高い整備力を誇るナオキモータービルドにOBSの“メカニズム” を解説してもらう

ショップ

アメマガ2023年2月号

やっぱり OBS!

オールドボディスタイル

ナオキモータービルド

大阪府

大きく分けて95年モデルまでのTBIと96年モデル以降のVORTECの2種類のエンジンが存在するOBS。ここではこの2つのエンジンの特性やメリット&デメリットなどを、開業当時からOBSを見てきたナオキモータービルドで伺ってきた。

やっぱり OBS!


OBSのメカニズム

「TBIとVORTECって結局どう違うの!?」素朴な質問をカジュアルに検証!

開業10周年を迎えたナオキモータービルド。代表の宮田氏が初めてOBSを手にしたのは開業当初のことで、VORTECエンジン搭載のC-1500レギュラーキャブだったという。このクルマをキッカケにOBSの魅力に惚れ込んでしまい、よりディープな383に積み替えられた88年型C-1500レギュラーキャブを所有することとなったそうだ。この個体はとにかくご機嫌で、踏めば踏んだだけ期待値を超えて応えてくれただけに、383に慣れ親しんだ後に350エンジン搭載の92年型C-1500に乗り変えた時は「あれ? 調子悪い!?」と勘違いした記憶が今も鮮明に残っていると言う。

 

しかしTBIとVORTECを比較して明確に差が出るか? と聞くと、答えは「NO!」だ。簡潔に言うとヘッドとインテークマニホールド、インジェクターの違い程度で、ヘッドより下はほとんど変わらないとので、エンジンの不具合が起きる箇所もほぼ同じ。インマニのガスケットやオイルパンからのオイル漏れ、それに水漏れなども両ユニット問わず共通した症状らしい。

強いて言えば、TBIはドロドロと昔ながらのアメ車らしい排気音で、VORTECはドロドロ感は控え目のスムーズな排気音を奏でる。ちなみに96年からVORTECに変更された本国モデルに対してメキシコ産はTBI搭載を継続していたため、97年モデルでもTBIを搭載した個体が存在する。話によると本国モデルとメキシコモデルのTBIはエンジンフィーリングが微妙に異なる様に感じるとのことで、ACドライヤーや配管に異なるパーツが組まれるなど、明らかに異なる部分もある。

 

ミッションはモデルイヤーやオプションにもよるがTH700R4(4L60)を筆頭に、4L60Eの4ATと5MT。454SSには3ATの設定も存在。現行モデルの様に8速や10速ATではなく、大排気量を最低限のシフトチェンジで豪快に走らせる感覚は、OBSならではの魅力だ。

 

また、コンピューター制御も現在ほど複雑ではないため、どちらのエンジンもチューニングパーツが豊富に出回っており、撮影車両のVORTECはインテーク、ヘダース、コンピューターの書き換えでリミッターカットを施してハイパフォーマンス化するなど、エアクリーナーやマフラー換装程度の吸排気効率向上レベルではなく、本格的にエンジンをアップデートできる点も特筆物。一方でTBIはインジェクションシステムをあえて取り去ってキャブレター化するオーナーも存在しており、多種多様な心地良いエンジンフィーリングや乗り味の追究に対して、豊富なアフターパーツを駆使して様々なアレンジができるアメ車は現行車両では存在しない。

 

すなわち90年代のOBSは過剰なコンピューター制御に煩わされることなく、リアルにイジって楽しめる最後のアメ車と言える。TBIもVORTECも整備やメンテナンスを怠らなければ50万kmを超えて走れる頑丈なエンジンであるとも噂されているだけに、モデルイヤーや走行距離ばかりに惑わされず、良い個体を長く愛用して次世代のアメ車オーナーへと紡いでいきたいものだ。

VORTEC


TBIと見比べてみると確かにオルタネーターの位置やコンデンサー、ラジエターファンの位置までほとんど変更がないVORTEC。不具合箇所もほぼ似た症状とのことだったが、強いて言えばデストリビューターのナット取り付け部分が経年劣化で欠けたり割れたりする個体が多いそうだ。


TBIがヘッド上にレイアウトされるのに対してVORTECのエアクリーナーはイマドキ。剥き出しタイプの吸気効率の良いエアクリーナーへ換装すれば体感できるレベルでパフォーマンスアップを計れる。


コンピューターチューニングを施してリミッターカット&ヘダースまでとなると、もはやマニアックな世界観。その気になればここまで出来てしまうのもVORTECの魅力だ。

TBI


今の20代からしてみるとドロドロサウンドは、昔ながらのアメ車らしいフィーリングで新鮮に映ると若者からも人気のTBI。エアクリーナーやマフラーの換装で、よりその音色を鮮明に楽しめる点もTBIの魅力。

エアクリーナーとスロットルバルブの間にインジェクターを搭載した、いわゆるキャブインジェクションと呼ばれるTBI。メキシコ産のTBIはACドライヤーや配管レイアウトなど本国モデルと異なる点もある。


THANKS:ナオキモータービルド
TEL:072-236-7300
https://naoki-mb.co.jp


PHOTO&TEXT:石井秋良
アメ車マガジン 2023年2月号掲載


関連記事

RELATED


ツーリングで偶然見かけた 空き店舗をフルリノベーション!【ROUTE 65】

クルーキャブのロングベッドに乗って、本誌イベントをはじめ様々なミーティングに参加している池田さん。OBS界髄一の超ロングホイールベースは、どこに出没しても注目の的。そんな彼が大阪府の最南端でアメリカンダイナーをオープン!

長年に渡って見続けてきた老舗アメ車ショップにOBS の“イマ”を聞いた【ブルーリバー】

1990年代から2000年代初頭のアストロブームと共に、アメ車シーンをけん引してきた関西の老舗アメ車専門店ブルーリバー。OBSの過去と現在を知る有識者として、当時から25年に渡ってブルーリバーを守り続ける代表の山倉氏に話を伺ってきた。

2ドアタホは小回りが効いてフォルムも美しい!

ひと昔前までは日本の一般的な駐車場にギリギリ収まる全長約5mの4枚ドアが断然人気だったタホ。しかし、ここ最近は2ドアのショートボディの人気が急上昇中。その理由と魅力についてナオキモータービルドの在庫車両をモデルに検証してきた。

やり尽くしたOBSで令和の時代を走る贅沢!

シンプルにオリジナル志向で乗っても、ガッツリカスタムして乗っても様になるOBS。中でも当時のカスタムカルチャーを色濃く残した個体は、マニアの間でも人気急上昇中。紹介するC-1500ファントムデューリーはまさに、1990年代のカスタムシーンを彷彿とさせるマニア必見の個体だ。

ヴィンテージTシャツを運ぶクルマとして最適な“映えるVAN”【greatLAnd】

ここ最近#VANLIFEのハッシュタグと共に人気を博すフルサイズバン。なかでも80年代以前のモデルは旧車としての味が濃厚になってきており、価格も高騰中。40年近く前のUSED CARが国産ミニバンの新車よりも高いなんて現象も珍しくない。ある意味、それはプレミアの付いた貴重なヴィンテージTシャツに通じるものがある。点と点が結びつく様なクルマとオーナーのマッチングもまた、VAN LIFEの醍醐味だ。

 

最新記事


2024/07/27

キャデラックはいかがでしょう?【キャデラック葛西/シボレー葛西】

ショップ

GMの最高峰モデルに君臨するキャデラック。贅を尽くした高級ブランドというイメージが強いが、大統領専用車に採用されることから「絶対的な信頼性」も重視しているのは言うまでもない。単なるステータスではなく、アメリカの象徴と言えよう。

2024/07/26

物静かな青年が次第に豹変、マスタングにもっと刺激が欲しい!

クーペ

フォード

燃費が…維持費が…。マッスルカーに憧れを持つも、アメ車へのネガティブな思いが強く決断できずにいたオーナーさん。そんな彼が、彼女の後押しによって購入を決めるのだが、次第にアメリカンマッスルの魔力に染まり豹変していく。「音も見た目も刺激が欲しい!」

2024/07/25

ポストビンテージバンの大本命として人気高騰中【シェビーバン ビュービル】

バン

ビンテージ

シボレー

70年代の丸目を筆頭に、フルサイズバンの中でも80年代までの個体がビンテージバンとして人気を博してきた。しかし紹介する個体の様に90年代中頃まで基本コンセプトは変わらない。むしろ熟成された最終モデルこそベストバイ!

2024/07/24

アニメを見て惚れたマスタング、今では押しも押されぬ爆速女子へ

クーペ

フォード

名探偵コナンに登場したマスタングに惹かれてカーボックスを訪れたオーナーさん。一番ド派手なエレノア仕様を選び、チャレンジャー・ヘルキャットに乗る旦那様は走りで負けたくないライバルだ。

ランキング


2024/07/26

物静かな青年が次第に豹変、マスタングにもっと刺激が欲しい!

クーペ

フォード

燃費が…維持費が…。マッスルカーに憧れを持つも、アメ車へのネガティブな思いが強く決断できずにいたオーナーさん。そんな彼が、彼女の後押しによって購入を決めるのだが、次第にアメリカンマッスルの魔力に染まり豹変していく。「音も見た目も刺激が欲しい!」

2024/07/25

ポストビンテージバンの大本命として人気高騰中【シェビーバン ビュービル】

バン

ビンテージ

シボレー

70年代の丸目を筆頭に、フルサイズバンの中でも80年代までの個体がビンテージバンとして人気を博してきた。しかし紹介する個体の様に90年代中頃まで基本コンセプトは変わらない。むしろ熟成された最終モデルこそベストバイ!

2018/02/07

走っているとやけにハンドルがブレる…原因はタイヤ?ホイールバランス?それともブレーキか?【REFRESH PROJECT】

メンテナンス

コラム

走行中に感じた違和感。それはハンドルのブレ。【REFRESH PROJECT】

2022/04/08

US日産の巨大ユーティリティバンのNV3500

バン

逆輸入車

2019 Nissan NV Passenger