動かないクルマはタダの鉄、人もクルマも中身が大事!
1970 CHEVROLET CAMARO / 1966 CHEVROLET NOVA / 1973 CHEVROLET CAMARO
RUSTY ヤレこそ粋なラットスタイル
1970 CHEVROLET CAMARO
1966 CHEVROLET NOVA
1973 CHEVROLET CAMARO
時間を掛けてボディに刻まれた傷はまさに年輪、これぞ本当のオンリーワンのカタチだ!
ピカピカのビンテージでも一切気にせず、ガンガン走ることを提案し続けている東海カーズ。とくにマッスルカーは、走ること自体が魅力の1つと言える。その上で、ラットスタイルなら普段着感覚で運転できる!
動かないクルマはタダの鉄、人もクルマも中身が大事!
ここ数年のアメリカンビンテージの高騰具合は、やや異常な状態。そんな背景もあってみんなピカピカの個体を求める訳だが、購入金額を考えるとおいそれとコンビニまで乗って行けないし、雨の日は乗らない! という気持ちも分からなくはない。しかも周りのドライバーは平気で隣に停めてくるし…と、ストレスも半端ない。
でもそれがラットなら… ●雨ざらしでOK ●洗車不要 ●施錠もいらない ●ぶつけられても気にしない と、まさにサンダルやジーンズの様な、普段着感覚で運転できるし、色々な意味で注目度は抜群(笑)。
でもね、ちょっと勘違いしちゃいけないのは「ラット=ボロい」と言う訳ではないのだよ。とくに東海カーズは「クルマは走ってナンボ」を提唱し続けるだけあって、その見た目とは対照的に、機能面はキッチリと整備済み。こんな見た目でもエンジンは一発で始動するのはさすがだ。
カーズの細井社長は「パテで10kg重くなるし、塗装でさらに10kgは重くなるかな。レストアと言ってもここまで年数が経過したクルマの場合、完全に塗装を剥いで鉄板の状態にしないと意味がないよ。何よりクルマなんだから綺麗にする必要あるのかな? 塗装にお金を掛けるか、整備にお金を掛けるか、よく考えてみよう」とのこと。「走るのに要らないし、軽くなるからGOOD♪」とも語る様に、ある意味走りに対するストイックな姿勢がこのラットスタイルを生み出したと言える。動かなきゃ意味がないし、外装を直すのは最後でOK。ガンガン走る速いラット、アリだと思うよ。
TOKAI CARS RAT STYLE-01 / 1970 CHEVROLET CAMARO ナンバーズマッチとは対極な自由なカタチ!

今回紹介する3台の中で、もっとも走りに特化しているのがこの70年型カマロ。ご覧のとおりなかなかサビは進行し、ツヤは皆無。「自分のクルマなんだから好きにしちゃえ?」ってことで、孔雀のグラフィックをあしらう。ベースのエンジンは350だが、排気量をアップ。細井社長は「400ぐらいかな?」と言うが、確かにここまで年数が経過していたら、車両の履歴なんてあまり意味がないかも。
それよりもやっぱり重要なのは中身で、前後バランスを考え、バッテリーはトランクルームに移設。積載能力は皆無だが、安全タンクを搭載し本気でサーキットを走れる様にカスタム済み。内装も走りに不要なものは取り除き、軽量化も実施。「ま、ラットスタイルの難点を挙げるとすれば、オーナー以外は誰も横に乗れないし、そもそも乗ってくれないことかな?」。

エアスクープはダミーでなく、がっつりボンネットに穴を開けて装着。内側にスポンジが貼られた安全タンクは、コーナリング時に燃料が偏るのも防ぐ。リアサスにはトラクションバーも追加し、エンジンパワーを確実に路面に伝える。

元々のエンジンは350だったそうだが、排気量をアップ。「400ぐらいにはなってるんじゃないかな? 多分」と細井さんは語る。ま、大事なのは速く走れることで、スペックなんて何でも良いと言うことだね。

インパネはオリジナルをキープするが、メーター類を交換し信頼性をアップ。B&Mのプロラチェットシフターに変更し、リアシートなど不要な内装は撤去。その代わり、消火器をシートの後ろに装備する。
TOKAI CARS RAT STYLE-02 /1966 CHEVROLET NOVA アメ車としてはコンパクトだが日本には最適

アメ車の中では小柄で、どちらかと言うと可愛らしい雰囲気のノバ。カマロよりはコンパクトな283を搭載するが、十分過ぎるパフォーマンスを発揮してくれる。コラムシフトと言うこともあり、サーキットをガンガン走る様な仕様ではないが「安心してちゃんと街乗りができる」というコンセプトで、ブレーキのマスターバックなどは新品に交換済みだ。
3台の中ではヤレは比較的少ないかな…と思っていたが、取材当日は土砂降りというラットには最適な天気。撮影のために数時間雨ざらしにしていたところ、撮影を始めたら運転席に水たまりができていたものの、細井さんは「ドリルで穴あけないとダメだね」と、まったく気にもしていない様子。ラットに乗ることで時間に余裕を持つ様になるかもしれないし、何よりもおおらかな気持ちになれるとも言えるだろう。


インパネ周りは意外と普通…と思いきや、ドアの内張は撤去。何よりも雨漏りがなかなか激しいが「フロアに穴を開ければ問題解決!」と細井さん。直らない雨漏りにお金を掛けるより、対策を施す方がある意味賢明かもしれない。

283cuiのV8を搭載。比較的コンパクトな車体に約4.7?のエンジンを組み合わせるので、見た目に似合わず豪快な加速を楽しめる。ブレーキやオルタネーターなど、新品パーツを使用して、しっかりとリフレッシュを実施。

ボンネットの先端には数カ所穴があき、冷却性能をUP!な訳はないか。子供にイラストを描かれても気にならないし、これはこれで個性というか味がある。ま、見た目にこだわる人には理解不能だろうけどね。
TOKAI CARS RAT STYLE-03 /1973 CHEVROLET CAMARO ボディの各部はツギハギだらけですが、何か?

1970年型のカマロほど手は加わっていないものの、今後はサーキットやハイウェイクルーズが楽しめる様にカスタムを施す予定の1973年型カマロ。エンジンはオリジナルの350で、エーデルブロックのキャブや、M/T のヘッドカバーを装着。こちらもB&Mのシフターに交換している。また純正のインパネを加工し、オートメーターをシンプルにインストールする。
機能面にはここまでこだわっているのに、ボディには無頓着で、各部のサビは鉄板を溶接してとりあえず塞いでいる状態の、見た目は一切気にしないスタイル。極め付きは運転席側ドアのキーシリンダーが脱落し、いつでもオープン状態であること! 防犯性はゼロと言える状態だが、ある意味細井さんの「乗れるもんなら乗ってみな!」的な挑戦なのかもしれない。

ドアの内張は剥がされアルミパネルに交換。オートメーターを装着するユーザーは多いが、インパネ内に美しく収めるのはレアケースと言える。エアコンも一応装着されているので、今回の3台の中ではもっとも快適かもしれない。

エンジンは350で、ブレーキなどの改善もこれから行う予定。キャブ&エアクリーナーはエーデルブロックで、M/Tのヘッドカバーに交換。見た目と中身がマッチしない、そんなギャップがラットの愉しみ。



半世紀近く経てば、そりゃボディ各部にも色々な痕跡はつくもの。ある意味、これまでのオーナーの軌跡とも言える。キーシリンダーがないのは驚嘆だが、それぐらい気楽に乗れるマッスルがあっても良いよね。
THANKS:東海カーズ
TEL:0533-86-8890PHOTO:浅井岳男
TEXT:空野稜
アメ車マガジン 2021年 8月号掲載
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