【チャレンジャーSRTデーモン170】最後を締めくくったのは、やはり「デーモン」だった

クーペ

ダッジ

アメマガ2023年6月号

チャレンジャー

チャレンジャーSRT デーモン170

“ラストコール”の最終モデル、その名は「チャレンジャーSRT デーモン170」。1000hp を越すパワフルなマッスルカーという触れ込み通りにそのスペックは1025hp!!黄色い目をした悪魔、コイツはマジでヤバい!


悪魔がよりパワフルになって復活!デーモン・カムバック

DODGE CHALLENGER SRT DEMON 170

デーモンは2018年に1年だけの限定で販売されたモデルで、その生産台数はわずか3300台。しかもパワーはこれまでのラインナップの中では最大となる840hpを発揮するということで争奪戦が繰り広げられたことは記憶に新しい。それからわずか数年後にチャレンジャー自体の生産が終了してしまうとは思わなかった、いや噂は出ていたけれど信じたくなかったというのが正直なところである。

 

そんな中、生産終了に向けてラスト・コールという特別モデルが7台発表されることとなり、2022年の8月に発表された第一弾となる「チャレンジャー・シェイクダウン」を皮切りに、「チャージャー・スーパービー」「チャレンジャー・スウィンガー」「チャージャー・スウィンガー」「チャージャー・キングデイトナ」「チャレンジャー・ブラックゴースト」の6台が矢継ぎ早に登場し、残るはあと1台。そのお披露目はセマショーで行なうと名言していたのだが直前になって延期するとのアナウンスが…。

延期となった事情は様々飛び交ったものの、それから4か月後の2023年3月20日にラスベガス・モーター・スピードウェイで開催された「ダッジ・ラストコール・パワード バイロード・キル・ナイト・ベガス」にて披露。発表会場にヘリコプターに吊るされて運びこまれた7台目の名は「チャレンジャー・SRTデーモン170」。そう、あの悪魔がさらにパワーを増して甦ったのだ。この名を再び聞くことになるとは予想だにしていなかったものの、ある意味最後を飾るには相応しいと言えるだろう。

 

というわけで甦った新たなデーモン170だが、事前予測で1000hpを超すパワーユニットが搭載されるだろうとされていたが、その期待通りにマックスで1025hpを出力するという。基本ユニットは6.2ℓV8 HEMIスーパーチャージャーだが、さらにアップグレードされていることはもちろんで、1025hpはE85燃料を使用した際に発揮する。

ちなみに通常の燃料を使用した場合は900hpということだが、この数値も2018年のデーモンを上回っている。それにこのスペックによるパフォーマンスだが、わずか1.66秒で時速60マイルに達し、さらに1/4マイルを8.91秒で駆け抜け、その際に掛かる重力は2Gを超えるそうで、モンスターっぷりを遺憾なく発揮している。そしてあまりのハイパフォーマンスっぷりに、NHRAが出場禁止を告知したそうだ。

 

また、2018年のデーモンはパワーを制限する黒いキーフォブとフル出力を解除する赤いキーフォブを備えていたが、新しいデーモン170は黒いキーフォブを廃止して赤いキーフォブのみとなっている。なぜならキーではなく、エタノール燃料含有量の割合を感知することによって出力レベルを変更する仕組みを導入しているからだ。

 

そしてデーモン170の生産は2023年夏に開始され、米国向けに3000台、カナダ向けに300台の計3300台。この台数は前回と同様である。そして気になる価格はというと9万6666ドル(約1260万円)。注文は2023年3月27日に開始して2023年5月15日に終了するそうだが、終了日前に完売してしまうのではないだろうか。もはや1000hpと聞いても驚かなくなってしまっているが、実際にこれを体感することは日本では不可能なのでは? という野暮はさておき、日本の地で目にできる機会を待ちたいと思う。

デーモン170が搭載するパワーユニットは6.2ℓV8 HEMIスーパーチャージャーだが、1025hp/945lb-ftを出力するために改良が行なわれ、3.0リッタースーパーチャージャーは105mmスロットルボディと3.02インチプーリーを備えた大型スナウトを採用することで、従来比でブースト圧を40%増加。ハイフローフューエルレールとインジェクターは1時間に約620ℓの燃料の供給を可能にするなど、大幅なアップデートが行なわれている。だがその中で唯一カムシャフトだけは変更されていない。

デーモン170 にはならではともいうべきアクセサリーが用意されているが、中でも特徴的なのがリアに設置できるパラシュートマウントシステムだろう。

オプションのプレミアムレザーインテリアには、Demon 170のロゴが入ったアルカンターラ/ラグナレザーシート、シートヒーターとベンチレーテッドシート、ヒーター付きステアリング ホイール、Harman Kardonアンプを備えた18スピーカーのHarman Kardonオーディオ システムなどを装備。

デーモン170のインストルメントクラスター。「170」の首のタトゥーと新しいE85を代表する黄色のデーモンの目で再考されたデーモンのロゴのオープニングに始まり、空燃比ゲージ、E85ガスポンプアイコン、ラインロック機能、そしてパフォーマンス設定画面にはクリスマスツリー。

ドラッグオプションでは、シフトライト、SRT パワーチラー、ラインロック、ローンチアシスト付きローンチコントロール、レースクールダウンなど、ドラッグ固有の機能に関する情報を網羅。ローンチコントロール機能はドライバーが直線で最大の車両加速を実現し、車両の発進中にタイヤのスリップを管理できるように設計。ラインロック機能はボタンを押すだけでバーンアウトを可能にし、フロントブレーキをロックすることでリアタイヤを暖める。

ダッシュボードページは8.4 インチのUconnect タッチスクリーンに表示され、ドライバーはドライブモード、SRTパフォーマンスページ、およびドラッグ オプションにアクセスできる。

65%を超える高エタノール燃料含有量が検出されると、ガソリンポンプクラスターアイコンが青色に変わり、ドライバーに最大1025hpの出力を発揮できることを知らせてくれる。

ドライブモードにより、トランスミッション、シフトパドル、トラクションコントロール、サスペンション、ステアリングなどの設定の変更が可能なだけでなくカスタマイズも可能。

チャレンジャー・SRT デーモン170に用意されたキーフォブはレッドのみ。パワー出力はキーフォブではなく、燃料に含まれるエタノールの割合を検知することで決定する。

ダッジはミッキートンプソンタイヤと何カ月にもわたって密接に協力し、デーモン170専用のアプリケーションを開発。これまでの量産車には搭載されていない315/50R17サイズのミッキートンプソン・ETストリートRドラッグラジアルを採用するとともに、245/55R18サイズのミッキートンプソン・ETストリートタイヤをフロントに組み合わせて力を発揮するセッティングを施している。

また、ホイールはリア17×11とフロント18×8の鍛造アルミニウムホイールを標準で装備しているが、オプションのLacks Enterprisesカーボンファイバーホイールは、標準のRedeyeワイドボディ構成と比較して軽量の17×11Jにより、合計で11.98ポンドの軽量化に貢献。それにフロントの18×8Jも合計20.12ポンドの節約に貢献している。

デーモン170オーナーには記念のデーモンデカンタセットが提供され、これには所有者の名前とVINナンバーが背面に刻印されたカスタム デーモンスタイルのデキャンタに、悪魔バッジ付きコースターとウィスキーキューブ、ロックグラス、Demon 170スーパーチャージャーバッジカバー、所有者名、ビルド番号、VINプレート、セットカバーの内側上部にあるデーモン170のイラストが含まれる。


アメ車マガジン 2023年6月号掲載


関連記事

RELATED


ワイルドスピードを見て初のアメ車となるダッジ・チャレンジャーを購入

頭文字Dに影響を受けて初めての愛車はホンダ・S2000。そして今度は、ワイルドスピードを見て初のアメ車となるダッジ・チャレンジャーを購入した青木さん。漫画や映画に出てくるクルマを、実際に乗ることが青木さん流の楽しみ方だ。

夫婦でアメ車!しかもマッスルカー2台という贅沢な選択肢【チャレンジャー&マスタング】

一台はマッスルカーやトラック、そしてもう一台はミニバンやSUVと、夫婦でアメ車2台を所有する方たちの大半はどちらか一方がファミリーカーとして成立するパターンが多い。そんな中、どちらも2ドアクーペのマッスルカー2台を所有する強者夫婦を発掘!

【ダッジチャレンジャーRT】妻と天使をモチーフとした ミューラルの奥深き想い!

走りに徹したスタイリングの多いモパーマッスル系カスタムシーンにおいて、そのルーツを守りつつ、ローライダーカルチャーを惜しみなく注ぎ込んだ個性派! NEW SCHOOLの最前線を貫く、迫真のチャレンジャーに迫る!

自分自身でクルマを操るワクワク感それがアメ車にはある!【カーボックス】

数多くの欧州スポーツカーを所有してきた西井さん。だが、何か物足りない…。もっとワクワクする楽しさが欲しい。そこで出会ったシェルビー・GT500から「クルマの楽しさ」を知り、次々とアメ車を手にしていく。

【チャージャー&チャレンジャー】プロのアスリートだからこそマッスルカーがよく似合う!

チャレンジャーに乗りたいんです…。そう言ってラグジを訪れた2人の男性。服の上からでもガッシリとした骨格に、島澤社長は只ならぬオーラを感じたとか。そう、2人はプロサッカー選手だったのだ!

 

最新記事


2025/10/30

【マッスルカーナショナルズ14】イベントの主役は、1960~70年代のアメリカンマッスルカーたち

イベントレポート

MUSCLE CAR NATIONALS 14
18th May 2025
名古屋港ガーデンふ頭ひがし広場

2025/10/28

夫婦でアメ車!しかもマッスルカー2台という贅沢な選択肢【チャレンジャー&マスタング】

クーペ

ダッジ

フォード

一台はマッスルカーやトラック、そしてもう一台はミニバンやSUVと、夫婦でアメ車2台を所有する方たちの大半はどちらか一方がファミリーカーとして成立するパターンが多い。そんな中、どちらも2ドアクーペのマッスルカー2台を所有する強者夫婦を発掘!

2025/10/23

兄のゴリ推しで実現させた!?兄弟でアメ車を所有する喜び【ナビゲーター&300Cツーリング】

ステーションワゴン

SUV

リンカーン

クライスラー

25歳で初めての愛車にキャデラック・SRXを購入していらいアメ車の虜となった兄のNATSUKIさん。一方「国産ミニバンや1ボックスが便利!」とアメ車に無関心だった弟のNORIさん。弟にアメ車に乗ってもらって、その魅力を共有したい!その想いよ届け!

2025/10/21

自然豊富な故郷に建てた家族が毎日笑顔になる家

HOUSE

家族5人で暮らすアパート暮らしは窮屈そのもの。新たに家族が増えることが分かり、家族みんなが笑顔になれるマイホームを建てることを決意した藤本さん。奥様が憧れたリアルアメリカンの住宅を建てるべく、大家族の夢がスタートする。

ランキング


2020/08/31

魅惑のマッスルカー黄金時代:1960年代と70年代の誇り高き車両たち

ビンテージ

人気のあるマッスルカーであるマスタング、カマロ、チャレンジャーに焦点を当て、1969年のシボレー・カマロ、コルベット、フォード・マスタング・ボス429を紹介。性能やコストパフォーマンスだけでなく、美しさや運転の喜びにも注目。

2022/04/08

US日産の巨大ユーティリティバンのNV3500

バン

逆輸入車

2019 Nissan NV Passenger

2023/01/20

発展の可能性を秘めるパシフィカは今後も注目!?

SUV

クライスラー

最先端を走るアズールモータリング・アメリカンショールームだけに、カスタムベースはトレンドモデルと思われがちだが、実は今、在庫車にカスタムされている面白いモデルが販売中だ。それが現行のクライスラー・パシフィカ。オリジナルホイール「SKYフォージド」を履いた、日本で唯一のカスタムモデル!?

2025/10/30

【マッスルカーナショナルズ14】イベントの主役は、1960~70年代のアメリカンマッスルカーたち

イベントレポート

MUSCLE CAR NATIONALS 14
18th May 2025
名古屋港ガーデンふ頭ひがし広場