マグナムをチャージャーフェイスにする!【ガレージジョーカー】
ダッジ・マグナムに注目するガレージジョーカーが、職人の鈑金技術を駆使してフェイス移植を行なっている。今回はマグナムをベースにチャージャーのフェイスを移植。その作業に密着し、遂に完成となったので紹介しよう!
ダッジ・マグナムフェイス移植計画
チャージャーフェイス移植の大きな肝はフェンダー加工
千葉県銚子市のガレージジョーカーが着々と進めるカスタム計画。それが、ダッジ・マグナムをベースにダッジ・チャージャーのフェイスを移植することだ。このフェイスチェンジはアメリカでは見られる移植で、日本にも車両は存在するため、もしかしたら見たことのある読者もいるかもしれない。だが、どうやって完成に至ったかという一連の作業を見たことはきっとないはずだ。そこで今回アメマガは、作業に密着し完成までを追った。
ベースとなるマグナムにチャージャーのフェイスを移植するには、チャージャーのバンパー内側にあるコアサポート(アッパーサポート)、バンパー、ボンネット、フェンダー、ヘッドライト等の灯火類をマグナム側に移すことから始まる。コアサポートを移すことにより、マグナム側のボディ加工は必要なくパーツの移植は可能。
問題は、マグナムとチャージャーでドア形状が違うため、フェンダー(チャージャー)とドア(マグナム)の接地面に大きなズレが出ることだ。よって作業の肝は、フェンダーをいかにマグナム側のドアと自然に馴染ませるかになる。チャージャー側のフェンダーを大きく加工しマグナム側に合わせる方法もあるが、今回ガレージジョーカーが選んだ方法は、チャージャーのフェンダードア側を縦に切断し分割、そこにマグナムのドア側フェンダーを切り取って溶接加工し組み合わせる方法だ。
しかしこの方法を選んだとしても、お互いのボディサイドにあるプレスラインが違うため違和感がどうしても残る。そのラインを、パテ造形により上手くボカしていくのが職人のテクニックだ。
パーツ取り外しから、塗装までの作業期間は約10日間。大胆なイメージのあった移植作業は、とにかく緻密で繊細。そうして完成した車両は、違和感のない美しいボディラインに注目。完成した車両はこちらのページで紹介!
移植のための最初の作業は、マグナムのグリルバンパー、コアサポート、フェンダー、ボンネット、灯火類を取り外す。コアサポートとは、バンパーやヘッドライト等を支える骨組みのこと。チャージャーフェイスを移植固定するためにはチャージャーのコアサポートが必須で、チャージャーからコアサポート、バンパー、ボンネット、フェンダー、ヘッドライトなどの灯火類を移し取り付ける。この入れ替え作業は、配線加工はあれどボディ加工は不要。つまり、パーツの移植自体はそれほど難しいものではないようだ。
チャージャーのボディパーツ移植自体は難しいものではないが、問題はチャージャーのフェンダーとマグナムのドア形状が違うため、左写真のように接合面にズレが生じること。今回これを解消するために、下写真のようにチャージャーのフェンダー、マグナムのフェンダーをそれぞれ分割して接合させる方法をとる。
チャージャーのボディライン、マグナムのボディラインを考慮しチャージャーのフェンダーを切り取っていく。ボディラインに合わせて鉄板を絞っていくので、直線ではなくギザギザの切り込みになる。因みに鉄板の絞りとは、鉄板に熱を与えて成形する加工のこと。この切り込みの幅や位置も、綿密に測定しているのは言うまでもない。
職人の鈑金技術を駆使したマグナム・チャージャーフェイスが完成!
マグナムのフェンダーも切断。使用するのは上写真の右側、マグナムのドアと設置する部分だけ。その分割したフェンダーを、すでに切断しているチャージャーフェンダーの下に入れて位置を合わせる。
組み合わせたフェンダーの位置が決まったら、チャージャーのフェンダーをより絞っていくために切り込みを入れ、ハンマーで形を整えながら絞っていく。絞りは一見すると地味な作業だが、鈑金職人の腕の見せ所。鉄板が変形していき形が決まったらスポット溶接で固定。
スポット溶接で固定した鉄板の隙間を埋めるように電気溶接を行なっていく。凹凸のある溶接部分を削り表面を整え、パテ造形に備えてボディ塗装面も削っていく。
鉄板加工が終わりパテ造形に進行
鉄板の調整が終わったら、パテを使って造形していく作業に入る。まずは、速乾で金属のように固まる鈑金(造形・厚盛)パテを使い造形。この時点で、ボディラインを意識しながらパテ盛り&削り作業を繰り返していく。
下地となる鈑金パテの次にポリパテ、サフェーサー、スポットパテを使い表面を仕上げていく。写真にはないが、裏側も薄めたサフェーサーを塗り繋ぎ目の隙間もしっかり埋めている。また、ボディ側の錆が出やすい部分も防錆剤を塗布。カスタム作業ではあるが、こうした見えない部分にも手を掛け、クルマを長く良い状態を保つための処理を怠らないのがガレージジョーカーである。
造形・塗装が終わったフェンダーの裏側には、アスファルト性の防錆剤を塗り込む。これにより、耐震、防音、防錆も向上。
最後の仕上げとして、フェンダーに合わせてボディをリペイント。カスタムパーツも装着し完成となる。
GARAGE JOKER【ガレージジョーカー】
TEL:0479-25-774 0
HP:https://www.garage-joker.com/
PHOTO&TEXT:相馬一丈
アメ車マガジン 2022年 9月号掲載
最新記事
2024/10/03
【シェルビーF150スーパースネーク】より低くオンロードに特化したスーパースネーク
ハイパフォーマンストラックと言うジャンルを築いた、フォード・SVTラプター。そしてフォードは、そのラプターをも凌駕するシェルビー・F150スーパースネークを登場させた。最高出力は、なんと770馬力。並みのスポーツカーでは太刀打ちできない加速を備えた、まさにシェルビーの名に相応しいモデルとなっている。
2024/10/02
車両販売だけでなくメンテナンスもウエルカム【カーショップトラッシュ】
2024年で創業20年を迎えたトラッシュ。札幌の中心地からクルマで30分ほどの距離にあり、都会の喧騒から離れた隠れ家的な雰囲気。代表の川口さんを中心に、様々なスペシャリストがお店を支える。
2024/10/01
サービスカーとプロジェクトカーどちらも思い入れの強い一生モノ!【6DEGREES】
「旧車になればなるほど部品で困るのは致命傷。そんな部品の供給が未だに充実していることがGM車の魅力だ」と語る6ディグリーズの石堂さん。若かりし頃の想い出が詰まった愛車と一緒に時を刻める喜びは格別だ。
2024/09/30
【1951 シボレースタイルライン】26インチの鍛造スポークが不思議なことに絶妙にマッチ
日本車で50年モノのビンテージカーは数少ないが、アメ車では半世紀選手は意外と珍しくない話。と思っていたら、何と72年前のスタイルラインが日本上陸!輸入したのはカスタムを積極的に手がける、あのクアートだ。