最悪の場合はハーネスを全交換することになり、10万円以上の出費になってしまうので注意しよう。
MAINTENANCE of MUSTANG #05
DIFFERENTIAL
純正のデフオイルにはマスタング用に唸りを抑える添加剤が配合されている
エンジンオイルほど気を使われていないのが、リアのデフオイル。7代目は独立懸架となったが、6 代目までは頑丈なリジッドアクスルを採用する。頑丈なのは良いが、高速道などを長時間休まず走り続けるとオイルが高温になりオイル切れをすることがある。2時間に一度休憩するのは、ドライバーのためだけでなくクルマを労わる意味もある。ちなみにFORD純正オイルにはデフの唸りを抑える添加剤が配合されているので、ここは迷わず純正品を使用するべきだ。
MAINTENANCE of MUSTANG #06
AIR CONDITIONER DUCT
6代目マスタングを青空駐車している人はとくに注意して欲しい!
青空駐車をしているマスタングに限定されるが、エアコンフィルターは助手席のワイパーカバーを外したところにある。問題はこの前側にあるドレンコックが、枯葉や黄砂、さらには花粉で詰まってしまうことがある。ここが詰まった状態で大雨が降ると、最悪の場合はエアコンフィルターから雨水が車内に流れ込んでしまう。助手席の足もとだけがビシャビシャに濡れている場合は、ドレンコックの詰まりを疑おう。予防策としては、エアコンフィルターの交換と同時に、ドレンコックの清掃を心掛けよう。
MAINTENANCE of MUSTANG #07
BODY
ストライプ装着車は雨が降ったらなるべく早く拭きあげる
ランプの曇りは殆どないが、グリルにランプを埋め込んだ車両でハイワッテージバルブに交換すると、ハーネスを損傷する場合がある。ボディはコーティングを施工すれば良いが、問題はストライプ。ワックスが付くと白ボケするし、雨が降ったままにするとスポットができるのでなるべく早く拭き取ろう。
MAINTENANCE of MUSTANG #08
BRAKE
重要保安部品なのでDIY交換は厳禁、定期的に目視して状態をチェック
安心して走るためには、ブレーキパッドの残量やディスクの厚みのチェックは欠かせない。整備士でない限り自分で交換するのは厳禁なので、オーナーができるメンテナンスは日々の点検に限られる。とくにサーキットを走る機会が多い人は、走行前のチェックをお忘れなく。ちなみに6代目のマスタングでリアホーシングのシールからオイルが漏れ、リアディスクに付着してしまいブレーキがまったく効かなくなるというトラブルがあるそうだ。
MAINTENANCE of MUSTANG #09
SUSPENSION
ショックアブソーバーや樹脂部品は消耗品と割り切り定期的に交換!
乗り始めた瞬間から性能が低下する際たるものは、やはりサスペンションに尽きる。純正品はもちろん耐久性に優れているが、いつまでもその性能をキープできるわけではない。走行距離が増えれば樹脂部分がヘタリ、各部のガタはどうしても起きてくるもの。末長く、気持ちよく乗り続けたいなら定期的な交換をすることで、ボディへの負担も減らすことができる。また、中古車を購入した場合、思い切って最初にメンテナンスすることで、以後のトラブルを予防することもできるだろう。
MAINTENANCE of MUSTANG #10
POWER STEERING
余りにも大きなホイールを装着するとステアリングのモーターが壊れる!
マスタングを購入したら、まず最初に手をつけたいのがタイヤ&ホイールだろう。だが、過度なサイズに変更すると非常に重くなり、パワーステアリングに負担が掛かることを知って欲しい。昔の油圧式なら徐々に重くなり予想できたが、最近はモーターアシストなので何の前触れもなく突然重くなり、壊れたらまずステアリングの操舵は不可能。インチアップは否定はしないが、クルマを長持ちさせたいならフォード四日市では、できれば2インチアップまでにした方が良いと話してくれた。
MAINTENANCE of MUSTANG #11
SEAT
ボディと同様に痛む前にコーティング、シートの撥水処理も汚れ防止に効果的
最近のシートは非常に良くなってきたが、使い方が悪いとやはりひび割れが起きてしまう。そうなる前に、シートのコーティングや撥水処理を施すことで、寿命を延ばすことができる。また車内を劣化させる1番の原因は、紫外線。それを防ぐためにボディカバーをする人もいるだろうが、ペラペラの物は風で擦り傷になることがあるので裏起毛されたものでないならカバーを掛けない方が良い。最善な保管場所は、やはり屋根付きのガレージだと断言してくれた。
SHOP DATA:FORD YOKKAICHI
住所:三重県四日市市日永4-2-7TEL:059-346-5322
HP:https://www.f-l-c.jp
フォード岐阜
住所:岐阜県岐阜市西河渡2-5TEL:058-254-0330
フォード松阪
住所:三重県松阪市市場庄町1148-1TEL:0598-56-5220
PHOTO&TEXT:編集部
アメ車マガジン 2020年 8月号掲載
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