オールズモービルのスーパーマッスルカー、ハースト/オールズ!

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アメマガ2022年7月号

オールズモビル

GM CARNIVAL

シニア向けで落ち着いたラグジュアリー指向の“オールズモービル”をグルービーな若者向けの“ヤングモービルズ”として仕立てたスーパーマッスルカー、ハースト/オールズ!GM社内規約400ci以内を超える455ci搭載も特別モデルならでは!

GM CARNIVAL-やっぱりGM系がいい-


カトラスをベースにしたオールズのスペシャルモデル

’69 HURST/OLDS

GMの中でもオールズモービルは、ポンティアックとビュイックの間を埋める中間層のブランド。オールズのモデルは、地味でありながらも、他のブランドとの差別化によるアレンジが一癖あったりで、ホビーの世界ではマイナーな存在。ユーザーも誠実で保守的なシニア層が中心だ。それだけに、ブランド名のオールズモービルをオールズ(年配者)モービル(乗り物)という意味で使われることも…。60年代後期はマッスルカー全盛期とあって、若者にもアピールできる特別モデルとしてハースト/オールズをリリース。

ハースト社は、シフターのメーカーであると同時に、クライスラーの工場出荷ドラッグ専用車であるスーパーストックからタクシーの製作まで行なうホットロッド界でも重要なカンパニー。そもそもはハースト社のジョージ・ハーストがポンティアック・ファイヤーバードのスペシャルモデルの企画をGMに持ちかけたが、Fボディの提供は拒否された。そこで、若者にアピールできるオールズとしてAボディのカトラスがベースとなった。ドラッグレース向けのシフトアップに特化した専用ゲートを備えるハースト“デュアルゲート”、エアスクープ、リアウィング、専用グラフィックを装備。そして、スペシャルモデルとして通常モデルでは禁止されていた400ciを超えのビッグインチである455ciが設定された。

アメリカでも滅多に見れないマニアックで希少な存在

オールズモービル自体がマイナーな日本では、ショップでの取り扱いも、それを求めるファンも極めて稀。たまに見かけても、カスタムやローライダーとしてアレンジされ、ベース車に対するこだわりがないケースが殆ど。そんな状況ながら、914台中の1台である69年型ハースト/オールズが国内に存在した。日本に持ち込まれた経緯は定かではないが、アメリカでも滅多にお目にかかれないようなマニアックで希少な存在のため、持ち込んだ人も最初のオーナーも相当のマニアだろう。

十数年前だったかに売り情報を見たのと、都内で走る姿を一度だけ見たことがあったが、イベントなどには参加していなかったようで、存在をすっかり忘れていた。


ところが、群馬で開催されている波志江のモーニングクルーズにて遭遇。波志江モーニングクルーズは、アメ車メインのモーニングクルーズの中でも、集まってくる車種やスタイルが幅広く、マニアックで珍しいモデルに遭遇することもある集まりなのだ。かつて本誌でもフィーチャーした71年型ポンティアック・ルマンも、波志江ミーティングの常連だったりする。

このハースト/オールズのオーナーは、いわゆるクルマ好きの方で、マニアックで希少なモデルを数台所有している。希少なハースト/オールズということに加えて、搭載エンジンが455HOというのがマッスルカーとしての最大の魅力。内外装、器官類などの基本的な部分はオリジナルをキープしながら、エアコンだけは社外品でアップデートがされている。


希少性の高いコレクタブルなモデルとなると、コレクションとして保管というケースが目立つが、現オーナーはドライブを楽しみながら、コンディションもきちんとキープしている。

'69 HURST/OLDS

同じAボディを共有するシボレーの兄弟車シェベルと比べると全体的に引き締まった印象。トランク部が傾斜して絞り込んだリアセクションが独創的。フードスクープ、ブラックアウトしたグリル、ゴールドのストライプ、15インチラリーホイールはHurst 仕様ならでは。

455HOエンジンはアップグレードしたマフラーによってビッグインチならではの迫力あるサウンドと、フローの良さを体感できる。ファイナルレシオが高めなだけにストリートではなかなか本領を発揮できないが、どの回転域でも不満なく加速するリッチなトルクが魅力。デュアルゲートを駆使してドラッグレース走行を味わってみたい!

搭載する455HOエンジンは、圧縮比10.50:1、5000rpmで最高出力380hpを発揮する。W-45ではハイリフト/ デュレーション・カムシャフトが組み込まれる。クロームのバルブカバーやブロックがレッドにペイントされているのがポイント。トランスミッションは強化タイプの3速AT、ターボ400 のみの設定。

オールズのハイパフォーマンスモデルではお馴染みの純正5スポーク・ラリーホイール。装着タイヤは定番のBFGラジアルT/A(P235/60R15)。リアエンドはシボレーでは最大級の12ボルトに相当するも、オールズでは10ボルトとなっている。リミテッドスリップが組み込まれ、ファイナルレシオは標準で3.42:1、AC 車では3.23:1。

ヘッドレストのゴールドのストライプはHurst 特有のポイント。ダッシュパネルと共通のウッドをあしらったステアリングや、シート&ドアパネルの表皮のパターンが、オールズらしい落ち着いたデザイン。

通常のP-R-N-D-S-Lに対して右側にはD-S-Lだけのドラッグレース向きの2 系統による“デュアルゲート” シフターを装備。シフターメーカーであるHurst の人気アイテムとしてもお馴染みで、ポンティアックでも採用された。


PHOTO&TEXT:石橋秀樹

アメ車マガジン 2022年7月号掲載


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