デュースを乗り継いできた男が辿りつた3ウインドー・クーペ

1932 Ford 3 Window Coupe
過激に進化 -GET A THRILL- OUT OF AMERICAN SPORTS CAR
1932 Ford 3 Window Coupe
レースにも参戦する真のストリートロッド、スポーツマインドを刺激するデュースクーペ
オーナーが初めて実車を見たときから憧れていたデュースの3ウィンドークーペ。ロードスター、5ウィンドークーペを経て巡り会えたこの個体は、ストックプロポーションのパティーナ状態だったが、ミニマルながらも絶妙なアレンジでクールに変貌! ドラッグレースにも参戦しリアルに実働中の真のストリートロッド。
1年間のみ生産されたストリートロッドを象徴する「デュース」
ストリートロッドを象徴する存在としてお馴染みのデュースこと1932年型フォードモデルB。庶民が所有できる自動車として爆発的に普及したT型からA型~B型と正常進化する中で、32年型は外観のデザイン面においてとりわけ均整がとれた美しいフォルムが魅力的。
それでいて、それまでは短くても2年は同じデザインでラインナップしていたのに、翌年の33年型~34年型では先細りでしゃくれたグリルで一新しイメージチェンジしてしまう。どういうわけか、先代から41年型まででデュースだけが1年間しか存在しなかった貴重な存在なのだ。
それと同時に初めてV8エンジンが標準設定されたモデルとあって、ホットロッドのベース車としては最良にして最古な存在でもある。様々なモデルがラインナップされる現在と違って、どのメーカーも1車種しかラインナップがなかったが、その分微妙に異なる大量のボディスタイルが存在する。
スピードを追求するホットロッドのシーンでは、軽量なロードスターが頂点。続いてコンバーチブル系(ピックアップトラックやセダン同様のドアを持つ変則的なものまで様々)、クーペ系、セダン系といった具合。実用面も踏まえたストリートロッドとしては、雨の多い日本ではクーペが理想的だろう。
そのクーペにも3ウィンドーと5ウィンドーが存在するが、窓の数が違うだけと思いきや、実はそもそものボディ形状が大きく異るのである。5ウィンドーはセダンなどにも通じるスタイリングなのに対して、3ウィンドーは側面が湾曲してグラマラスなフォルムなうえ、ドアの開閉がスーサイド式を採用。テール周辺も含めて独自のデザインで構成されている。
この個体のオーナーは、実車を見たことで3ウィンドーならではの魅力にハマってしまい、長年憧れていたのだ。
デュースを乗り継いできた男が辿りつた3ウインドー・クーペ
まだまだストリートロッド後進国の日本では、戦前車をベースにした個体は増えてきてはいるものの、いわゆる「ストリートロッド」としてメカニズム的にもコンディション的にも正しい状態の個体は少数だ。
そんな中で遭遇した1台の3ウィンドー・クーペに憧れたオーナーは、ホットロッド界の巨匠が手掛けた67年型ノバ・ワゴン、そしてデュースのロードスター、続いてデュースの5ウィンドー・クーペを経て念願の3ウィンドーにたどり着いた。
入手した時点では、メカニズム的にはストリートロッドとしてのアップグレードは施されていたが、外観的にストック然とした腰高なプロポーションで、ボディは各部で色が異なるパティーナ状態だった。日常使用する上での信頼性が確保され気兼ねなく乗れるという点では悪くないが、ストリートロッドとしてのカッコ良さは足りない感じだったのだ。
そこで、リアエンドのポジションを変更するためにフレームをCノッチ加工。フロント側はIビームを5インチドロップのタイプに変更。車高の低さだけでなく、ナローなポジションによってフェンダーががっつりとかぶるクールなルックスを獲得した。
走行する上でのリスクを回避するべく、エンジンのポジションも1インチほどリフトさせている。ロースタンスのクールなプロポーションを確保したうえで、ストリートカーとして気兼ねなくドライブできるのがポイント。
一連のアレンジを手掛けたアンディーズでは、オーナー自らウィリスのストリートロッドでクルーズやレースに積極的に参加しており、カスタマーも巻き込んでいる。この3ウィンドーももてぎのストリートシュートアウトでレースデビューを果たした。
今後もレースには積極的に参加する予定でいる。将来的にはエンジンのモディファイを施してより速くするのが目標とのことだ。
初参戦となったもてぎストリートシュートアウトでは、12秒台(1000フィート測定)でまさかの優勝! 結果はともかく全開で走ることを楽しむべく2021年11/21(日)の次回も参戦予定で、筆者のウィリスピックアップとの対戦を求められたので応えることに!
ボディはヘンリー・フォード・スチールによるファクトリーオリジナル。仕上げてない状態ながらもフラットなシルバーでペイントしたことで、一見するとクリーンでクール。よく見るとツッコミどころはいくつもあるが、オーナーの身の丈や楽しみ方にはマッチしているので好感が持てるのだ。
ダッシュやウィンドシールドなどはストックを保持しながらも社外のゲージを設置。内張りやカーペットはとりあえずといった状態。シートはプロカー製のヘッドレストなしのセパレートを採用。
リアエンドはコイルオーバーにアップグレード。フロントは5インチドロップのIビームによるオーソドックスな手法。王道のスロットホイール(リアルロッダー製)が際立つ絶妙な車高プロポーションを構築。タイヤサイズはF:145R15/78S、R:235/75R15。
搭載エンジンはブループリント製の355ciクレートモーター。トランスミッションは3速ATのTH350。エアコンもしっかりと完備してストリートロッドとしてはスタンダードなアップグレードが施されている。今後はパワーアップを目指す。
足回りのアップグレードがしっかりと行なわれ、車重に対するバネレートなどのマッチングも良い。それだけに走行時の挙動が少なく、走り姿もクール。実際にドライブしても車重が軽いわりにはしっとりとした乗り心地。エンジンパフォマーンスは、ストリートカーとしては必要にして十分。
Photo & Text 石橋秀樹
アメ車マガジン 2021年 12月号掲載
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